アマサケとの約束
午前十時になるとインターホンが鳴った。レインが出ようとすると、足音がする。ラテが出ていた。扉を開けると、アマサケが立っていた
「アマサケじゃない?隣だからって毎日のようにね」
「ま、いいじゃねえか。そんなことより、ほれ」
アマサケはラテにジャーキーを差し出す。ラテは受け取った
「何よこれ?」
首を傾げる
「ショコラの主食の一つ。食ってみろ」
「ジャーキーって」
ラテが一口食べると、美味しそうな様子ではなかった。ラテは飲み込んだ
「味が薄すぎるわね。それに、半分くらい野菜じゃないかしら?健康しか意識されてなさそうね」
「ま、ショコラは油物食えねえからな」
「そういうこと。あんた、レインと一緒になってショコラの為やってるけど、そんな暇なの?」
アマサケは返す
「私は常に暇だ。それより、お前はショコラをどう思ってるんだ?」
「ショコラを?正直赤の他人みたいなもんよ」
アマサケは少し声を出し笑った。ラテは再び首を傾げる。何がおかしいのだと
「ま、お前らしいな。なぜ姉なのに面倒を見てやらない?って聞くと面倒だからと答えるか?」
「当たり前よ。なんで私が姉ってだけで介護やら何やらしてやる必要があるのよ。私には関係ないわ」
「介護……か。一つ言うと、あいつはお前の思ってるより強いぞ」
「それってどういう」
ラテが聞こうとすると、アマサケは靴を脱ぎ玄関から上がっていく
「邪魔するからな〜」
「ちょ……気になる言葉だけ残してって」
ラテは鍵を閉めると、アマサケの後から二階へ上がっていく。一方ショコラの部屋でレインがアマサケに言った
「お前、別に呼んでないが」
「呼ばれなくても向かうぞ?暇だから」
「働けと言いたいが、今は毎日通ってくれた方が助かる」
アマサケはベッドで壁に背を着け座るショコラの前に立つ。そして伸びる足の脹脛をツンと触れる
「いっ!何するの?』
「なんとなくだ」
「え?」
アマサケは机に置かれるジャーキーの束から一本抜き取り、袋を破く。そしてショコラの口元に
「これは一日三本食べることにしよう。朝昼晩の三食にな。分かったか?」
「はい」
ショコラは返事をする。そしてショコラはジャーキーを口にする。犬みたいだなんて思いながらレインも座った。そして一つ、アマサケは提案をする
「そうだ、ショコラ。料理を作ってみたいとは思わないか?」
「料理?うーん……あんまり」
「だろうな。しかしケーキなら話は別だろ?」
ショコラは大きく頷く。小声でアマサケに聞く
「料理作らないのは自分であんまり食べれないからか?」
「量の問題じゃない。今のショコラにとって料理とは食べるべきという課題であり、食べなくていいならそれがいい。つまり宿題みたいな感じだ」
「なるほど」
「じゃ、明後日にでも私の家で」
「お前の家か」
『なるほど、隣家から外出させ、慣らしていくってことか』
「分かった。ショコラはどうだ?明後日にアマサケの家」
「うん、いいよ!」