う~ん……力強い(涙)
指輪で一部始終、解ってるだろうにコイツは――とは思っても、徹夜明けのテンション。俺も、悪ノリに興じてしまう。
「おー♪ なんせ一緒に、死線を潜った仲な訳だしぃ? もーね? うちの娘の婿にって、とっかえひっかえハーレムだったね。おまけにくっ殺っ! ……ってくらい、向こうから襲って来るノリなのな? いっや~ぁ♬ 腰に来てしんどい、しんどい」
「い、今……なんて? ハ……ハーレ……ム?」
――なんだか想像した反応と、まるで違う声のトーン。雲行きも怪しいだけに……早々に、バカ話の話を畳みにかかる。
「……冗談だって。指輪で解ってんだろ? 浮気防止の首輪みたいなもの着けさせて、なに言ってんだよ。てか若い女の子なんて、居なかったからな? もし居たとして、ツォンカパの身内だぞ? 相手にとかねぇよ。締め殺されて、バラバラにされてしまうわ。それより腹減ったんだけど、ヴィルマは? もう起きて飯は食ったのか?」
必死の話題変更。だが、ネルの口から洩れた言葉は、予想だにしないもので――
「……誇ら……しい……誇らしいわ」
「……何がだよ?……おい? 冗談だぞ? センス無い冗談だったのは、いつものことだろう? 謝るって」
何やら……ぷるぷるしておられるネルさん。
俺はコイツを怒らせてしまった……のか? 面倒臭くなりそうな気配を感じて、後悔がよぎる――が、どうやら違う様。
「おぉっしゃあぁぁーーーーーーっ!!」
ビっクぅっ?!
両拳を握り締め、謎のガッツポーズを取って、突沸するかのような、叫び声を上げる威勢に、俺は身をすくませる。
「……あ、あの? ネ、ネル……さ……ん?」
「ハーレム! ハーレムよ! ハーレムなのよ!」
なんだか……ひとりでに熱を噴き始めて、ハーレムと言う語を連呼して、盛り上がっておられますが――。
「あの……それ、冗……談……だから……ね?」




