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前日譚 -2話

本編前日譚を各キャラ視点で書いてます。

冒険者ネルの前日譚をどうぞ。

ボクは昔は男勝りで、女友達と遊ぶより男友達と遊ぶ方が楽しかった。

…けど成長するにつれボクを見る目が変わってきた。男友達も。女友達も、全員。


なんだよ…そんな目で見るなよ…


ボクはいつの間にか独りぼっちになった。

昔のように絡もうとしてくる男友達を避け、遠のけ、突き飛ばす。

陰湿になじってくる、変な噂を流す、なぜだかボクのせいにする女友達とも縁を切った。


ボクの行ける先は1つしかなかった。…冒険者。逃げる為には冒険者しかなかった。

役職は武闘家。うん。独りでも大丈夫。

ずっと独りきり…大丈夫、まだ大丈夫。

あれから数年、だいじょうぶ。まだ、だいじょうぶ…


なぜか親切にしてこようとするおじさん冒険者。

裏路地の依頼を見せてくる受付嬢。

嫉妬の目で見てくる女冒険者……


結果なんてわかりきっていた…

ダンジョンでの魔物討伐直後で疲れたボクは、こっそりついてきた冒険者たちへの警戒を解いてしまい…毒矢を受けた。

身体が動かなくなる毒だった。あいつらの誤算はボクにはちょっとだけ毒耐性があって受けた直後は全力で動けた事だろう、ザマァみろ。


ダンジョンにいたやつらを必死にボコり、必死にダンジョンから逃げて、あいつらの増援からも逃げた。

ニヤニヤしながら追ってくるあいつら。だんだん動かなくなる身体。


怖い…こわいよぉ…


ゆっくりと近づいてくる…もう身体は動かない。

あいつらはボクの服に手をかけて脱がす。破り捨てる。


なんでよ…なんでボクなの……ねぇ誰でもいいからたすけてよぉ…


一人の男の手がボクへ伸びる。ボクは強く目をつぶった。


ドォンという轟音がボクの目の前から響く。

「へ…?」

情けない声と共にボクは目をあける。


「なにやってんだてめぇら?」

声の主が呆れたような様子でボクに手を伸ばしたやつを蹴り飛ばしていた。


「きっ貴様ぁぁぁ!!」

ボクの近くにいたあいつらの仲間が叫ぶ。

「はぁめんどくせ…エステル連れてこなくてよかったわ…動くなよ?…助けてやっから…」

ため息をついたあと、彼は自分が着ていたローブをボクに被せて…彼の目は真紅に染まった。


【全狂化】【狂化スタイル:鬼『腕力狂化』】


直後轟く咆哮。見えないほど速い腕。その細腕に見合わない破壊力。

それから、ぶっとび続ける人、人、人。

ボクは(人ってあんなに吹っ飛ぶんだぁ…)と呆けながらみている事しか出来なかった。


あの姿はボクが憧れた、暴の化身そのものだった。


「…ふぅ、ちと使いすぎたか…あー大丈夫か?」

「あぃ…がと…」

毒の影響か呂律が回らない…お礼もきちんと言えないなんて…

「まいったな…解毒できるほど魔力残ってねぇし。毒消しもねぇ…仕方ねぇ…ちょっとだけ手荒くいくぞ?」


そういった彼はボクを抱きかかえて…

「!?!?!?」

【半狂化】【狂化スタイル:人狼(ウェアウルフ)『脚力狂化』】


彼が元いた街へと駆け出した。とても早くて、憧れた速さで…頬から水が流れて……ここまで速ければ、全部から逃げられたのかな?

お姫様だっこが恥ずかしく。今までの恐怖が、堪えていた恐怖一気に襲い。ボクは強くしがみついた。

「…よく頑張ったな」

彼は迷ったあとにそんな言葉だけをボクにかけてくれた。

なんだよ、頑張ったなって…中途半端な言葉じゃないか…


でもね?久しぶりの人の暖かさはね?とても、とても心地よかったんだ…



「アルフ。正座」

「いや、あのだな…」

「アルフ。正座」

「はい…」

「使ったのね?」

「いや、まだ倒れてな…」

「使ったのね!?」

「…はい」

「自分を大切にしてって何時も言ってるでしょ!?」


ボクがいた街とは別の街の宿に着いた直後アルフと呼ばれた少年はエステルと呼ばれた少女に怒られていた。

アルフと呼ばれてるんだ…ふーん。


その後ボクはエステルに解毒してもらい、エステルに連れられ服装を整え、この街の冒険者ギルドに向かった。

どうやらボクがいた街は数年前から盗賊団が裏から牛耳っておりボクは目をつけられていたらしい。

新人冒険者で周りとの繋がりは薄く、一人でも戦い続けられる才能持ちの武闘家。あのままだったらボクは洗脳されて、盗賊団の用心棒兼にされていた。

と後から報告を受けた直後は恐怖で身体が動く事を拒否した。


エステルがボクの頭をゆっくり撫でてくれた。

ボクは2コ下にしがみつき、情けない程に、大きな声で、泣き叫んだ。


アルフレッド…アルフは盗賊団の根城の調査というクエストを受けてボクがいた街に来てくれていた。

…彼が来てくれなかったら今頃は…運命なのかな?


調査も終わり、エステル達はダンジョン巡りで街から出るってなった。ボクはこの街で冒険者を続けてくれていいって言われたケド…


正直。無理だ。


アルフ以外の男性を見ると身がすくむ。

アルフ……いや!エステルに抱きつきたくて仕方なくなるの!!


だから…

「ボクはネル…武闘家ネル!!…ボクもつれてってよ!…他の冒険者はまだ怖いんだ…でも、キミ達なら邪険にしないでしょ?ねー頼むよー!」


無理矢理にでもエステル達についてくことにした。

以外だったのはアルフが全く()()()を使わない中衛だった事だ。


へぇ…ならボクが真似てもいいよね!?

それからボクは目に焼き付いた彼の動きを模倣した。元が彼の動きだからか、エステルもアルフとも動きを合わせるのは楽だった。


アルフとも息ぴったりで欲しい時にサポートしてくれる…


ねぇ?アルフ?ボク達、ベストパートナーじゃない!?

…なんちゃって!!

このあとアルフいなくなるんだよね…

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