恐怖の緊張警報
治療を終えると言われた
「終わりましたよ。ショコラさんね、甘いものはほどほどに」
ショコラは全くの無反応を見せた。レインが一礼する
「助かりました。ショコラ、立てるか?」
ショコラは息の吸えないような感覚に襲われていた。目眩や耳鳴りの襲われ、意識が朦朧としていた。レインは酸欠になっているのだと、すぐに理解した
「大丈夫かい?」
歯医者が聞いた。その瞬間、ショコラは椅子から倒れ落ちた──。そのことはアマサケやラテにも伝えられた。ショコラは病院の布団上で未だ意識を失っていた。レインがショコラの横で寝顔を見ている時、扉は開いた
「大丈夫かー?」
アマサケが病室へ入る
「極度に緊張をすると、息を忘れ酸欠になる。歯医者で倒れたんだろ?」
「想像は容易ってか」
レインは気の抜けたような声で返した。アマサケはレインがかなり疲れてるのだと察した。一日中ショコラに付きっきりであり疲れて当然だ
『レインのやつ早くも疲れてやがる。ま、いい機会だ』
「レイン?ショコラを私の家に三日間預けてみないか?」
「お前の家に?」
アマサケは頷く
「私の家なら少し緊張はするだろうが、少しは慣れている。更に私の友達も呼ぶから、人との接触も可能。練習場としてはうってつけだろ?」
レインは少し考える。その間にアマサケは話す
「ちなみに、ショコラはお前にべったりだ。しかしそれはよくない。今度はお前無しで生きられない人間になる」
決断ができたレイン
「分かった。ショコラを三日離れさせる。分かっているとは思うが、完全に限界が来たら家に返す。それだけは絶対だ」
「当たり前だ」
ショコラは目を覚ます。気を失い数時間、すっかり真夜中だった。アマサケはほっとした
『私たちがいるこのタイミングで起きてくれて助かったな。もし真夜中に目覚めてたら、全く状況も分からず怖かっただろうしな』
「病院?」
レインは頷く
「そうなるな」
ショコラは俯き涙を流す
「ごめんなさい……」
「泣かなくてもいい。お前は頑張っただろ?」
アマサケは話す
「レイン。ショコラは悔しさや恐怖で泣いている。いつゴールに到達できるのかも不明で、努力しても辛さが増すだけで成長が感じられない。これは自分との戦いだ。何度辛くなって泣いてもいい」
「その涙を受け止めれるのはレインだけ。じゃ、私は帰る」
アマサケは籠に入るフルーツを置き部屋を出ていく。フルーツ籠には葡萄、苺、桜桃などの比較的小さく食べやすい物が詰められていた
『ったく、アマサケには敵わん』
レインはショコラを抱きしめ、その涙を受け止めた。一緒にいるとその辛さは少しだけ分かるようになった。ショコラの気持ちを