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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
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悪行公開

有吉加世は社員から発注なども任されていた。彼女は自分の家の食材を節約するために必要な量より多く発注していた。社員は調理現場なんてどうでも良いため、彼女の不正などには一切気がついていない。社員はおまけに仕事が出来なくて、加世の取り巻き達からも馬鹿にされている。人件費削減のためと加世が誰も文句言えないくらいの仕事ぷりのため誰も文句言えない状況になっている。

「有吉さん、それ廃棄とかにしてない食材ですよね?良いですか?」

「坂本さん、私が盗んでるとでも言いたいわけ?私は新メニューの開発を任されたから、上からの指示で自宅で料理を作ってるの。あんた私がサボってる気楽な主婦だと思ってるんでしょ?あんたよりこっちの方がよっぽど大変なのよ。家には二人の娘がいるのよ。」

彼女はかなり口が達者で事実確認があってもすぐに誤魔化す。あれから坂本さんはたくさん裏で悪口を言われた。

「この前のユーチューブ見た?あんな男がよく不倫出来るよね。うちの旦那そういうの許さないから、奥さんも見る目がないわよね。」 

「本当に分かります。それに比べて有吉さんの旦那さんイケメンですね。力もあって、ミュージシャンで忘れ物した時とか届けに来たりしてくれて、羨ましいわ。」

「私しか彼とは釣り合わないのよ。」

「うちの旦那もこれくらい気の利いたことしてくれれば良いのに。」

坂本さんが近づく。

「あの、ちょっとお聞きしたいことがありまして、この新メニューの唐揚げどっちの種類の醤油使えば良いですか?たまり醤油みたいなのがあって。」

「多田さん、何か聞こえなかった?」

「私、何も聞こえないですよ。橋本さんも聞こえないでしょ。」

「私も聞こえないよ。もしかして幽霊?」

「そう言えば、新人の坂本さんって私達のこと犯罪者みたいに扱って逆恨みとかしてるから、彼女の生霊なんじゃないの?」

「何それ!怖い。」

何かを聞こうとすると無視をされ続けた。

「坂本さん、もしかして唐揚げにたまり醤油使ったの?たまり醤油は刺し身とかに使うものなのよ。主婦なのにこんなことも分からないのかしら?それと何でこのミスを招いたかわかってるの?」

「私、一度有吉さんに聞きましたけど。」

「私が無視してるとでも言いたいわけ?」

「そういうわけではありませんが、確認をとったのは事実です。」

「それなら聞こえにくかったのよ。今もそうだけどもっとはっきりと喋ったらどうなの?私達、声出しが命なんだよ。あとタイミングも悪いわね。こっちが大事な話ししてるのにそんなことも無視して声をかけるんだから。」

それからも彼女のいびりはさらにエスカレートする。

「ちょっと、坂本さん、床が汚いじゃないの。皿洗い終わったらすぐに床を掃除して。」

「有吉さん、また坂本さんが何かしたんですか?」

「彼女、全然仕事をしてくれないのよ。」

「坂本さん、迅速に行動するって規範に書いてましたよね?読んでないんですか?」

取り巻きも一緒になって彼女をいじめる。有吉加世と取り巻きが無視しては、怒ったり、マウントをとったりで坂本さんは精神的に限界が来て、ついに職場を退職してしまった。その後うつ状態になり、子供を面倒見る余裕もなくなった。

「有吉さん、明日から新人さんの面接があるから現場5人で頼む。」

「どんな人なの?」

「28歳の女性の方だよ。」

面接に新しい人が来る度に履歴書を勝手に漁って下調べをしている。

「橋本さん、多田さん、見てよこれ。今日面接来た人の履歴書よ。」

社員をいないのを良いことに、人の履歴書を勝手に事務室から調理現場に持ち出して、見せびらかしている。

「これで28歳なのよ。」

「うわー、何か28歳の割に老けてまね。」

「確かに勝手の丸井さんを連想させますね。本当に自分勝手でワークスケジュールの時間守らなくて、わがままな人でしたよね。」

「しかも28歳でフリーターの実家暮らしなのよ。野菜ソムリエの経歴をやたら語っていたけど、そう言う最初から張り切る人って中々続かないのよね。ここが求めてる人材じゃないわね。顔が病気みたいで闇しか感じないでしょ。私の厳しさにどれくらい耐えられるかしらね?坂本さんもすぐ辞めたし。私に楯突こうとするからこうなるのよ。」

「本当そうですよ。私達がどれくらい仕事出来てるか、分かってないですよね。」

「最近、新人使えない人達ばかりですよね。」

採用面接があった日には取り巻きと悪口大会だ。新人が加世と取り巻きにいじめられてよく辞めるのが当たり前になっている。

「新人の浪川です。野菜ソムリエの資格がここで役に立つか分かりませんが、本日一日よろしくお願いします。」

本人がいなくなると陰口がはじまる。

「実物もっと骸骨じゃん。本当は私達より年上なんじゃない?」

「年齢不詳じゃなくて年齢詐称ね。」

浪川さんはテンポが遅く、かなり誤解されやすかった。彼女は一生懸命仕事を覚えるのに様子を見ているが、仕事をサボってつったてると度々勘違いされた。

「ねえ、洗い物やってと言ったよね?初日から仕事なめてるのかしら?」

それからも新人が入ってはやめてが続いた。

ある日、転勤した彼女の元同僚の伊川さんが飲食店に来た。

「ねえ、見た?伊川さんの旦那さん見た?伊川さんより小さくて、どこがカッコいいのか分からないんだけど。あれでよく旦那の自慢出来るよね?あんな旦那連れて外歩けるとか正気なのかしら?私の旦那が良い旦那すぎて私なら恥ずかしいわ。」

彼女に旦那の姿が知られたら、すぐにマウントをとられるから皆プライベートは絶対彼女には明かさない。取り巻きですら彼女を恐れている。

「伊川さんの旦那との写真、家の汚さが物語ってるわね。」

伊川さんは旦那を本当に愛していて、自慢をよくするが、決して彼女のようにはマウントはとらないし不正などは起こさない。彼女の性格は変わらず今に至る。


「これがお前のしていた悪行や不正の数々だ。客観的に見てどうだ?あいにくここはお前のような人間のプライバシーなど守るような場所ではない。」 

「そんなことして満足かしら?私は間違ったことをしてないわ。それに私の旦那がカッコいいのは事実じゃん。ブサイクな旦那連れてるやつの神経を疑うわ。」

同じ人間でもこんなに救いようない人がいる。彼女だけでもヤバいのに、他のプレイヤーはどんな悪行を起こしたのか気になる所だ。

「私、こういうおばさん嫌いなのよね。すぐ旦那がヤクザなのを良いことに調子乗ってるじゃん。」

船崎穂乃華が言う。

「確かに旦那はカッコいいけど、本当は家庭内最悪なんじゃないの?」

画面は突然ケイジに切り替わる。

「船崎穂乃華、そんなに有吉加世の家庭内が気になるなら見せてやろう。」

画面がまた切り替わる。


有吉加世の旦那は元ヤクザで、昔していた悪いことを語っている。武勇伝は日常茶飯事だ。例えば若い時に自販機を壊して、川に流したことを自慢したり犯罪自慢は口から止まらない。どんな時代も悪いことを伝説としていかにも凄いかのように語る人がいる。彼女や彼女の旦那もその種の人間だ。加世はそれを惚れながら聞いてる。加世自身も若い時、ヤンキーをしていて女同士だと特に容赦などしなかった。暴力は昔より落ち着いたが、今でも旦那と喧嘩になるとお互い殴り合いになる。それに義娘と実娘との喧嘩も殴り合いだ。義娘は彼らの生き方が正しいと思ってるが、実娘は家の家族全員が嫌いだと思ってる。しかし家出は彼女はしない。何故なら彼らのレベルまで自分が落ちたくなかったから。実娘は愛梨、義娘は夏純だ。

「ねえ、何でまた大音量でヤクザ映画見てるの?うるさいんだけど。」

「誰に向かって、そんなこと言ってるだ!」

「そのクソ親父とクソババアとクソガキよ。お母さんも職場の食品横領とかしててどうかしてるわ。」

実娘の愛梨は16歳、中学生くらいになってから自分の家族と他の家の家族を比較してはかなりグレるようになった。学校では幸せそうな家庭の子をいじめたりした。

「こっちは絵を描いてるだから邪魔しないで。」

趣味も正反対だ。しかし愛梨も結局は悪い道に進んでいる。

「愛梨、あんた私の携帯壊したでしょ?頭可笑しいんじゃないの?」

「いつも外の悪い奴らと電話してるのがムカついたのよ。あんたもあの糞両親と似てるから前々から気に入らなかったのよ。」

「自分だって学校でいじめとかしてんじゃん。家で真面目ぶるとかダサいんだけど。」

夏純の方は愛梨と違い、取り巻きなども連れて一人の子を集団でいじめてる。さらにいじめ自慢も絶えない。彼女は外では良い家庭のように語ってるが、実際は暴力沙汰ばかりで、愛梨との溝にも気がついていない状況だ。


映像を見終わると、皆加世の方を見て軽蔑した。

「何これ?子供が可哀相。自分の娘に暴力ふるうとか最低じゃん。私だったらこんな家出たくなるわ。」

恵梨香が言う。加世は恵梨香を複数回殴った。

「何この女。映像通りだわ。」

佐江が驚いて言う。

「これのどこが幸せな家庭?マジウケるんだけど。散々マウント取ってるけど、暴力沙汰ばかりじゃん。さっきも私殴られたから怖かったわ。ゲームマスター、この人怖い。私か弱いから助けて。」

恵梨香はケイジに甘えた声で言う。

「キモ。お前も同類だから。」

ケイジは誰かを特別ひいきすることはせず、全員に酷い言葉を投げかける。このゲームマスターとしての適性をクリアしてる。それにしても恵梨香はスクランブルエッグの件で頭の回転が早いと思ったが、前にもケイジに色目を使って拒否られたので、賢いのか賢くないのか分からなくなった。

「これで映像視聴の時間を終える。次のステージは3日後だ。それまでこの味のない食パンを食え。」

また彼女達には味のない食パンが支給された。

「何でまたこのパンなのよ。」

加世だけは少し涙目になっていた。


ケイジはその頃、ゲームの報告書をまとめた。そして作業中に電話がかかる。情報部からだ。

「もしもしケイジ、私達の送ったプレイヤー情報に間違いがある。」

「そう。それで何が間違ってるんだ?」

「時任千華江の体重よ。送った情報だと70kgって書いてるけど、正確には89kgよ。」

「ありがとう。助かる。この情報が間違いなら次のゲームに支障が出るからな。」

彼は風呂に入って寝た。

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