拒否られた訪問者
「ラテ、っ……いや、悪い。一旦荷物を取りに帰らせてもらう。また明日」
「ええ、また明日」
レインは部屋を出ていく。ラテは叩かれた頬に手を当て、かなり驚いてる様子だった
「流石にあれは失言だったかしら?それに、あいつが怒るなんてね」
レインは帰宅した。普通の一軒家。レインは自分の部屋でメモ帳とペンを取り出し考えていた
『ラテの言うことは正しい。確かに人生の長い時間を介護に徹する理由は無いし、思いたくも無いが、あの妹は諦められても仕方ない状態だった。ラテからしたら死んでも構わない程度だし、そりゃ無関心にもなるか』
レインはメモ帳に色々と書き始める
『まず食事は野菜や米、そして油の少し染み込ませたスープで少しづつ慣らさせていくというのがいいか?人間が九年間あんな生活を送ったらどうなるのかを考える必要がある』
レインはしばらく考え込んだ
『まず、体力が落ちる。殆ど歩けないと思っていいだろう。そしてふらついてる様子から考えるに、一日中スマホを見ているとなると、視力も心配。更に人前での会話が無理……いや、緊張する場面をなるべく避ける必要がある』
などとあの短時間で得た情報をメモ帳にまとめ、それの克服方法も考え始める。そして翌日になる。昨日できなかった持ち物などの準備をし、レインはラテの家へ向かった。そしてラテの部屋をスルーした。用がないのと、気まずいという理由もあるだろう。そして少女の部屋のインターホンを鳴らす
「昼食作ってきた。もう昨日みたいな物は入ってないから安心してくれ」
全く反応が無い。この展開は、ラテの部屋へ行かなければならない。かなり気まずく、レインは呼吸を整え部屋へ入った
「よ、ラテ」
「お前の妹、反応無いんだけどさ、あれから大丈夫だったか?」
ラテは今日も分厚い本を読んでいた
「朝食はいつもの時間に届けに行ったけど、全く反応が無かったわ」
「ラテでもダメだったのか?」
レインは急いで少女の部屋へ向かい、扉を叩くと同時にインターホンを何度も押す
「おい、大丈夫か?救急車が必要なら床を叩け」
インターホンは赤く光る
「うるさい……」
「よかった。無事だったか」
インターホンが切れた。そして扉は開かなかった。レインは扉前で待つことにした。それと同時に、なぜ部屋から出てこないのかも考えていた。やはり昨日の件で気まずくなったのかと、嫌になったのかと不安を浮かべる