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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
27/32

悪行公開9

画面には沢恵梨香と表示された。

恵梨香は一人っ子だ。小さい頃から頭のよくキレる子だった。同時によく勉強する子だった。世渡り上手でもあって、クラスの子達からも人気者だった。特に誰かをイジメることもなくイジメられることもない日常を過ごしていた。別のクラスでイジメなどがあっても彼女は頭を使ってやり返せば良いのにと言う考えだった。

「見て。隣のクラスの八本さん、またイジメられてる。イジメてる奴らも暇よね。」

「本当にそうよね。それにしてもどっちもどっちじゃない?悔しかったら頭を使ってイジメを無くせばいいのに。」

恵梨香はイジメっ子やいじめられっ子、どちらにもつかなかった。彼女はイジメを止める気は無かったし、絶対無くすなんて無理だと考えていた。世の中は力の強者と頭を使った人間だけが支配してそれに気がつかず頭の使えない者は理不尽な現実を突きつけられても仕方ないと考えていた。彼女は頭を使えなければ理不尽なイジメから脱出することが出来ないと思った。どうせ皆自分が一番可愛いからと。

そんな彼女にも理不尽な現実が待ち受ける。

「これで何回目なの?何したか分かってるの?」

「またそうやって俺をとがめる。そんな年取ってガミガミしてる女と一緒にいるくらいならもっと若くて綺麗な女の方が良いだろ!」

恵梨香はある日から両親の喧嘩を毎日聞いていた。最初は何度も止めたい気持ちでいっぱいだったがだんだん彼女はとめる気持ちもなくなっていった。自分で決めた結婚相手なのに二人とも文句を言うのは一人前なんだと思っていた。

「ただで稼ぎが少ないのに消費者金融でお金借りて女遊びするの?馬鹿なんじゃないの?前から頼んだ家事は完璧にこなさないし、ゴミを出してくれなかったり、散々よね。」

「そう言う文句毎日聞かされてる俺の気持ちも考えろよ。」

「それなら個人的な感情で恵梨香を傷つけるの?子供なの?」

恵梨香はだんだん荒れていった。学校でイジメまでしなくても、わざと万引きとかしたりしていた。結局両親は離婚した。学校は転校して、母親のもとで生活することになった。それからも不幸が続く。

「もしもし…えっ?母がですか。」

交通事故で彼女の母親はなくなった。

「母ちゃん!」

彼女は悲しみにくれた。

「恵梨香ちゃん、まだ13歳なのにお父さんもお母さんもいなくて大変よね。可哀そうだわ。これからどうするのかしら。」

彼女は心が荒れすぎて、泣くことすら出来なかった。私のこと大人達は自分が良い人に見られたいがために私の名前を出して可哀想という言葉をつらつら並べてるだけだと考えていた。彼女にとって可哀想という言葉は自分はそうじゃなくて良かったという言葉でしかなかった。親が最低だと恵梨香の前でペラペラ話してる大人達も自分が良いだけ人だと思われたいだけ。彼女は誰も信じられなかった。本当に思いやる気持ちがあるならお金で支援するなり、親身に寄り添うなり何なりすれば良いと思っていたので、軽い言葉だけの同情は彼女からしたら迷惑でしかなかった。そんな事するくらいなら何も言われない方がマシだった。

彼女は母方の伯母のもとで暮らすが、毎日あからさまな態度で嫌われていた。学校ではバスケ部に入っていた。部活以外の時間は噂する女子達を片っ端から殴っていた。喧嘩に明け暮れたり、悪い友達とつるんでいた。

「沢さん、授業中化粧はやめてください。授業は勉強するための時間ですよ。」

恵梨香は周囲の大人にたくさん反抗していた。

「勉強?化粧も勉強でしょ。社会人なったら皆メイクしなきゃいけないわけだし。私は社会に出るための予習してるの。先生そんな授業しても意味ないです。」

彼女は頭もきれるため、中々彼女を説得させられる先生はいなかった。彼女は他に悪してる生徒のフォローもしてるため、あるグループは彼女を慕っていた。

「テメー、うるさいんだよ!私が風紀を守れない不良だと言いたいの?何も知らないくせに分かったこと言ってるんじゃねーよ。」

教師を殴ることも日常茶飯事で学校では生活指導が度々行われた。校長はこの問題は学校だけで解決しようとするので恵梨香のことは他の学校にはそこまで明るみにならなかった。

恵梨香は母方の伯母に毎日嫌味を言われている。

「こんな非行に走るのってあんたのお父さん似よね。あんたのお母さん、何であんな人と結婚したんだろう。」

家はとても居心地が悪いので悪い友達と夜時間を潰したり、外泊などをしていた。

「沢、こんな世間で騒がれてる以上、お前を大会に出すことは出来ない。」

「何言ってるんですか?世間?全国が私のことを騒いでると言いたいんですか?ことを大きくして私のこと脅してるんですね。」

ついにバスケ部の顧問に見捨てられた。しかし彼女は悪い友達を利用して、恵梨香の代わりに大会に出場する子をボコボコに殴って大会に出場出来ないようにした。彼女は自らの手を汚さなかった。部員の欠員で恵梨香を出場させることになった。学校のレベルとしては県大会に出場出来るレベルだった。

「あの子、もうバスケ部に戻って来れないなんて可哀想。こんな大事な時期にあんな大怪我するなんて。」

恵梨香は一人の人生を自らの手を使わず奪った。それは生徒だけではなく、恵梨香に関わった一人の先生も教師を辞職するまでに追い込まれた。

県大会の実績があっても彼女は推薦で高校には入れなかった。一般入試で偏差値56の高校に入学した。高校は自由な校風なので彼女の行動を止める人は中々いなかった。しかし教師への暴行や他の生徒への暴行で何回か停学をくらった。高校でも彼女は変わっていなかった。

他にも喫煙などもしてる。彼女のやってることは日本の未成年者喫煙禁止法に関わるが、この法律は本人に処罰がないのはよく知っていたし、調べてから法律の抜け道を見つけた。法律が必ずしも悪い人を更生させるわけではない。

「沢さん、常識を知らないの?未成年者がタバコを吸うのは犯罪なのよ。」

「常識?犯罪?先生は世界平和など願ってるタイプの人間ですか?犯罪犯罪など言ってるなら汚職とか隠蔽してる政治家は?戦争とかしてる軍人も犯罪者なんじゃないの?それならノーベル平和賞の一つでも取って戦争止めたり、今まさに学校で行われてる陰湿なイジメを失くしてから者言ったらどうなんですか?どうせ私はどうでも良いので、停学にするなりなんなり好きにすれば良いですけど。」

彼女は停学を何度も受けて、大学は進学せず、パパ活と言う名の援助交際をした。他にもバスケ部の外部指導員として母校のバスケ部を指導していた。実力だけはかなり認められていた。最初は普通に指導していたが、恵梨香が26歳の時から当時の彼女より実力のある生徒は嫉妬されて酷い扱いを受けた。後から上手くなる子はターゲットにされなかったが最初からズバぬけてる子はターゲットになった。暴力などの目立つ行為はなかったが、部活内でその生徒を孤立させるやり方で追い詰めた。

「磯野さん。あなた今日から練習に参加してなくて良いわ。そこに立って皆の採点係ずっとしてなさい。」

部員達に彼女のあることないことを言って、彼女を孤立させた。運良く練習に参加できても、皆からは空気のように扱われた。

「こっちにパス!」

彼女に誰もボールを渡さない。その生徒は最初はこれが部活の厳しさだと思っていた。

「ちょっと真奈美。掃除が出来てないよ。」

一部の部員も一緒になってその生徒を追い詰めた。大会に出場しても常に応援する係だった。

「何であなたが試合に参加出来ないか分かる?」

耳元でささやく。

「才能が無いからよ。」

録音できないように、電子機器の使用は常に禁止していた。

度重なる嫌がらせで2年生になる前にその生徒は部活を辞めた。監督の顧問とも裏で愛人関係だったので、彼女はその件で責め立てられることはなかった。

一方援助交際で彼女はまた別にお金を稼いでいた。彼女は他の援助交際するのはお金目的ではなかった。卒業してから何年かはアルバイトをしていたが、大人を信用できない彼女は辞めては新しい職場を探す繰り返しだった。そこで思いついたのが信頼出来ない大人を逆に利用する援助交際だった。彼女にはパトロンが二人いる。

「恵梨香、君は妻が体験させてくれないことをしてくれる…」

一人は特殊な性癖の男性だ。いわゆるマゾな男性だ。

「今度は手を縛ってくれないかな。もっと強く。」

彼女は最初から相手を見定めていた。援助交際に限界があるが、するのであれば長い期間特定の相手からお金を貰ったほうが良いと考えていた。

彼女は他の援助交際をする女性や男性とは違い、ブランド物を買ったり、ホストでお金を溶かすようなことは無かった。自分の生活の為にそれをしてるだけだった。そして頭が回る彼女は税金対策もしていた。税理士なども雇っていた。

もう一人は入江美奈子の旦那、入江宗一郎だ。もちろんバレないようにビジネスホテルや会員制のレストランで会っている。基本、外で会うことは無い。彼女は従順な女性を演じた。

「奥さん素敵な人ですね。こんなことして大丈夫なんですか?」

会員制のレストランの個室で二人は話す。

「バレなきゃれば問題ないし、あの女は俺がいなきゃ生きてけない女だ。」

「そんなこと言ったら奥さん悲しみますよ。」

彼女は宗一郎の心を満たしつつ美奈子の悪口を言わなかった。

「それにお金にがめつい女だからブランド物とか買ってやれば、子供の育児全部やってくれるからな。」

家政婦を雇っているが、子供のことは全部美奈子が関わっていた、彼が関わるとしたら成績のことだ。

「それに最近回数が減ったからこうやって恵梨香に会いに来てる。家のことは家政婦と妻がなんとかする、私の体と心を満たすのは恵梨香の役割だ。」

「それにしてもどんな風に二人は出会ったんですか?」  

宗一郎は美奈子と馴れ初めを話す。それを日本酒を飲みながら聞く。内心、彼女はそんな人と何故結婚したのか疑問だった。彼女は金持ちの旦那の妻なら探偵を雇うのは想定内だったので、バレない作戦を毎日ねっていた。

「どんな人か会ってないから分からないけど、略奪婚の女性ってこんな運命なんだ。」

寝ている宗一郎の横で彼女はつぶやいた。


ビデオが終わった。

「これで全てのビデオ視聴を終了する。」

ビデオ視聴と同時に美奈子が立ち上がった。

「恵梨香…」

美奈子は恵梨香に近づく。

「旦那とコソコソと関係持っていたのね。許さないわ!この売女が!」

恵梨香を殴り飛ばした。

「これじゃあまだ足りない。」

恵梨香を何度も殴り続ける。恵梨香は殴り返さず、抵抗だけした。

「あんた被害者ぶってるけど私みたいにあんたも加害者じゃん。人間って皆自分勝手よね。自分が受けた仕打ちだけ覚えて、人にやったこと無かったことにするんだから。」

「偉そうに語るな!私にはあんたと違って子供がいるのよ。」

「それならあなたの旦那も悪者じゃん。こうやって私に怒って何か解決すると思ってるの?本当に入江美奈子がこんなに頭悪い奥さんだったなんて知らなかった。」

恵梨香は美奈子を煽り、さらに殴られた。

「怒る資格、美奈子さんにあるの?」

「それとこれは別よ!」

プレイヤー数名で美奈子と恵梨香を止めた。

「確かに私は馬鹿よ。あんたのような人間を信用したんだから。せっかく仲良くなれたと思ったら最初から私をはめるつもりだったんだ。皆、これで正体が分かったでしょ。恵梨香が人を蹴落とすサイコパスだって。」

知世意外は気がついていなかった。

「まあ落ち着きなよ。セラフを使ったのはあんたに支払う慰謝料を払うためよ。」

美奈子は再びビンタをした。

「そんなのいらない!こんな相手からお金を貰った所で関係が修復するわけじゃないだから。」

「全部自分で巻いた種なのに。」

佐江が恵梨香の肩に手をおいた。

「本当にずっとこんな生き方するの?いつまで甘えたことしてるの。」

恵梨香は何も答えられなかった。

二人の対立によりプレイヤー全員気まずい空気になった。


「いよいよ最終決戦ね。今度こそあんたを抜かす。」

「望む所だ。今回は特別なゲームを最後に用意したからな。」

今までの行いが後悔するゲームがはじまる。

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