届けたい声
『いや、あいつは自分の状態を知らない。このままじゃヤバいことを知らずに生きてきた。まずはそれを知ることが大切なんじゃないか?』
レインは声を大きく話す
「お前は近いうちに社会に出るが、そのままだと働くことすらできない。だから、俺に手伝わせてくれ!!」
しばらくすると扉が開いた。少女はレインを部屋に上げると、椅子に座る。レインも向かいの椅子へ座った。少女は紙に文字を書く
《なまえはショコラ》
大きく形の整っていない、小さな子供のような字。中学を卒業したばかりの子供とは思えない
「ショコラって言うのか。俺はレインだ」
『ようやく会話をしてくれた。これは俺という人間に慣れてきたのか?だとするなら嬉しい話だ』
《分かってる このままだとダメなの》
『置かれてる状況をある程度分かっていて行動しないということは、本人もラテと同じで諦めているのか?』
ショコラは紙に書いた
《私もう4ぬとおもう おねえちゃんは、なにも言わないから、だいじょうぶと思ってたけど、さいきん分かった》
『死を隠す数字の4。やはりネットしか見ていない。明らかに覚えやすい漢字しか書けてないし、文章にも子供っぽい部分がある』
《ほんとうにてつだってくれるの》
『ショコラは自分で自分を諦めていた。しかし手伝ってくれるのか聞いたということは、手伝ってほしいということになる。完全に諦めたわけじゃない見たいだ』
《私を助けてください》
ショコラは頭を下げた。レインはショコラが今まで一人苦しんできたと、唯一の姉にも無視され続けたのだと思うと、泣けてきそうになった
『親と唯一の姉であるあいつが見放した。ラテに責任があるとは言わないが、こんな育児放棄みたいな環境で育てばどうなるか……こうなるに決まってるだろ』
「任せろ。お前を社会に出れるようにしてみせる。勿論、何年掛かってもだ」
『ラテが俺に面倒を見ろと言った理由は、暇つぶしになるんじゃないかという冗談混ざりなのかもしれないが、暇つぶしじゃ終わらなさそうだ』