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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
第五十章:亡羊の嘆

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ぽかぽかのタイマン日和

 馬上槍を手にしてチャージでも決めるのか? と言った勢いと、軍馬の様な鼻息の荒さで、風呂へと駆けて行った。


(今夜は……スキュデリの部屋に……匿って貰おう)




 * * *




 果し合いとも言える一騎打ちの指定日。天気は晴天。気候は、うららかな小春日和。


 少し離れた場所に『門』で向かうと、自軍の側には戦場でのドレス・コードである、とでも言うかのように


 貴族の娘っこたちが、デシレアの手掛けた美術品と言っても過言では無い、スーツメイルを身に着け、頭頂部の各家の紋章から意匠された兜飾りを連ね、


 馬鎧を纏う、重馬ペルシュロンに跨り


 手にした異形の馬上槍、カルタゾノスの穂先を上に向けて整然と、今日の主役である俺の登場を待ち続けていた。


 対する王国側からは、先日のスーツメイルを身に纏ったガロワ公が、陣中奥深くから、進み出て――馬の腹を蹴ると、こちら側に向かって走らせた。


 そして辺境伯領の、今や守護神と化した騎士人形たちの前で、脚を止めると


「此度の申し出を……聞き入れて下さった辺境伯殿には、本当に言葉も無いザンス! して辺境伯殿は、いずこザンスかっ!?」


 俺を呼ぶ声。


 ……正直、この段になってさえ。人目が集中するような場に進み出るのは――気乗りがしない。これがまた、ブロイラーと共に……と言うのであれば、何故か話は別になって来る訳だが。


 ハンズフリーを通して、耳に届くトキノの声。


「巌流島みたいに……しばらく放置する?」


 策と策の間にまで更に策を、ねじ込まなければ気が済まない、この子らしい提案ではあったけれども――相手は、あの究極の自由人。


 こちらが、ひととき ふたとき遅刻した所で――馬上から仰ぎ見る、空に浮かぶ雲の流れを眺め、足元の小さな野の花を愛でて愛でて……平気で1日、2日の時間を潰して見せることができる御仁。


 ……だと、俺は思っている。


 そんな小細工を弄した所で……と言ったところだろう。


「本当に……気乗りはしないんだよ……」


 陶片の娘に、そう()ちて――俺は、親愛の情すら抱く、公の前にへと姿を見せる事にした。

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