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前日譚 -1話(1/2)

本編前日譚を各キャラ視点で書いてます。


冒険者ユナの前日譚をどうぞ。

(長くなるので2話構成です)

彼ら…じゃなくて、エステルさん達に出会ったのは王国の外れにある村のような田舎にある街でした。

私はそこの街にある教会で聖職とは名ばかりのお手伝いをしていた白魔導士でした。


…白魔導士のくせに黒魔法が使える、異端の子。ケガレの子だと追放された私を受け入れてくれたこの教会。神父さんは優しかった。私の他にも行く宛のない孤児を引き取って孤児院の真似事もしてくれていたのです。

孤児の中でも年長組だった私はいつの間にか神父さんのお手伝いを始めました。…他のみんなにはただの白魔導士であるように。黒魔法が使える事がバレないように…


ある日、街近くのダンジョンの様子がおかしいと調査の為に複数名の冒険者さん達と当時Cランク上位だったエステルさん達が私達の街にいらしたのです。


…調査の結果、魔物大量発生(スタンピード)の兆しがあるのでこの街から逃げて欲しいとの事でした。

我々だけでは対処出来ない…いまから応援を呼んでも間に合わない…それは私の視界を黒に染め上げるのに充分な言葉でした。


しかし神父さんは動こうとしませんでした。この子達を頼みます、と私を含む孤児達を冒険者さんに預けるだけ預けようとして…

「これでも、元Aランク冒険者だったんですよ?」

知ってます。…お酒は戒律で厳禁なのに呑んで酔うと冒険端を聞かせてくれてましたから。

「少しでも被害を少なくする為に…あの子達に追い着いてくれるなよ…」

そう言って、錆びた剣を取り出して街の外に駆け出すあなたになんて言えば止まってくれたんでしょうか?

「いや…待ってよ!!神父(おとう)さん!!」


それでもあなたは止まってくれませんでしたね。

…大きな怪我を負って、完治しないから引退して神父になったあなたに…なんて、言えばよかったの?


絶望でその場にへたり込む私。

黒魔法を使えば魔物を倒せるかもしれない…でも使いたくない…バレたら…隠していたのにバレたら……

街のみんなは、冒険者に連れられて隣町に逃げている事だろう……もういいや、いっそのこと…

そう思った私を、エステルさん。あなたは思いっきり頬を叩きましたね?…とても痛かったんですよ?

…まぁお陰様で目が醒めましたが。

「もし、貴方が戦えるなら。戦わないと後悔するよ…」


その言葉は今でも耳に残っています

私はお礼も言わずに駆け出しました。


…あの時はわかりませんでしたが、他の冒険者さん達は行ってしまったのにエステルさん達が残ってくれていたのは私と神父さんを心配してくれていたからだったんですね?


街の外には既に大量の魔物が現れていましたがその中に闘っている神父さんの姿はありませんでした。

立ち止まる私の前に追いかけて来てくれたエステルさん達が現れました。

「ここはボクの出番だね!!いくよアルフ!」

「あいよ!」

アルフと呼ばれた少年は魔力で出来たレールを作り出し、武闘家の少女を急加速して発射。

飛び跳ねるように攻撃を繰り出す武闘家の少女ネルさん。彼女の空中の足場を魔力で作りながら、剣と初級魔法で牽制するアルフさん。


その後で魔力収束を始め動かないエステルさん。

「…あっ…えっと…【攻撃力上昇】!」

一瞬呆気にとられましたが、皆さんに攻撃力上昇を付与し、徐々に魔物の数は減っていきましたが

「それでも数が多すぎます…」

絶望が口からこぼれ落ちた時

「あっ…危ない!!」

アルフさんに魔物の攻撃が届きかけて……咄嗟に黒魔法を使ってしまったのです。


「う…あぁ……」


ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ

キラワレルキラワレルキラワレルキラワレルキラワレルキラワレルキラワレルキラワレルキラワレルキラワレル


咄嗟の黒魔法。使いたくなかった。

ヤダ。嫌われる…そんな目で私を…見ないで…


「ふぅ…助かったわ」

泣きそうになった私の横に駆けつけ、頭を撫でながら彼はそう言った。

「…ふふぇ?」


直後、中に浮く私の身体。

お姫様だっこされてる事に気づいたのは数瞬後。

…目的は導線から出す事だったんですよね…!別になんでもないです!!


「いけぇ!!ぶっぱなせぇ!!」

「お姫様だっことか羨ましくないんだからねぇぇぇ!!収束せし極光よっ!我が眼前の敵を薙ぎ払え!!【剣閃】」

エステルさんが剣に収束した魔力を剣ビームとして放ち魔物の大半を薙ぎ払ったのです。

「でもまだ数が…」

「ボクの出番だから安心してぇ?」

まだ抱えられた私の頭をポンっと叩き、ネルさんは飛び出した。残った魔物達はエステルさんとネルさんが完全討伐し、魔物大量発生は一旦落ち着きました。


一旦落ち着いた事で、黒魔法を見られた事に気付き、声にならない声が口から盛れるだけになってしまいました。

「あ…あぅ…う……」


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