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ギルド受付嬢のオシゴト  作者: 廃丁
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第一話 ギルド

「ようこそ!冒険者ギルドへ!

クエストの受注ですか?」


私の名前は高坂サラ。

今は異世界でギルドの受付嬢として働いています。


前世は限界社畜OLをやっていましたが、残業100時間オーバー、パワハラ、セクハラのトリプル役満で精神崩壊。無事過労死しました。


そんな私も来世は異世界でのんびり過ごしたかったのですが・・・


「ゴメン!!サラちゃん!

来世は裕福な国の第一王女の予定だったんだけど、異世界の平民の人数が足りないみたいで。

一回だけ!一回だけでいいから、平民やってくれない?もちろん安定した仕事もつけるから!」


ひげもじゃのサンタさんみたいな神様に平謝りされて、一般人をやることになってしまいました。

はぁ、子供のころから私はこういう頼みに弱い。神様の必死の形相と『安定』という言葉に浮かされてつい承諾してしまいました。


「あ、だいじょうぶですよ。私こういうの慣れてるんで、はい。」


「本当かい!?よかった!助かるよほんとに!

次回の転生は必ずお姫様にするから!ありがとうね!」


なんというか学生時代のバイトを思い出す。あの時も何度シフトを交代したことか、そのせいで落とした単位も片手で数えられないほどある。はぁ、私の人生はこういう事ばかりだ。




異世界に転生してからは平凡な人生を歩みました。生まれは地方の農村、親は貴族崩れの訳アリでもないし、元S級冒険者のナントカカントカでもない。ただの普通の農民AとB。幸い私は顔だけは悪くなかったので、村の男の子たちからはモテにモテました。


大人になってからは、女の子ということで近場の大都市に出稼ぎ。とんとん拍子で冒険者ギルドに就職して現在3年目です。お局の先輩ギルド嬢とかわいい後輩ちゃんに挟まれて、死ぬまでギルドで働きます。





「はい!クエストの受注お願いします!」


私が座る2番受付に来たのは新米冒険者のルルさん。2か月ほど前にこの町に来て、冒険者として駆け出した期待の新人です。まだパーティにも入っていないようで、難易度の低いクエストを受けては、日銭を稼いでいるみたいです。


「かしこまりました。ルルさんの冒険者ランクはEランクですので、こちらの中からお選びください。」


冒険者にはEからSまでの六段階のランクがあります。その人の実力や経験によってランクが決まり、受けれるクエストも変わってきます。ルルさんに提示したのは、スライム討伐や採集クエスト、飼い猫探しなどのEランククエスト。


正直、スライム討伐くらいなら、私も故郷の村でやっていました。空気の抜けたダイエットボールくらいの水の塊を、棍棒とかで叩き潰すだけの作業です。つまり、ほとんど攻撃力のない幼少期の私でも難なく達成できるクエストということです。しかし・・・


「ええと、どうしようかな、

まえスライム討伐に行ったときは、一匹も倒せずにリタイアしちゃったし。

発火草の採集はドジって服に引火しちゃって死にかけたし、、、」



そう、このルルという冒険者は絶望的に冒険者に向いていないのです。攻撃手段がないというわけではないのです。ルルさんの職業は魔法使い、様々な魔法を駆使して戦う遠距離アタッカーです。それだけ聞けば、スライムなど簡単に駆除できそうですが、ルルさんの場合そうはいきません。


ルルさんの戦い方はなんというか鈍臭いのです。一匹スライムを見つけると、それに集中しすぎてしまいます。魔法の照準を合わせるのに10秒かかって、その間に後ろから別の個体に襲われてしまうのです。たまたま近くに私がいたからよかったものの、あのままでしたらスライムに殺されていました。



「あの、でしたらこちらのクエストはいかかがでしょう?」


「え、これって老人の介護の仕事じゃないですか!」



もう冒険者ギルドというより、ハローワークになってきましたが、ルルさんが死にかけるよりはいいでしょう。老人の介護なら死ぬことはないでしょうし、介護を希望されている方も元冒険者の方の様です。万が一何かあったらその方に守ってもらえば、ルルさんも安全でしょう!



「はい!元A級冒険者のロックさんの介護です。ご本人は特に足腰が悪いわけでもない、ということなので特に心配することもないですよ!」


「ボク一応冒険者なんだけど・・・

まあ、やってみようかな!」


「では手続きに入りますね!こちらをお持ちになって、ロックさんのお宅へ向かってください!

では、いってらっしゃいませ!」


私は前世で身に着けた輝くような営業スマイルを見せて、ルルさんをお送りしました。冒険者ギルド嬢ができるのはここまでです。あとは冒険者の方がクエストを達成するのを信じて待つ。なんだかんだ言って私はこの仕事が好きです。世のため人のため、冒険者の皆さんのために、私がお姫様に転生するまで精一杯頑張りたいと思います!



「いてっ!」



あっ、ルルさんころんじゃった。

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