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大進行⑱

「こい、ネメス、スーリヤ、キウン」


アルトがそう言い放つと、3種の魔法陣が地に展開される。


そこに現れたのは、アルトの使い魔。

揃って亜神の規格外の化け物立ちである。

ハヴェはその強すぎる気配を瞬時に察知したのか、それらを呼び出した自らの弟子に驚きの表情を向けている。


「3人とも、自己紹介」

「「「御意」」」


膝をついて頭を垂れる3人(2人と1匹)は、立ち上がるとハヴェの方に向く。


「では、私から。 私は主様の近衛を務める神級悪魔のネメスと申します。いこ、お見知り置きを」

「私はご主人の秘書、神級天使のスーリヤよ。よろしく」

「我は主の近衛兼騎獣のキウンだ」


3人が名乗りを終える。

だが、ハヴェは何も言わない。いや、言えない。

世界の均衡を保つ神の眷属、それが神級に位置する天使と悪魔、精霊の長である皇狼だ。

そんな彼らは亜神であり、ハヴェの使い魔である龍如きでは足元にも及ばない存在。


世界最強の種族と呼ばれる龍種が足元にも及ばない相手を3人も目の当たりにして、狼狽しているのだ。


足がすくんで動けない。喉が震え、思うように声が出せない。


ハヴェは、知っている。彼らの恐ろしさを。


それを知らぬものが見聞きしたとしても、''凄い'' ''異常だ''程度にしか思わなだろう。

いや、それすらも大層な反応なのだが、神級と謳われる、亜神である彼らの力を知るものは、そんな安っぽい反応では事足りないのだ。


そんなさなか、キウンはアルトの胸に顔を疼くめ、ネメスとスーリヤは談笑している。

そんな光景がハヴェには恐ろしく思える。

自らの弟子との、格の違いを感じていた。


そうこうしている時間にも、魔物は王都を目指して進行を進める。

街門 から目視出来る程にまで近ずいた魔物は、途端に荒れ狂っていた。


「これは、想定外だな」


アルトはそれを見ながら呟いた。


魔物達は、ある一線を境に進行のスピードを上げ、さらには攻撃的になり、大人しくしていた竜は火を吹き、後方にいたゴーレムは自らの身体の石を投げている。


大きな石は整備された地に大きな穴を作り、火は草原を塵へと変える。



「先生、こりゃやばいぞ」


アルトはハヴェに言うが、返事は無い。

横を見れば、今だなをネメスたちを見ている。


「先生! しっかりしろ」


強く背中を叩かれたハヴェはなんだ? とアルトに言う。


「なんだもクソもあるか! あれ見ろ」

「あ、あれは! 」


ようやく事態を察知したハヴェは、地面に剣先を付けるようにして持っていた剣を手にもつ。


「アルト! 暴れるぞ」


ニヤリと悪戯っぽく笑うハヴェはアルトに目線を送る。

それを見たアルトはヤレヤレと笑いながら言う。


「暴れろ! 」


アルトの言葉がハヴェの耳に届く頃には、既にハヴェは駆け出していた。

そこそこ大きな剣を片手で振り回し、空いた手で魔法具による魔法発動を行い、あたりの敵を蹴散らしている。


魔法具とは、その名の通り魔法の道具だ。

魔法具と言っても様々だが、今回彼が使用しているのは攻撃魔法が込められた魔法具だろう。


盾のような形をした魔法具には、魔法陣が刻まれており、中心にある真紅の大きな魔法石が光ると同時に、数メートル先に大きな爆発が引き起こる。



「あれは、無属性Sランク魔法''空破''……そうか、先生らしいな」


無属性魔法Sランク''空破''

この魔法は空気を破裂させることによる物理的ダメージを与える魔法だ。


本来、魔法具に攻撃魔法を込める場合は低ランクの様々な属性の、様々な用途の魔法を複数込める。


例を出すならば、水属性Dランク魔法水針、火属性Fランク魔法火球、風属性Eランク魔法風壁


のように、用途別の魔法(今回ならば、物理攻撃、爆破攻撃、守護)を選ぶ。


だが、ハヴェは広範囲に攻撃できる空破、それも一つだけを刻むことによって、高難易度の魔法を魔法具発動出来るようにしてある。

魔力は、良質の魔石(今回は真紅に輝く石

)を用いることによって、数度分貯めておいた魔力で発動できる。


本来とは一風変わった使い方をして見せたハヴェに、アルトは少し驚いていた。


(これは、俺も負けてはいられないな)


アイテムボックスから刀を手に取ったアルトは、身体強化魔法を施して戦場に駆け出した。

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