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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
五章:価値観の違いは如何ともし難い

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逃げた方が賢明な気も

 泉に近づくにあたり、いつもの小道は通らずに迂回して、藪を掻き分け近付くことにした。


 仮に本当に頌の部族の連中が、敵意を持ってやって来ているのだとしたら――想像するだけでも、そら恐ろしいことではあるけれど。


 見つからないように行動し、一戦も交えること無く、ネルとヴィルマを抱えて逃げるのが得策に思える。


 ネットや掲示板で目にしていた「オーク」についての様々な情報の中で、俺が一番警戒していたのは「他種族であっても異性を繁殖相手として用いる」と言う点。


 そんな訳で、今日までネルもヴィルマも、ツォンカパにすら未だ会わせたことも無かった訳だったが――間抜けにも、考え事をしながら藪を掻き分けていたお陰で


 唐突に藪が切れたことに気づくのが間に合わずに、堂々と姿を晒す形で泉に乱入してしまっていた。


 泉に入り込んでいたのはオー……ク? そこに居たのは、尖った小さな耳にグレーの肌、もしくは淡く青い肌の……水浴び途中の女性が3人。


 そして彼女らの内の2人に、チヤホヤ、チヤホヤ可愛がられる、野生を失った我が家の小太郎くん。


 彼女たちは一様に強豪の女子バレーボールの選手のような長い手足と、鍛え抜かれた背中と肩と足腰。


 それと整った――とてもオークとは思えないほど、整った顔立ちの持ち主たちだった。


 口から小さく覗く、八重歯にも見える犬歯を除けば、頌の部族の村で見たどのオークにも似ていない。


 もっとも俺が知る、あの場に残って居たオークたちは、年老いた者ばかりで――若いオークの女性を目にするのは、これが初めてであった訳だが。


 この段に至っても。彼女たちがオークであると断定できる要素は……まるで無かった。


 体色と女性にしては、がっしりした体躯と、口から覗く犬歯を考えれば……間違い無いのだろうけど。

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