6話
ドラゴンも吼える。
並の冒険者なら動けなくなるほどの咆哮。
目の前にいる人間は餌ではない。殺すべき強敵。
ゆえに、お互い全力。
爪には爪を火炎には火炎を。互いにぶつけ合う。
ドラゴンの爪は受け流されるが鉄壁は揺るがない。
ドラゴンが1度攻撃する毎に数度の反撃が鱗を削り取る。だがそれがどうした?
火球を口から放ち、距離を取らせる。ほら、もう治ったぞ?次はどうする?
愉しいな。あぁ楽しいぞ、人間。
よくぞここまで高めた、だがこれまでだ。
【奥義:灼熱地獄】
「うへぇ…まじかよ…」
ドラゴンは火を纏った。近付けば火傷じゃすまない…もう近接戦闘は許されない。死んじゃうからな。…それと…!!
ドラゴンの動きが加速し速く、正確に爪がこちらを捉える。身体強化の奥義…だてに奥義を名乗ってないよなァ!!
さっきまでの応戦は互いに様子見。ドラゴンは奥義ゲージ溜めに尽力してたって事だったって話…
…ならしょうがねぇよな。あぁしょうがねぇ…!!
俺は2丁拳銃のトリガーを引く。
極太の魔力の光線が、ドラゴンの纏った炎を灼く。
「レッツ、ロックンロール…」
極太の魔力の光線は絶え間なくドラゴンを襲う。
連射、連射、連射、連射。
反撃に転じる隙も…ない…ッ!!
Aランク推奨以下の魔物を瞬時に消し炭に変える光線…ドラゴンも奥義を使っていなければ大ダメージを受けていただろう…だがまだだ、いつかは息切れするはず…こんな火力いつまでも保つはずがない…いったいいつだ…いつまで保つんだ!?
「悪ぃな、これゲージ回収用武器でただの通常攻撃なんだわ…」
いつの間にか炎の衣は剥がれ落ち、気付かぬうちに接近を許していた。…なんだとぉ!?
我輩の下に潜り込んで…
「楽しかったぜ…クソドラゴン…」
銃口はこちらを向いていた。
【限界突破:ワンポイント•フルバースト】
「ジャックポット」
見事…天晴である。強きものよ…そなたを認め…
天を裂く一撃は、ドラゴンの首から先を消し飛ばした。文字通り、無に帰した。
「ふぅ…クソ必殺技まで使わされるとは……難易度狂ってんなぁ……ま、ゲームの難易度と同一視してる俺の方が狂ってるか…はは…」
デモンズ᙭マキナのアルティメイタムスクリームナイトメア:オーバーヘルの超絶最高難易度なら銃撃さえも敵の装甲にダメージを与えられるか程度。文字通り、必殺技回収用武器でしかない。
しかしここは別世界…初期必殺技でこの威力…レッドフードは己の火力認識を改める事にした。
「しっかし…このドラゴン…どうすっかなぁ…騒ぎにならないといいんだけど…」
しっかり騒ぎになった。ギルドマスターに呼び出しもくらった。




