4(両想編) ビアンカ~side~
ビアンカ~side~
ミリィは、小さくて、すごく可愛いのに、真面目で、私がやきもきするくらい不器用で、どうしても世話を焼きたくなってしまう。
最後の年越しパーティで、イブスタイン侯爵子息にエスコートを申し込まれたと聞いたときは、そっちか!と驚いた。図書室で、見目麗しい3 人が集まっている席は、神々しくて誰も近寄れないことで有名だ。珍しく図書室に行ったとき、ミリィに見つかり、同席したことがあるが、コール伯爵子息はミリィの話にひたすら優しく相槌をし、微笑みながらミリィをずっと見つめていた。そのとき、女の勘でコール伯爵子息はミリィにぞっこんだと思った。
イブスタイン侯爵子息は、ミリィより上位貴族なのでエスコートの申込は断らないほうがいいけど、奥手なミリィには荷が重いだろう。ドレスだっていくらでも貸すのに、借りてもらえないし。私が怒り出すと、なぜかいつも大好きって言われるし。
でも、ミリィを着飾れるわけだから、私的にはありがたいことだ。ルパルト伯爵領は、農業や酪農が主産業なのだが、税収を抑えながらも、灌漑工事などはしっかりやるので、いつでも伯爵家は貧乏だった。そのせいで、ミリィは質素倹約で、全く飾り気がない。週末は、図書室で借りた本を読んで、王都に買い物にだって遊びに行かない。
留守番しているミリィにお菓子を買ってきたら、次の日、お菓子がラッピングされてたリボンが、ゆるく波打つ柔らかい髪の毛に付いていた。可愛いすぎる。
ミリィが特産の小麦粉と乳製品を使って何か作りたいと言い出したときは、お父様に頼んで、学園内に調理室とお茶室を備えた別棟と建てて頂いた。ミリィには、うちの公爵家が建てたことは秘密だけど。
調理部を立ち上げたときぐらいから、ミリィは髪を結い上げるようになった。柔らかいミリィの髪が恋しくて、悲しくて、眠れなくなってしまい、ミリィの顔を見たら安心するかなと、寮室をノックしたら、なんと、髪を下ろしたミリィが出てきた。これだ!と思い、毎日寝る前にミリィにおやすみを言いに行くことにした。