究極の医者
少し待つと風呂上がりのアイラビュ、それにショコラがいた。アイラビュは同じ服を着ているが、ショコラはパジャマへ着替えていた。髪も乾いており、ショコラは綺麗さっぱりとした髪に前髪の両側をピンで止めてあり、凄く可愛さが増した
「お、さっぱりしたな」
レインがそう言うとショコラは嬉しそうに頷く
「そりゃー、私が洗ってあげたんだからね!」
誇らしそうに話したが、レイレンは告げる
「すまんが、ここでアマサケと交代だ。アマサケにショコラを見てもらいたい」
「はいはーい」
アマサケは袖の余る白衣を着ており、医者のようだが医者ではない。ショコラの部屋へ行くと、アマサケがショコラの向かいに座りレインは立っている。理由は椅子が足りないから
「しかしラテに妹がいたとはな。とりあえず下から見てく。靴下脱げ」
ショコラは固まっていた。アマサケの明らかに強い圧のせいだろう
「アマサケ、もう少し優し」
「黙れレイン。私は丁寧に接してやる義理が無い」
「ショコラ、頑張れそうか?」
ショコラは頷いた。思ってたより人に慣れるのが早く、レインは少し驚いていた
「っとに面倒なガキだ」
アマサケはショコラの靴下を脱がし、足裏、足首、長ズボンをめくり脹脛、脛、膝までを隈なく触る。ショコラは完全にフリーズしていたが、アマサケからしたらそちらの方がやりやすいだろう
「細い。このまま行くと二年後には立てなくなる。肉も薄いが骨も年寄りレベル。更に肉……ま、皮と言ったほうがいいが、薄すぎて極端な寒がりになることは目に見えてる。この寒い春に外にでも出たら即腹痛にでもなるな」
レインはその分析力と頭の回転の速さに凄みを実感した。そしてアマサケはショコラの紙とペンを使い、それをメモしていく。次にズボンに腕まで手を入れ込み、大腿部に触れるとビクッとした。所謂太ももだ。そして再びメモする。次に腰、腹、背中、腕、手、肩、首の全てを隈なく触る
「痩せすぎ。背中は力が衰弱してて曲がり気味。腕と手指は細すぎ。そんな腕で一日中スマホでも見てるのか知らんが、肩は少しこってる。首も背中動揺曲がってるが、スマホを見て曲がった首じゃない。もし一日中スマホを見てるにしても、横になって見てるわけか」
アマサケがメモをしている
「お前って凄いんだな」
レインが圧巻していると、メモを終えたアマサケがショコラの顎を触る。顎を上下に動かし、口内を確認し、歯を触る。更に頬に触れ、首付近の後頭部、そして後頭部をツボ押しのようにし、優しく押していく。そして目の付近にも触れ、メモをしながら話す
「顎弱い。硬いものを食べろ。更に虫歯。甘い物を控えて歯を磨け。めちゃくちゃネバネバと黄ばんでる。頬の皮も薄い。後頭部が柔らかい。目周りの筋肉も落ちてる。三年すれば植物人間になれる」
アマサケはメモを机に強く置く
「ま、酷いな。正直言うと、本気でやって三年で済めば最高。悪くて十年。人間として普通の体に戻すまでの話な。そこから人としての常識、言語理解能力向上、記憶能力向上、更に勉強とかもすると考えると、十五年は必要かもな。こいつも三十のおばさんに無事昇格だ」
アマサケは立ち上がる
「私はここまで。後は自分でどうにかしろよ?レイン」
「ああ、本当に助かった」