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幼少期②

翌朝になり、窓から眩しい光が差し込む。


コンコン


「アルト様、朝でございます。」


そんな声で僕の1日は始まった。


「おはようミル」


アルトは眠い目を擦りながらベッドから降りる。


「おはようございます、アルト様」


ニコッと笑って「おはよう」というミルはとても可愛らしかった。


「アルト様、朝食の用意が出来ています。旦那様方がお待ちです。あと、お兄様のファル様もお待ちですよ。」


「兄様か、昨日は寝てしまったから会うのは11日ぶりかな?」


「そうですよ、ファル様とても心配していらしたんですから」


ミルが用意した服に着替えながら話を聞く


いかに兄様が心配していたか沢山聞いたおかげで、とても罪悪感が生まれた。


そんな罪悪感を抱え、兄様になんて言おうかなんて事を考えながら、無駄に広い屋敷の廊下を歩く。


すれ違いざまに5人ほど使用人に挨拶をされた。みんな久しぶりなんだろう。


まぁ、僕は初対面でもあり初対面でもないなんか複雑な感じになったけど……


それにしてもこの屋敷はとても豪華だ。繊細な装飾が幾つも施されたツボや、髪の毛1本まで事細かに描かれた絵画。


僕自身は全くと言っていいほど興味は無いが、その中でもとても美しく、凄いものなのだと分かる。


そして、それを幾つも集める父の財力にもまた尊敬を感じた。


「アルト様、おはようございます。中で旦那様がお待ちです。」


「あぁ、セビスおはよう。心配をかけたね。」


ドアの前で僕に挨拶をした彼は我が家の執事長セビス。なんでもできる優秀な執事だ。


[あ、あと一文字! とか、セバスじゃないんかーい! と思った人「良いね」とフォローよろしくお願いします。by作者]


僕が部屋に入ると既に全員揃っていた。


「アルトおはよう」


「おはようアルト」


父様と母様は、紅茶を飲みながら俺を待っていてくれたようだ。


湯気が出ていないことから、かなり前からここにいたのだろう。


「父様、母様、おはようございます。お待たせして申し訳ありません」


軽く頭を下げると気にするなと言われ、俺の紅茶を入れ直すように指示を出してくれた。


「兄様も、おはようございます。それと心配かけてすみません。」


僕は笑顔で兄様に言う。


「アァルゥトォ! 心配したんだぞ。無事でよかった。」


目に涙を浮かべながら僕に抱きついてきた。


僕は兄様を押し返す。


「兄様、苦しいです! 離れてください」


「あぁ、悪いなアルト。おはよう」


「おはようございます」


兄様にもう一度挨拶をして席に着いた俺は淹れたての紅茶に砂糖を2つ入れ、ミルクを垂らし甘くして飲む。


その甘さと温かさに自然とほほが緩む。


フワッフワな白パンにオリーブの効いたサラダ、生ハムが朝食だ。


久しぶりに固形物を食べた為、パンを1切れとハムを数枚食べて、あとはスープしか口にしなかったが、父様は気にするなと言って僕の分も食べてくれた。


そんなこんなで僕は朝食を取り終える。


すると父様の表情が真面目になる。


「アルト、今日は洗礼の日だ。ステータスを教会に見に行かねばならない。体の調子は大丈夫か?」


そう、僕は熱で5歳の誕生日を逃していたが本当は誕生日の日に行かなければならない。


教会に行って神に祈りを捧げ、加護や能力(スキル)ステータスを授かるのだ。


まぁ……僕はもうあるんだけど。


「はい父様! 大丈夫です!」


「そうか、それでは支度をしろ、あと1時間後に出発するぞ。」


「はい」


僕は食堂を出て自分の部屋に戻る。


やっぱり家の中なのにとても遠い。距離にして1~メートル位。毎朝この距離を移動するのはなかなか面倒だ。





部屋に戻ると扉の前にミルが服を持って立っていた。


「アルト様、こちらが今日のお召し物です。着られましたらお呼びください。」


僕は一言有難うと言って部屋に入った。


そして服を着たのでミルを呼んだ


「アルト様とてもお似合いです。後は髪をセットしますのでここにお座りください。」


ミルは鏡の前の椅子を少し引き、座りやすいようにする。椅子の上には分厚いクッションのようなものが乗せられている。恐らく身長が足りないため、高さ調節をしているのだろう。


床屋や美容院でよく見る子供用のと同じものだろう。


僕は腰掛ける。


「それにしてもアルト様のお顔は整っていますねぇ、これでは将来モテモテですね」


ミルは僕の髪を櫛で解きながらそんなことをいう。なのでつい、からかってしまいたくなった。


「ミル、そんな事ないよ。それにミルだって十分かわいいじゃん」


「わわ、私が、かわ、かわいい!? あああ有難うございます」


顔を真っ赤にしているのが鏡をどうしてはっきりわかる。


「フフッ、ミル、早くセットしてください。」


「申し訳ございません。」


まだ耳が赤いのが見てわかる。可愛いと思ってしまった。いや、可愛いんだけどね


そして僕は今馬車に揺られて教会へ向かっている。


そしてその馬車もまた、豪華で僕好みなんだよな。


黒を基調とし所々に白で絵が彫られている。内装は木の良さが前面に出るデザインで座り心地は最高!


それに銀細工が綺麗。ラノベ知識の成金馬車とは随分違った。


そして父様は馬車の中でこんな事を言っていた。


「如何なる結果になっても十神様のせいにするでない」


と……


結果を知っている僕は、心配してくれている父様になんだか申し訳なくなった。






ーーーーーーー



1日1話しか更新しないつもりだったのですが、初コメに浮かれてもう1話あげることにしました。単純なのでコメント、グッド、フォローをして頂けると僕は嬉しいです。

ブクマ登録してくださると僕、嬉しいです

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