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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
3/32

大好物推測

「ちょっとゲームマスター!画面から消えるんじゃないよ。」

「俺は質問を受けつける時や答えを言う時、冷やかす時しか声をかけないから。自力で答えを出せよ。」

ケイジは画面から消えて、音声だけ流す。

「船崎、あんた飲食店で副業してるんでしょ?大好物くらい考えなさいよ。それに敬語の一つも使えないのかしら?」

木村知世は言う。

「何でそんなに人任せなの?そんなざっくりしたクイズならすぐに答えを出せるわけないでしょ。50歳のおばさんは本当に頭硬いのね。何でこんな人と同じチームなのか。敬語って使うに値しないからタメ口なのよ。」

「本当にそうよ。最初から最年長でリーダーぶってるけど、ここでは年功序列なんて無いのよ。ここはきっと社会から隔離された空間よ。」

穂乃華と加世は木村知世と言い争いになった。

「言い争いしてないで、まず質問内容から考えたらどうなの?こんな低レベルな人達の相手なんてしてられないわ。ゲームマスター、3つとも肉と野菜が使われてるのかしら?」

雪田マリがケイジに質問する。会場のモニターからケイジが顔を出す。 

「何、勝手に質問してるの!」

知世がマリの前に立って言った。

「1つ目は野菜を使ったり使わなかったり、2目は野菜は少ししか使わない。3つ目は野菜の比率が多い。具体的に答えてやったよ。ありがたく感謝しろよ。」

ケイジは画面から消える。

「偉そうね。船崎と有吉。あんた飲食バイトしてるでしょ。何か答えはないのかしら?」

「ヒントが少なすぎるでしょ。もっと答えになるヒントを引き出せる質問してよ。」

「船崎の言う通りだわ。」

美代子が言った。

「さっきから人に頼ってばかりだけど、独身の女って料理とか出来ないのかしら?」

「独身だって料理作るけど。」

喧嘩をしつつ全員で考えた。マリが代表になって答えた。

「ゲームマスター、あんたの大好物はハンバーグ、生姜焼き、肉じゃがね。」

ケイジが画面から出る。

「全て不正解。お前らに罰をくだす。ゲーム内で誰か一人でも死んだら、全プレイヤー死ぬ。信じられないならこの動画を見せてやる。」

ケイジはとあるゲーム会場でプレイヤー全員が死亡する衝撃的な動画を見せた。プレイヤーは全員真っ青になった。ケイジは画面から消える。

「何してくれてんのよ!あんたがとりまとめたおかげで私達まで罰がくだったじゃないの。」

加世がマリをビンタする。

「さっきから何?皆、人任せだったんでしょ?特に専業主婦の2人は旦那任せでしょ?向上心がなさすぎて働くことも出来ないんでしょ?私が面接するならあんた達みたいな専業主婦雇わないわ。」

美代子が会場の壺を投げつけた。

「危ないじゃないの。こんなことして何になるのよ!被害拡大させてるのあんたでしょ!」

「そうよ。ヒステリックにもほどがあるわ。これがあんたの本性なのね。」

美代子とマリが取っ組み合いの喧嘩になった。

「やめなさい。」

知世はとめに入った。容赦なく二人は殴り合う。

「良い加減にして!私、まだ28歳よ。年取ったおばさん達には分からないけど、若くして死にたくない。」

恵梨香は二人に怒る。

「そう。私だってまだ死ねないのよ。こっちには子供がいるのよ。どうせ死ぬなら子供のいない独身の女だけにして欲しいわね。」

「まだそんなこと言うのか。あんたみたいな専業主婦と違って、私の仕事には責任があるのよ。私がいなくなったら会社が回らないのよ。どうせ死ぬならあんたと国際結婚自慢女がいなくなれば良いわね。」

全員水と油だ。

「おやおや、君達そんなことしてたら本当に死ぬか一生ここから脱出出来ないかもな。お前らが人を責めてる間にも時間は限りなく動いてる。答えが出る時にはもう死んでるかもな。」

ケイジはかなり的を得たことを言った。このゲームが長引けばケイジの業績にも不利になる。しかしケイジは余裕な表情だ。山本佐江がケイジに声をかける。

「次は私に質問させて。ゲームマスター、どんな方法で調理するか教えなさい。」

「一つ目は焼いたりする料理だ。2つ目は材料をそのまま焼く。火加減で好みが変わってくる。3つ目は材料をそれぞれ食べやすいように切り、煮込む。ほぼ答えを言ったようなもんだな。また考えるんだな。」

9人は話し合う。

「2つ目は食べる機会がそんな頻繁ではないものね。季節ものよ。答え分かったから、私に答えさせて。」

「何なのかまず言いなさいよ。」

舞華が答えを皆に言う。

「1つ目は私に任せて。」

恵梨香が自信満々に言う。

「あんた、男に色気使うしか脳がないでしょ?ここは私が答えるわ。」

佐江が恵梨香を止める。

「男に厳しくするのって、良い男に恵まれてなかったからでしょ?嫉妬なんかしてないで、私に任せなよ。」

「嫉妬なんかしてないわ。私にだって良い人の一人くらいいるんだから。」

佐江はその場を去る。

「3つ目は私に任せて。」

美代子が答えを見つけた。

「ゲームマスター!」

「おはよう、クズども!今日は大好物推測の続きだ。」

「あれから数時間も呼んでたのに出てこないなんて常識ってものがないの?」

千華江がケイジを責める。

「自分の悪行は棚に上げて、常識語るなんて都合の良いやつだな。言っておくが、昨日は夜8時から朝8時まで休憩なんだよ。ゲームマスターが休憩ないと思ったのか?映画の見過ぎな連中だな。」

「そんなことより答えが決まったのよ!」

「その前に俺ご飯食べてないから、また後でな。」

「ご飯くらい休憩中に食べなさいよ!」

「でたでた。自分ルール押し付けるやつ。昨日はエサを与えてなかったからイライラしてるようだな。昨日の分も含めて、これをやるよ。」

味も何もついてない食パンを投げつけた。

「ちょっと、これが朝ごはんと言うの?」

「そうだ。今日は俺の朝ごはんはクロワッサンと卵料理だ。アサイースムージーを飲むか。」

「ちょっと一人だけ良いもの食べてんじゃないわよ!私はセレブ妻なのよ。こんな食パン私に似合わないわ。」

「そうよ!私もエリートなイギリス人旦那の妻なのよ。食パンは庶民だけにしなさいよ。」

「あんたなめたこと言ってたらどうなるか分かってるの?」

「暴力女、怖い。」

加世は美代子と舞華に手をあげる寸前だった。しかしプレイヤー一人の死が全員の死につながる制限を考えてすぐ暴力をふるわないことを学習した。

「お前らには味のない食パンがお似合いだよ。この国や他の国にも、食べていけない子供がいっぱいいるんだよ!お前らみたいなクズな大人が悪行してる間に彼ら・彼女達は苦しんでるだよ。裁かれるべき人間でも食えることだけでもありがたいと思うことだな。」


ケイジは朝ごはんを食べてる間に上司のベンから電話がかかる。

「食事中に電話かけるなよ。用件はなんだ?」

「近況を聞きたいと思ったんだよ。どうだ?上手く業績に繋げられているか?俺の現場は美人囚人がいるから更生したら俺の女にしてやるよ。」

ベンはフロリダに派遣された。

「こんな奴が上司だとはな。目的を間違えるな。自分の好みの女を自分の物にするよりプレイヤーを更生させるのが俺達の最終目標だ。」

「お前も半年で中々偉そうになったな。くれぐれも失敗するんなよ。」

これじゃあ、ケイジが上司のようだ。彼は仕事に戻る。


「ゲームを再開するぞ!答えが決まったようだな。」

「1つ目は私が答えるわ。1つ目の大好物は生姜焼きよ。」

恵梨香が自信満々に答える。

「2つ目はステーキね。」

舞華が続いて答えた。

「3つ目は鍋よ!」

美代子が答える。ケイジは口を開いた。少し間を置く。

「1つ目以外全て正解。罰として、5分間会場を-10度にする。」

ケイジ以外のところは恐ろしいほど寒くなり、プレイヤー同士が密集した。

「寒すぎて震えるわ。後で覚えてけよ。」

寒さから開放されるとすぐに話し合いになった。

「皆、質問が思いついた。聞いて」

雪田マリが話を切り出す。

「朝食べていたものにヒントがあるのよ。まずアサイースムージーとチョコクロワッサンは違う。あれは肉を使っていないし、アサイースムージーはそもそも焼いたりしないでしょ。」

マリと佐江、知世だけが朝ごはんをよく見ていた。

「だから卵料理かどうかを聞くのよ。」

「ただ私達に見せびらかしていただけよ。大好物だとは一言も言ってないでしょ。その質問リスクが大きい。質問出来るのは残り一回なのよ!」

美代子が言う。

「だから何?このままずっとこんな所にいられるわけないでしょ。私には仕事があるんだから。お気楽な誰かさんとは違うのよ。」

「子供もいないあんたに言われたくないわ。」

「その言葉に反応するのって、専業主婦で楽してる自覚があるのね。別にあんただとは一言も言ってないけど。」

マリと美代子はまた対立する。

「ゲームマスター!質問させて。」

画面からケイジが顔を出す。

「質問を受けつける。」

「1つ目の大好物は卵料理なの?」

ケイジは5分間無言だった。

「卵料理だ。」

「さっきから答えろと言ってるのに、どうしてそんなに間をおくのよ。」

「このゲームを進行するのはゲームマスターだけだ。そんなにゲームを仕切りたいなら、相当賢くならないとな。お前らは仕切るレベルじゃないってこと。分からないか?どれだけ自分が威張っていた相手に嫌われていたか?そんな自覚のない頭の悪い連中は一生プレイヤーでいれば良いんだよ。」

ケイジは躊躇もせず、小馬鹿にした表情でそう言った。


翌日、答えがいよいよ決まる。

「卵焼きしかないわ。黄色いのが見えてたってことはそれしかないわ。」

佐江が言う。

「クロワッサンに卵焼きって変じゃない?私がビュフェとかで食べるのはスクランブルエッグよ!」

恵梨香が反論する。

「私は山本さんと同じよ。日本人なら卵焼きよ。」

知世、穂乃華、加世、千華江が佐江を支持する。

「恵梨香の意見がしっかり来るわ。組み合わせってものがあるわ。あのゲームマスターもあそこまでセンス悪くないわ。」

美代子、舞華、マリが恵梨香を支持した。

「ゲームマスター、答えが割れた時はどうすれば良い?答えが2つじゃゲームが成立しないでしょ?」

「どちらがあっていればこのゲームは無事に終わる。それだけだ。」

ケイジがこんなことをするなど珍しい。どういうつもりなのか?

「答えは卵焼きよ!」

「スクランブルエッグよ!」

卵焼き派とスクランブルエッグ派が分かれて、大きな声で言った。ケイジが口を開く。果たして結果はいかなものか。

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