神に見えた人間への一歩
「ショコラ、突然だがお前の高校が決まった」
「決まったの?」
レインは一枚資料を机に置く
「『参区ノ学園』って言ってな、アマサケの親が運営してるらしい。練習場ということなら受験も何もいらんと言ってくれていると」
「それってどこにあるの?」
「めちゃくちゃ近所。ま、当然ではあるが」
「じゃあ……行く!」
レインは携帯を取り出し、メールでアマサケにそう伝えた
「よし、少し休憩したら下見行くか?」
「うん」
そして学校へ向かう道。とても近くであり、二百メートル程度真っ直ぐ行くだけ。新しく作られた高校らしく、到着し目に入る校舎はとても綺麗な物だった
「これが……高校?」
「ああ。にしても大きいな。時代が違えば俺が先輩だったかもな、なんちゃって」
それから数日が経った。高校初登校日も間近になっていた頃、ラテとアマサケが通話をしていた。家にいつも通りいるラテ
「アマサケ!一つ言うけれどね、高校なんてハードル高くないかしら?行くだけ無駄だと思うのだけれど?」
「ラーテ、お前にとやかく言う権利は無い。ハードルは高いが無駄にはならない。今更どうした?入学にはお前の同意もあっただろ?」
ラテは椅子を後ろに回転させ立ち上がる。そしてベッドにダイブし、仰向けに話す
「同意って言っても、あんたに言われた通り進めただけで私の意思は無い。それに、制服やら色々が届いて本当に行くのねって思っただけよ」
「心配でちゅか?ラテお姉ちゃん」
「黙れ!」
ラテは電話を切った
「あのショコラがね。ま、別に私には関係ないけど」
ショコラの部屋、赤い制服へと着替えた。明らかに違う雰囲気に圧巻されるレイン
「似合ってるぞ」
「なんか下がスーッとする」
スカートの裾を持ち、新しい感覚に違和感を覚えていた。レインは写真を撮る
「アマサケにも送っておく」
「待って」
レインは何かとショコラの方に顔を上げる
「アマサケには写真じゃなくて……実際に見てもらいたい」
「そうか、分かった」
レインはその写真を消そうとすると
「待って!」
再び止める。今度はなんだと顔を上げると、ショコラがレインに近づいた
「その写真は消さなくてもいい」
「そうか、分かった。唯一の写真として残しておく」
「唯一?」
ショコラがスマホを見ていると、レインのアルバムには写真の一枚も無かった
「え、寂しい!」
「撮ったのは全部消してるからな」
「そうなんだ……」