11話
「…さすがですね。ラースドラゴンを1人で討伐された方ですぅ!あ!ファンです!握手してくださいねっ!」
王女サマが空いてる俺の左手を掴みブンブンする。
「は…コイツが倒したのはグランドドラゴンでは…?」
ジークが自分の中の事実と違う事に驚く。
「えぇ事実そう言う事になっていますが、真実はグランドドラゴンではなくラースドラゴンの討伐。しかも、成長強化個体。白銀さん達でも勝てない相手をした1人で。圧倒的なまでに。大火力で!!……そんな方を王家は名誉の為に、民の為に評価を落とし報奨を落とし、扱いきれなくなった呪物さえ押し付けた…!!恩人に…!不当な扱いを強いたのです!!この国が滅んでもおかしく無かった、それなのに……此度は経歴に箔をつけて貰うだけ、と軽く考えて…私は…!……謝罪致します」
圧倒的な感情の闇を一瞬感じたが…なるほど。今回呼ばれた理由はこれか…にしても謝罪ね。
「それが王家を代表して、なら受け入れないぞ?」
「…勿論、今回の私の落ち度。装備の事です。受け入れて頂けますか?」
「勿論。それと、大呪刀の件は気にしなくていいさ…アイツの事は気に入ったからな!」
「ありがとうございます…ほんと規格外なんですね…凄いです!」
「あはは…最大火力はソロ&ダンジョン街限定だけどな…」
右手の剣を軽く振りながら、そう答える俺。
「…改めてご依頼致します。レッドフード様。私と共にダンジョンを潜ってください」
そういって頭を下げるリコ様。
「姫様…」
「はぁ…護らねぇぞ?」
「…はい」
「足手まといは置いてくぞ」
「…はい」
「絶対に生きて帰るという覚悟はあるか?俺を捨てでも生きて帰るという覚悟が」
「…はい!!…ですが、絶対に全員で生きて帰ります!」
「よく吠えたルーキー!赤ちゃんは卒業のようだな?…改めて、■■呪装狂戦士レッドフード。同行しよう…今回は呪術を封印して中衛職と遊撃手として動かせて貰う」
「…う〜!…宜しくお願いしますっ!」
「ラースドラゴンを単独でだと…そんなバカな事があるかよ……」
ダンジョン突入前はそんな事を言っていたジークだったが
「レッドフード…すごい」
どうやら語彙力も一緒に消えたようだ。
護衛兵が全員ダンジョン素人同然で動きも悪い。
装備や戦闘力は高いが、狭い場所での戦闘や進行そのものが慣れない場所ゆえに戸惑い、判断が遅くなりすぎていた。
見かねた俺が司令塔として姫様含めて指示出し。
「てやー!」
遊撃手として姫様も動き、護衛兵にカバーさせる。
俺も指示出ししながら全体を見ながら新しい驚異を察知しつつ隙を作り出す為に魔法を叩き込み、剣でもヘイトをかって回避盾を兼任する…
やる事が…やる事が多い!!




