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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
四章:帰還

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本日のノルマ、25リットル

 ネルが、遠い目をして呟く。


 構わず、俺は量販店の家電コーナーで購入した電動母乳搾乳機ダブリューを、ネルの乳首に ひとつずつ取り付ける。


「ハイっ♪ ハイっ♪ ハイっ♪ なのじゃ! スイッチ! スイッチは是非、わしに入れさせて欲しいのじゃ!」無邪気に手を挙げて、電源のスイッチをせがむヴィルマ。


「……十年、早い」


 求道者と化した俺は、ヴィルマの申し出を一蹴。


 そして電源をON。



 きょぱっ……きょぱっ……きょぱっ……きょぱっ(ちゃ~)


 きょぱっ(ちゃ~)……きょぱっ(ちゃ~)


 きょぱっ(ぴぴゅ~)



 みるみる180㎖搾乳可能なボトルが一杯になって行く。ボトルが一杯になると装置から外して、中身をミルク缶に流し淹れ再びセット。搾乳を再開。


「……ねぇ……アンタ?」


「なんだ?」

 

 電動母乳搾乳機ダブリューに、乳を搾られながら、ネルは口を開く。


「この機械を使って、アタシのおっぱいを搾って……それでチーズをこさえようって、アンタの発想には……そりゃあ正直、震えたものだったけど……」


「……それが、どうかしたか?」


 再び一杯になったボトルの中身を、てきぱきとミルク缶に投じる。

 

「……発想の……猟奇さに反して、これ……この絵面……すっごい地味ね……おまけに……何だかマヌケだわ……」


「……? 言いたいことが理解できん。無駄口叩いてないで、集中しろ集中」


「集中も何も……」


 作業開始早々に、すぐに飽きたヴィルマはネルが腰掛けるベッドに横になって、鼻歌交じりにお絵描きを始め――そのまま寝落ち。


「……アタシも寝ていい?」


 ヴィルマの寝顔を目に――ネルは、なにやら しんどそうに。


「ダメ。この容量25ℓのミルク缶を一杯にするまでダメ。これからコレ、毎日のノルマだからな? 頑張って行こう」


「……マジですか」


 俺の言葉に、ネルは項垂れて、深い息を吐き出していた。

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