12話
期間が空いたので実質初投稿です()
全15階層のダンジョン。その12階層攻略後に休息を取ることに。
ここまで来るのに約8時間。護衛兵がアイテムインベントリからテントや魔物避けアイテムを取り出し準備をする。
俺は1人ダンジョンの壁によりかかり装備を確認する。
見た目からしてもボロボロな魔導書…もつか…?これ…
軽く目をつぶり、出発前のやり取りを思い出す。
「私達の目的は全15階層のダンジョン、王家の試練を攻略し最深部の精霊に認められる事です!」
姫様が真剣な顔で宣誓する。
「…姫様…」
おつきのおじいさんが心配そうな目で姫様を見て、姫様は俯きながら答えた。
「これっきり、です。これっきりです、じいや…お転婆姫もこれでおしまい…ですから!」
「…ご武運を…」
なにやら深い事情があるのだろうが…深入りしないのがいい冒険者ってな…
俺は現実で大きく息を吸い込み、吐き出す。
刃こぼれが酷い剣を撫でながら、最悪を想定する。
強い呪いは見ただけでも影響される。
……それがどんな影響を与えるかわからない以上、大呪刀は使えない。
…かくなる上は…やるしかない、か…
『かまへんで、アニキ』
わりぃな……助かる。
全員が休息を取り準備は整った。ダンジョン攻略の再開だ…
姫様の号令の元、護衛兵が先行する。
…もう俺の指示が無くとも動きは別物。いや、本来の彼らの動きに戻った、というだけ。それだけの話だ。
ダンジョン内の魔物は外よりも強いが、少なくともBランク推奨の魔物程度じゃ、もはや敵じゃないらしい。
平常時でも強い奴らは羨ましいこって…
俺は最低限のフォローをしつつ最下層に辿り着く
最下層のビルをブチ抜いたような広い、広過ぎる空間に佇んでいる1匹の魔物。
「嘘だろ…」
「…ラース…ドラゴン…」
両目両翼に傷があるラースドラゴンがこちらを見つめていた。
「あんにゃろ…俺の記憶を読みやがった!!」
あれは俺がつけた傷。そして俺が討伐したやつ。
クソがよ…!もう一回遊べるってかぁ!?
ラースドラゴンはニヤリと笑うと、姫様に向かって尻尾を叩きつけてきた。
呆気に取られている姫様。一瞬で正気に戻るが、その一瞬が命取り。
なんの準備も無く、その尻尾は姫様に。
無防備に。攻撃が。
【死ぬ】
「クソがよォー!」
尻尾が振り下ろされると同時に俺が跳んだ。
【1/4狂化:脚力アップ】
無論。間に合う。
魔力で臨界寸前魔導書。こいつを尻尾に先に投げつけておいた。触れた瞬間爆発する魔導書。爆撃で尻尾を減速させつつ、爆風で加速し姫を突き飛ばす。
…が俺は直撃をさけたものの尻尾と爆発の余波でひでぇー目に合う。
糞いてぇ…すぐに体勢を立て直しアイテムインベントリからラス1のポーションを飲み干す。傷は塞がったが…出血が多い。狂化は維持できない…
…だがこれでいい。
「なにボサッとしてんだバカどもが!!引率がいるピクニックじゃねーんだぞ!!てめぇらの試練だろーが!!」
これは俺が主役じゃない。あくまでも引き立て役だ。
王家の試練なんだから、王女様が頑張らねーとな?
一瞬の静寂の後、王女の号令で戦闘が開始された。
そこには脚が震えて動けない情けない姿を見せるヤツはいなかった。
…しかし、これは…分が悪い。最悪は…姫様が死ぬ、か。
俺は強く剣を握り直した。
この寒さと過労気味で体調を崩しておりまして…
そろそろ1章のクライマックスにさしかかってきてますので…
がんばるぞー




