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陰女子宅への訪問者  作者: 八刄あぬ
春休み篇
8/23

最初の一歩

そしてショコラが珍しく部屋を出た。レインは動機は知らないが、その行動に少し嬉しくなる。そしてラテの部屋前。部屋の中にはアイラビュとラテが他愛ないテレビの話をしており、レインとアマサケがショコラの跡を追っている。ショコラが冷蔵庫を開く。ショコラは何かを探しているようだった


「どうした?ショコラ」


レインが聞く。そして冷蔵庫を見ると、理由は分かった。ショコラの大好きなケーキが一つも無かった。ショコラが後ろを向くと、ラテの部屋でアイラビュがチョコケーキを食べようとしていた。レインもそれに気がつく


「待てアイラビュ!!」


アイラビュは手を止め、何事かとこちらを向く。アマサケは言う


「いや、ケーキを少しな」


アマサケは皿とフォークを持ちアイラビュの方へ行く。ショコラの方へ戻って来ると、皿には半分にされたケーキが乗っていた。ショコラは少しがっかりしたような顔


「アマサケ、これは虫歯だからか?」


ケーキは横半分にされており、幅は均等でも面積は均等でないケーキの前の部分を持ってきていた


「ショコラ、お前は虫歯。加えて依存症みたいなもん。更にケーキで腹を膨らませると、今必要なタンパク質を万足に取れなくなる。故にケーキは二日に一回、この量だけと私は推奨する。これは推奨ってだけ。明日いい物持ってくるな」


アマサケはショコラにチョコケーキを渡し、そのまま帰っていく。ショコラは口を大きく開け、その少ないケーキを全て口に入れる。噛んで飲むが、全く満足はしていない。その場に崩れ落ち、ショコラは声も無く泣いてしまう


「ショコラ、今が頑張りどきだ」

『ここは心配してはいけない場面だろう。本人だって分かってるはずだし、応援するのが正解だ』


その後しばらくし、部屋で二人。レインは一つ告げなければいけないことがあった。ラテに頼み許可は予約は入れてもらえた


「ショコラ」


と名を呼ぶと頷く


「五日後歯医者」


と言うと再び頷く。全く恐怖の様子すら見せない。元々そういう子なのか、我慢しているのか。いずれにせよ、心の強い子だと分かる


「よし、今日は軽い運動をしよう」


《軽い運動?》


紙に書いた


「よし、立て。俺の真似をしてみろ」


レインは膝を曲げ腰を下ろし上げる


「これを繰り返す」


ショコラは一度やってみると、膝は少し曲がる。そして立ち上がる。膝は大腿部が四十五度程度の曲がり


「お、凄い。いいな。その調子で十回」


ショコラがもう一度やる。すると後ろへ転んだ。幸いマットの上に転んでおり助かったと言うべき


「大丈夫か!?」


ショコラは転びながらも頷く。レインは何か策を考えなければ怪我すると、少し考える。一つ思いついた


「ショコラ、ここで屈伸をすれば安全だ」


レインが立っているのはベッドのすぐ前。脹脛をベッドにつける。ショコラの屈伸の低さならベッドに尻が着くことは無く、仮に後ろへ倒れてもすぐベッドで安全。ショコラが実践してみると、すぐに倒れる。しかしベッドに守られ、危険ではない


「これなら安全だな。よし、まず目標はベッドにお尻を着けること。そこまで膝を下げれれば合格だ」


ベッドに着かせる為には今のショコラより七センチ下に下げる必要がある。その後もショコラは練習を続ける中、レインは大切なことを思い出す


「ショコラ、歯を磨こう」


洗面所へ向かう。洗面所は浴室と同じ位置、浴室から出たすぐにある。ショコラの歯磨きは新品そのものだった。歯磨き粉はなんとも高そうな代物


「歯磨きってのは、端をしっかり磨いてこそ意味がある。よし、やってみろ」


ショコラは不慣れな手つきで歯を磨く。しばらく磨くと嗽をする。そして歯磨きを元の位置に置く


「よし、上出来だ。そしたら夕飯まで時間がある。今から少し歩きに」


ショコラは少しふらついていた。屈伸でかなり疲れたのだろう


『それに今日は二人も新しい人間と会った。ショコラにとっては凄い緊張だっただろうし、心身共に今日は疲れてるか。初日これなら上出来上出来』


「よし、今日は終わりだ。今から何かゲームして遊ぶか?」

「うん!」

「え?」


ショコラは初めてレインの前で声を出した。第一声はなんとゲームをやりたいという意思を示す物。レインはゲーム好きだと察した


『インターホン越しなら壁があったから話せた。しかし今、俺の前で確かに声を出した。これって大きな進歩だろ』


「よし、今日はゲームやろう!」

「やろ!」

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