突如、実装される謎システム
「……そ、それとの? 厚かましいんじゃが……ば、バーガー……。もうひとつお代わりさせては貰えん……かの。……実は、昨日の夜は……ネルに貰ろうた、凍らせた果物以外、食べておらんのじゃ……」
「そういうことは、早く言え」
ネルに財布を手渡して、ヴィルマに好きに頼んで来るように伝える。俺が一緒では多分――無駄に勘の働くこの子は、いらない遠慮を また働かせるに違いない。
「おおぅ♪ 太っ腹ぁ~。行きましょ? ヴィルマ。お腹一杯、注文してイイみたいよ♬」
「ほ、本当か!? そ、それじゃあ! 今度は、スープも注文して良いか?! ……い、いや……あ……こ、こんな旨い話などある訳が無い……やはり、わしは……どこぞに打ち捨てられるの……じゃな……」
「3秒以内について来た素直な、よい子には! バーガーが、好きなだけ食べられる権利が与えられます!」
いきなり発表される謎システム――。
「――っ?!」
「すりぃ~……とぅ~……わぁ……」
「ま、待っ!」
ダッシュで駆け寄るヴィルマ。意地悪く小走りに距離を取って、はしゃぐネル。
「……ん……ゼぇ~……」
「待つのじゃ! こんな素直で、よい子なぞ、そうそう探してもおらんのじゃ!!」(……それは、どうかな)
――必死に追いすがる褐色ロリ。
(……お前ら、仲が良いのはイイけどさ。店内で騒ぐなよ)
こう言う場面では、ネルの朗らかさが、ありがたかった。
俺だけだったら、きっと……ヴィルマの扱いを、持て余していたに違いない。
* * *
ヴィルマの面倒を見ることになった手前。必要な物を買い足しに、またもや いつもの量販店へ。
「えへへへぇ~~~~~っ♬ それで御予算は、おいくらほどぉ?」
揉み手して、薄気味悪い愛想笑いを浮かべるネルさん。正直……少し不安ではあるけれど、一万円を手渡す。
と、同時にコイツは目を輝かせ始めた。




