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14話

呪いをこの身に貯めて使って10数年。いつかめっちゃ火力を出す時があれば、と思って貯め込んでいた。

ぜんぶ、ぜーんぶ変換される…

はぁーあ、と溜息一つ。俺は刀を構える。

これを使う気は無かった。救う気も助けるつもりもなかったのに…それが全部パーだ。

あーあ、全部。


お前のせいだ。


【呪詛転祝:聖闘気強制解放】


ドラゴンの爪が俺を襲う。動かない俺に爪が直撃するが俺は微動だにしない。

「驚くなよ…俺は、今。()()()()()()()()()


単純にラースドラゴンの攻撃さえも通さない防御力。

単純にラースドラゴンの防御すら貫通する攻撃力。

失った力と引き換えに得た力は単純。

単純なスペックの向上。ゆえに嫌いだ。

イージーモード。イージーゲーム。無敵に近いコレを俺は嫌悪する。


返す刀で爪を切り落とす。その剣筋はかつての狂気も狂気の先の技巧も疾さすら失った。ただの経験だけで振るわれた一刀。…だが、いとも簡単に切り落とす。


グオーとドラゴンが吠えた。うるさい。

クサナギは火炎を生み出す事は出来ないが、襲ってくる火炎のブレスは全て刀で操れる。

そして、集めた火炎は刃先に圧縮。炎の刃と化す。


お返し、だ。


足を切り裂く。切り落とすにはリーチが足り無い…まぁいいか。


ドラゴンは不利を悟って動けないヤツにターゲットを変えようとするが…あめぇよ。


目を切り裂く。足を切り裂く。爪を切り落とす。尻尾を切り裂く。喉を切り裂く。ありとあらゆる武器を奪う。…なれどもドラゴンは諦めず、こちらもドラゴンを殺し切る手段に乏しい。

単純に攻撃力と防御力が高くとも、決定打に欠けている…しかたねぇがあれやるか。呪装延期追加はいりまーす。延期2ヶ月コースかよ!


「呪いは反転する…その光で呪詛を包み給え!祓い給え清め給え……収束せし光刃すなわち!」


【天聖】


刀に光が収束し貯めた火炎さえも光に包まれる。

振り下ろされた刀から放たれる縦の一閃。すなわち鋭いビームがドラゴンを一刀両断する…が。


「まじかよ…しぶてぇなぁ…」


すんでのところで致命傷を避けやがった…直撃する寸前、頭と心臓をズラして耐えたのか…これだから広域殲滅系じゃない技は!!


ドラゴンはニヤリと笑う。即座に自己治癒が始めたのかよ…表面上はくっついたドラゴンの身体。だが重症で今は動けないだろ?動く余力は…あるかい?

…狙うは頭、か。


クサナギを構え直す。呪いが消えた。火炎の刃が尽きた以上はこれは単に折れず切れ味のいい祝福された刀に過ぎん……いっそ聖闘気で殴るか?


一瞬の長考。ゆえに背後から飛び出す姫様に気付かなかった。

姫の一閃。ドラゴンが怯む。

「弱ってます…指示を!!」

「俺らも行けるぜ!」

「…頼む!」

「…あぁ!もうてめぇら…!!相手はその場から動けねぇ!速さだ!速さで撹乱しろ!」

「「りょうかい!!」」


盾役の護衛兵すらも盾を捨て撹乱攻撃を行う。対したダメージになっていないが…それでいい!


「リコ!」

俺は叫び、聖闘気をリコに譲渡する。常人なら耐えられないんだろうが…

「はい!」

聖闘気はリコの身体に収束。さらに輝きを増した。

さすが王家の血筋だわ…黒い部分が一切ねーじゃん。


「…決めろよ、姫サマ」


姫サマはそれはそれは高く飛び上がり、聖闘気を収束した王家の剣をドラゴンの頭目掛けて振り下ろしたそうです。


「ファイナルぅぅ!ストラァァァイク!!」


なんだそのクソダサネーミング!?ダッサ!!小学生か!?

なんだそのクソダサネーミングは!?(2回目)

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