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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
四章:帰還

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返却

「『聞いた』ことはないけど……葉煙草さんたちにしたって……さぞかし、びっくりなハズだわ」


「……珍しく意見が合うな。言ってやれ、言ってやれ」


 取り上げられた物を――必死に取り戻そうとするヴィルマの手を躱しながら、合いの手を入れる。


「それは必要な物なのじゃ! とても大切な物なのじゃ!」


「……一応、聞いてやろう。なんのために必要なんだ?」


 正直、これをこの子に、そのまま手渡すのは、良識が咎められる……が、用途と理由くらいは、聞いてやっても良いだろう。


「葉巻とラムは、ゲデにお供えするために必要なのじゃ! 同じくラムは、ザカにお供えするためにも重要なのじゃ!! その葉巻もラムも特にお高いのじゃ! わしのお金では、とてもとても買えないのじゃ!! みんなでお金を出し合って、やっと買えた代物なのじゃ!!」


「……ゲデ? ザカ?」


 正直、聞いたことも無い。メトレス・マリアが、ヴードゥーの女司祭と言う話は聞いたけれど。


 ――なので多分、恐らく……。


 その辺の神様のお名前か、なにか……だということは、察せられる……が。

 

「ゲデは、死に関わる全てを司るロアじゃ! ザカは、雷と農業を司る農民を守護するロアじゃ!! 正しく祀らねば機嫌を損ねてしまうのじゃ!!」


 しばらく、そのまま考え込んだ後で――俺は、それらをヴィルマに返してやることにした。


「……良いの?」ネルの意外そうな声。


「無神論者の日本人の俺が、……言うのもなんだけど。宗教上の理由じゃあ、仕方が無い……」


 少なくとも信じる神様も居ない俺なんかが、口を挟んで善いことではないように思えた。

 

 ましてや、この子は日本人でもなければ、ここは俺たちが住んで居た世界ですらない。


 差し出された、葉巻とスキットルをひったくるように奪い返すと――ヴィルマは、小動物が発揮する警戒っぷりを見せて、家の外に駆け出して行き……。


 その日、とっぷりと日が暮れるまで、帰っては来なかった。

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