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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
第五十章:亡羊の嘆

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果し合い中止のお知らせ

 それが黒視症であることは、ネルの力が身体を回復させ始めたことで理解できた。


 視野が回復してゲシュパキアドのメイン・カメラでスキュデリの姿を確認すると、神獣のうなじを流れる(たてがみ)をしっかりと握り、頭を振っていた。


 見る限り、彼女にも特に怪我などは無さそう。ホッと一息。


 けれども、この突然のブラック・アウトを引き起こした張本人であるカルマンキドゥラの様子は――只事では無かった。


 トキノが、公との激突タイミングを報せた辺りの地点を睨んで、恐ろし気な威嚇の唸り声を上げる。


 一体、何がどうしたと言うのか……。次第にクリアになる思考に従って、獣が唸る先に視線を向けると、


 公と王国軍が布陣する側には――いつか見た、明るいオレンジ色のゲル状物質。


 巨大な多核体を成す変形体が、地面から湧き出す石油か何かの様に噴き出して、辺り一帯に春の日差しに目覚めた蟄虫そのままに、震える擬足を方々に伸ばす光景が、広がりつつあった。


(……あ、ハカバダイダイスズホコリさん。お騒がせして……ます)




 * * *




 一転、辺境伯こと、俺に対する大ブーイング大会から、王国軍側は その粘液の大津波から逃れようと壊走を開始。


 ネルからも『お歳を召してらして、気難しい方なんだから』と以前に注意を受けた、地下世界クレピュスキュルのヌシの事をすっかりと忘れて、大騒ぎし過ぎたらしい。


 俺からすれば死ぬほど、どうでも良い王国軍から、公に視線を向けると――流石と言うか、なんと言うのか……


 四方八方から迫る多核変形体が伸ばす擬足の、濃密な森の中を神懸った馬術で躱して、逃げ回っておられた。


 スーツメイルの下、降ろした面頬の中では、きっと死に物狂いの形相で、手綱捌きをなさっておられるに違いないが……そのキャラクターを知る身としては、想像するだにギャグ漫画のワンカットのように思えないでも無い。

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