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ポンニチ怪談

ポンニチ怪談 その80 年度末大整理

作者: 天城冴

「あれ、これも片付けて箱詰めするのか?」

ニホン国、議員会館。国会議員、特に与党ジコウ党議員の部屋が多く存在する、このフロアでは年度末の大整理と称してたくさんの業者が出入りしていた。党の要職を務めているゼコウ議員の部屋にも、作業服姿の男性らがいくつもの段ボールを運び込んでいた。

「秘書が指示したのか、アイツどこに行ったのだろう?そういえば他のスタッフの姿も…」

といぶかしがるゼコウ氏。そのつぶやきを聞いているか、いないのか黙々と段ボールに荷物を詰める人々。

「あれ?それも詰めるのか?その箱も?おいおい文房具もか?まるで引っ越しだなあ、そんな通達、来てたかなあ?…まさか、あの裏金問題とやらで部屋を変えさせられるのか?それぐらいでこの最上階フロアを追い出されるのか。アレは騒ぎ過ぎだ、ちょっと数百万の金をため込んだからって。だいたい政党助成金なんかもっともらっててほっとんど生活費とか、あの故アベノ氏お気に入りの比例代表でしか当選しないといわれるミズタ・ミャクミャクなんて親を雇ってるだの家賃だの金をやってるし、他の連中だって。元歌手のイマイダなんて、勉強と称して雑誌だの漫画だの遊びに使ってるし、他の連中だって似たり寄ったりで…」

ブツブツいうゼコウ氏にかまわず段ボールにドンドン物がいれられていく。

「だいぶ、片付いたというか、スッキリしすぎというか。これどこ運ぶんだ?ずいぶん大きい段ボールだな。まだ、空みたいだが」

と、2m近くある段ボールの中を覗こうとした途端!

ブスッ

「う、な、なんだ!」

首筋にいきなり注射を刺されたゼコウ氏。驚いて目を見開き、抗議ししようとしたが、

「あ、あ…ああ?」

声が出なかった。

腕から、足から急激に力が抜けて

フラッと倒れかけたその体を両脇から男性らが支えた。

そして、

ゼコウ氏は段ボールの中に入れられた。

「!」

『やわらかいから、ブチブチをつめておかないと』

『途中で暴れないようぐるぐる巻きにしておこう。生存装置は必要か』

『ゼコウの分類はFなので必要。Fは年齢的にも肉体労働可能、持病無』

『隣のアトウダはBなので同時配送は無理。Bは、研究施設で被検体の予定だが、適切でない場合、Hで生ごみなどの処理施設に移送予定、サンカイやモンリなどと一緒だ。ゼコウはフクイチに配送予定』

『フクイチだとハギュウダンらと一緒か。あとFはキジダダ総理、まだ官邸、荷物が多いので、まだ箱詰めが終わっていないようだ。この現場が済み次第、応援に向かう。早く処理しないと年度末までに整理作業が間に合わない』

『年度末内にすべて不良議員らを速やかに整理する。新年度はニホン国再生プロジェクトが始めるために』

『スーパーコンピューター・プガクの再生プロジェクトを迅速に進めるため、不要品、不要者であるジコウ党議員ら、それに連なる者たちを処理する大整理を3月31日までに完遂する』

作業服を着たアンドロイドらは命令に従って、ゼコウ氏を箱詰めにし、他の段ボールと一緒に外に待つトラックに運んだ、そこにはA、Bなどと書かれた大きな段ボールがいくつも積まれていて、やがてそれぞれの行き先に向けて出発していった。


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