俺に彼女が、居ちゃ悪いのか?! 泣くぞっ!?
もう少し……穏便に、事を済ませたいところではあったのだけれど……。しかし、その辺に関しては このオークたちの方が、大の得意分野にも思える。
「……お任せします」
なにかとガラでも無く、考え込んでしまっていた俺は、考え直して――ツォンカパたちの思うように、任せてしまうことにした。
そもそもが、これは彼らの問題に他ならない。
「時に……ツモイよ」
そばに控えていた村のオークが、ゴブリンを連れて行くのを確認すると、ツォンカパが珍しく――少し言い澱んで、なにかを訊ねたそうな口ぶり。
「……どったの?」
「無闇に他者を詮索するのは、オークにとって……恥ずべきことではあるのだが……」
(あぁ、なるほど)
曰く「オークの血が昂る」闘争以外のことには、まるで頓着しない こいつが、ここまで躊躇いを見せながらも、俺に聞きたいことなんて、容易に想像が着く。
まさか、このムサいオークが「ツモイ? 今晩は何が食べたい?」などと……わざわざ、そんな気色の悪いことを、訊ねて来るハズも無い。
「これだろ?」指輪の中から、ボトルを呼び出して見せる。
あの夜からすれば幾分も柔らかい、白い光が辺りを照らす。村のオークたちも こちらを向いて、作業の手を休め――あるいは、ボトルを見に近くまでやって来た。
「……これは、俺の連れの……白い龍が、持たせてくれた物なんだわ」
「連れ? 貴様にメスが居たのか……ツモイよ?」
「白い龍」と言う単語より、俺にパートナーが存在したことに驚く、ツォンカパの様子に、自嘲の笑いが浮かんでしまう。
「……それ、凄ぇ傷つくぞ」
「気にするな」
ボトルの光を見つめるツォンカパは、そのことには悪びれもしなかった。
「白い龍に持たされたと言ったか? ――それはよもや、生命を司る白龍ネルのことを言っているのか?」
「知ってんの?」




