5話
俺の役職にとってブラッドウェポンは必須。
無ければ火力、驚異の99%オフのバーゲンセールが始まるぐらいには。
血塗られた呪いの武器…ブラッドウェポン。
他者を傷付ける事で、自身の生命力を回復するが持っているだけで武器に生命力を奪われる。
よって所有者は他者を傷付ける事を強要され、やがて呪いがもたらす狂気に支配される。
…そんな武器のデメリットを無視した上で、もっとヤバイデメリットを自分に課して戦う。それが■■呪装狂戦士。
「ヒャッッハァァァァ!」
とりあえず、平原の敵を試し斬る俺。
【並列狂化スタイル:人狼『脚力狂化』 • 鬼『腕力狂化』 • 吸血鬼『操作狂化』 • 妖狐『??狂化』】
手に入れたブラッドウェポン:2丁拳銃は低レア武器とは言え狂化限界+99まで狂化したし、今までの相棒とは比較にならないだけで、そこ等辺の敵にぶっ放すと森ごと消し飛ぶ可能性を考慮し、撫で斬る程度に留める俺。なんて理性的…!!
遠距離の敵には初級火魔法と呪術狐火をかけ合わせた焔玉を銃口の先からぶっ放して対処する。
ノーリスクで狂化スタイル維持と呪術を使えるなんてテンションあがるなぁ…!…今までは体内血液を対価に狂化スタイルとか呪術を使っていたから戦えば戦うほど弱体化してたからなぁ。
テンションに任せて近寄る敵を撫で斬りにしていたが、違和感が警笛を鳴らす。
おかしい…Dランク推奨の平原でCランクやBランク推奨の魔物が多すぎる。近くのBランク推奨の森からわざわざ餌のない平原に…?
違和感の答えは俺の前に降り立った。
「ラース…ドラゴン…」
かつて両目両翼を奪われ、人間如きに引き分けたラースドラゴンは復讐を誓っていた。
こんな目に合わせたやつを殺す、と。
傷は癒え、その身体は以前よりも大きく強く、両目はかつてより視えるようになり、両翼は二度と貫かれぬ剛柔さを手に入れた。
「ちったぁ大きくなったんじゃねーかぁ!?成長期かよチクショウ!」
ドラゴンは笑った。
俺は軽口を叩きながら斬りつける。
【暗黒武闘:暗黒爪乱舞】
ガキンッ!と音を立てて弾かれる。
「おいおい、まじかよ!相変わらずかってーな!」
ドラゴンは笑みを浮かべながら、火を吐き出す。
【混合魔呪術:焔玉】
ダメージは受けられない。俺は焔玉で相殺する。
攻撃力は互角といったところか…しかし防御力はこっちはプリン並。シンドイが…これよ、コレ。
「この瞬間を待っていたんだァァァ!!」
リミットゲージ…いわゆる必殺技ゲージは満タン。いつでも発動可能…だが
「不粋な真似は出来ねぇよなぁ!こいよ!クソドラゴン…こっからが本番だッ!」
【血の盟約】
それは呪装狂戦士が持つスキル。
基本的にブラッドウェポンを持っている時に発動するアクティブスキル。
その内容は、体内の血液を致死量ギリギリまで武器に捧げる事で代わりに魔力や呪力の制限が消え失せるものだと考えてほしい。
RPGに例えると、HPが1に固定される代わりに魔力とスキルを発動するコストがゼロになるみたいなモノ。
血の盟約発動中は血液低下のデメリットを享受する必要はないが…他者からの回復魔法も受け付けない。
1撃でも攻撃を喰らったら最後。ジ・エンド。来世に期待。
…だがそれがいい。




