3(両想編) ルキ~side~
ルキ~side~
親友のリアンが、めずらしく女の子に興味を持ったことがきっかけだったけど、あのときミリィに話しかけに行った自分を褒めたい。
あどけない少女は、いつでも緊張していたし、王都に慣れずに困っていたようだが、それでも自分の居場所を見つけようと努力していた。
素敵な女性に成長していく様子を、5年間も近くで見ていたら、好きにならない方がおかしい。
ミリィが文官になりたいと言ったときは、かなり驚いた。普通の令嬢なら、自分で働く将来を考えるより先に、良い嫁ぎ先を見つけるのに。ミリィは優秀だったし、ルパルト伯爵家は実直だから、支度金もなく嫁ぎ、冷遇されるよりは、自分で生計を立てた方が安全だと考えたのだろう。
リアンもミリィのことが好きなんだろうと思ってたけど、最近、実は違うかもしれないと考えはじめていた。リアンは極めて器用な奴なのに、ミリィの前で「…あぁ。」以外の言葉を聞いたことがない。他の令嬢とは、仲良く話しているのに。リアンが本気だったら、とっくにミリィを婚約者にしてるはずだ。
今年の年越しパーティは、ミリィも参加するようだし、他の誰かがエスコートするくらいなら、自分が誘いたいと思った。