砂漠捜索
佐伯舞華はこの前の入江美奈子やケイジの言葉で色々考えていた。娘が被害者と思いつつも自分だって被害者なんだと心に言い聞かせていた。もう起こしてしまったことだから今さらどうすることも出来ないと思った。
「ちょっと、おばさん!」
「おばさんって言うな!」
沢恵梨香に声をかけられた。
「いつまで考え事してるわけ?」
「あんたには関係ないのよ。元はと言えばあんな両親がいけないのよ。」
「せっかく変われると思ったのに本当に残念だわ。」
「私が変わる?」
恵梨香の一言でさらに自分のしてきた行いを考えた。
「クズども、重大発表がある。」
画面からケイジが出て来た。
「何よ。」
「今からゲームがはじまるまでプレイヤー間の交流は禁止だ。」
「は?そんなの無理に決まってるでしょ。私達、同じ会場にいるのよ。」
「説明を最後まで聞けない奴らばかりだな。良いから話を聞け。各プレイヤー個室を用意した。もちろんシャワーとトイレつきだ。ゲームプレイ前まで絶対に部屋を出ないことだ。」
「食事はどうするのよ!」
「心配するな。お前らの所に送ってやる。万が一部屋を出たらそのプレイヤーには1億円の罰金だ。」
「どうやってそんなお金徴収するわけ?」
「まだ信じてないようだな。お前らの大切な人がどうなっても良いなら自由に部屋を出ても良い。」
プレイヤー達は言われた通りに、部屋に移動した。
「じゃあな。うるさくしたらゲームはじまった時に仕返ししてやるから。」
船崎穂乃華が有吉加世に言った。
「そっちこそ。」
1週間にもわたり、個室に閉じ込められるもんだからプレイヤーはストレスが溜まっていた。もちろん電話も使えなければ携帯も使えない。唯一見られる映画はこの会社が作った映画くらいだ。強いて言うなら小説が何冊か置いてあるくらいだった。
「もううるさい!」
美奈子は隣でうるさくする加世に怒っていた。プレイヤー同士のトラブルを絶えないが、全員罰金だけは避けたいため部屋には出なかった。
「でも罰金は払いたくない。」
思いっきり、壁を叩いた。
「案外この小説面白いじゃん。」
雪田マリは何だかんだで小説を楽しんでいた。他にも木村知世も小説を読んで楽しんでいた。
一方、恵梨香のようにひたすら考え事をしてるプレイヤーもいた。恵梨香はどこか後ろめたい気持ちがあった。
「映画つまらないのしかないし、こんな映画本当に上映したことあるの?」
映画が好きな山本佐江は文句を言っていた。
「私がいなくなって変な指導者が代理なんじゃないかしら。」
千華江は吹奏楽部のことをずっと考えていた。
「元気に過ごしてたか?いつもの会場に戻るように!」
アナウンスが流れると、プレイヤー達は一斉に部屋を出て、会場に向かった。
「ちょっと、早くしてくれない?」
「こっちだって急いでるんだから声を荒げないで!」
「いや、遅すぎる。」
「物音たてたのあんたでしょ?」
「言いがかりやめてくれない?一番うるさくしてるの有吉でしょ?」
「何だって?」
「よくよく考えたらあんたも私と変わらないことしてるのに私だけ白い目で見られるのは変よね?」
「は?だって事実じゃん。」
プレイヤー達は1週間閉じ込められたストレスをぶつけ合った。まさに動物園から逃げ出す動物のようだった。
「全員そろったか?」
いつものモニター越しでケイジは確認した。
「見れば分かるでしょ。」
「全員いるから早速次のゲームを発表する。」
次のゲームが何なのかそれぞれプレイヤー達は頭の中で予想していた。
「次のゲームは砂漠捜索だ。」
「砂漠捜索…?」
プレイヤー達はいつの間にか砂漠にいた。
「あれ?皆は?」
時任千華江は一人になってかなり戸惑った。
「どういうこと?また私達を分裂されるつもり?」
恵梨香は冷静だった。
「ゲームマスター、どういうことなの?何で私一人しか砂漠にいない状況なの?」
美奈子は自分一人が砂漠に取り残されたのかと思った。実は各プレイヤーは砂漠にそれぞれ一人にされた。
「お前ら勘違いしてるようだな。お前らは今砂漠にバラバラな状況だ。ルールは簡単、9人全員砂漠で揃えばゲームは終了だ。」
「ちょっと待って!何でいつも説明がざっくりしてるのよ。もっと具体的に説明しなさいよ!それに地図や羅針盤が無ければ何も出来ないじゃん!どうするの?私達死ぬかもしれないんだよ?」
「落着き給え。俺もお前らが思ってるほどサイコパスではない。」
ケイジはサイコパスじゃないとは言い切れない。
「まず各プレイヤー、近くにカバンが置いてある。中身は1日分の食料、1本の水、携帯電話だ。」
「よし、良い考えがあるわ。」
山本佐江は何か企んでいた。
「お前らが何考えてるか手に取るように分かる。山本佐江、その携帯で警察に通報しようとしただろ?残念ながらこの携帯は電話回線はもちろん、日本国内や他の国のインターネット回線も使えない。ここの砂漠でのみ使える携帯だ。」
プレイヤー達は困惑した。
「プレイヤー同士、携帯のやり取りが出来る。しかし宛先は全て数字だから誰がメール送ってるか自分で考えることだ。」
「そんなの分かるわけないでしょ!」
「他にもゲームを行う上で有益な情報がある。この砂漠には5つのオアシスがある。」
「オアシス?それなんなのよ!」
「そんなのも知らないのか。砂漠で水を得られる所だ。ここの砂漠のオアシスはただのオアシスではない。食事も取れるようになってる。」
「そう言えば、ゲームマスター。あんたゲームプレイ中もセラフの残高が確認出来る場所があるって言ってたけど、今回のゲームもそんな所あるのかしら?」
木村知世がケイジに聞く。
「もちろんだ。ただし全部オアシスの付近にはない。他に質問ある奴いるか?」
「特にないわ。」
「それではゲーム開始だ。」
ゲーム早々、ケイジからプレイヤー達のもとにメールが来た。
「何だ、あのゲームマスターが有益な情報くれるのね。」
プレイヤー達のもとに来たのは役に立つ情報だった。
「とにかくここはオアシスを探さないと私は確実に死ぬわ。他のプレイヤーを見つけたら離れないことね。誰かからメールだ。」
入江美奈子が誰かからメールを受け取る。
「何よこれ?許せないわ。」
自分と息子を同時に馬鹿にされた文面でかなり怒っていた。息子達は父親の言いなりのロボットだとか、美奈子自身が自分の学力がないから息子に期待してるとか家族を馬鹿にするような内容ばかりだった。
「誰かと分かったら本当にボコボコにしてやろうかしら。」
一方、千華江はすぐにバテていた。
「こんなんじゃ食料足りない。」
だいぶ歩いたので疲れていた。
「ん?あれって、オアシスじゃん!」
彼女はいつも出さないスピードで走った。あっという間にオアシスについた。
「オアシスに誰もいないわね。ここは移動した方がいいのかしら?」
木村知世はあるオアシスに一番のりで来たが誰もいなかった為、次の行動を考えた。
「誰よ。こんなメール送ったの。私のこと、暴力女だって?ゲーム終わったら私のこと通報するだって?私が元ヤクザの旦那を自分のステータスだと思ってる女だって?大した度胸持ってるじゃない。見つけたら動けなくなるまで殴ってやるわ。」
加世もカンカンになっていた。これもケイジの作戦なのだろうか。
「誰か特定出来なければ名前を聞き出せば良いのよ。」
舞華がメールを打ち込む。
「何?メールが跳ね返された。」
「どうやら無謀なことしてるな。残念ながら名前を聞き出すことは不可能だ。それと個人名がメールの中に含まれていたらそのメールは送れない。ニックネームも駄目だ。」
ケイジが声が砂漠中に響く。
「やっと見つけた!」
「穂乃華さん。」
砂漠の途中、穂乃華と恵梨香が合流した。
「オアシスは見つけた?」
「まだ。2時間も歩いて見つからないって相当広い砂漠よ。」
「まずはオアシスを探さないと喉乾いて死ぬよ。」
しばらく歩いているとオアシスが見えた。
「恵梨香、何してるの?どこでそんなもの。」
「これ、入江さんからもらったの。煙玉を投げるの。」
「こんな所でどう役に立つわけ?眼の前が見えなくなるだけよ。」
「あんたの言ってることは正しいけど、煙玉は狭い空間でしか使ったことないでしょ?私が思うに煙玉はそんなに広範囲じゃない。」
恵梨香はとっさにボール投げる姿勢になった。
「私が投げたら、すぐに全員に一斉メールして。」
「分かった。」
恵梨香は遠くまで投げた。煙玉は幸いそんなに広範囲に広がらなかった。メールの返信が返ってくれば、そのプレイヤーはオアシスの付近にいることになる。メールでプレイヤーを呼び寄せる作戦だ。しかしこれは煙玉の効果が約1時間なのでリスクもある。
「1時間以内に誰も来なければ次の策をねるしかないわ。」
今、オアシスにいるのは恵梨香、穂乃華、知世、千華江がいた。合流した2人以外はそれぞれ違うオアシスにいた。
その頃、マリは一人だった。
「やっとオアシスについたけど、誰もいないわ。ヤシの木もあるのね。」
早速食料を確保して食べた。
「これ使わせてもらうわ。」
彼女はココナッツを砂漠4箇所に思いっきり投げた。そしてココナッツが見えるかどうかメールを送った。
その頃、佐江は砂漠の中をさまよっていた。
「暑いし、もうヘトヘト。水飲まないと。」
佐江は歩いては止まるの繰り返しだった。
「あと水が1本…何としてもオアシスを見つけないと。」
佐江は助けを求めにメールを一斉送信した。
「誰かまだ迷い込んでるようね。」
オアシスにいるプレイヤーはまた迷い込むのが嫌なため、メールだけ読んで待機した。知世は早速、オアシスにいるか安否を確認した。
「今出来ることはこれしかないわね。写真や動画が送れないのが致命的ね。」
まだオアシスを見つけられてないのは加世、美奈子、佐江、舞華だった。
「とにかく5人はオアシスにいるようね。」
千華江はオアシスで食べ物をひたすら食べていた。
舞華はココナッツを見つけてメールをした。メールを確認したマリはさらにメールで聞き出す。眼の前に何が見えるか。舞華はメールをやり取りしながらマリのいるオアシスに来た。
「4番ってあんただったのね。」
「5番は雪田さんか。とにかく水をとらしてもらうわ。」
メールの宛先は番号で表記された。マリは舞華に食料を渡す。
「あんたかなり計算高いね。ヤシの実を目印にするだなんて。鍵探しの時も金の鍵と銀の鍵にペンキを塗るなんてあんたはずる賢いタイプの出来る女ね。」
「褒めてるのかしら?」
「褒めてあげてるの。」
「その上から目線まだ続けてるのか。」
「あんただってそうでしょ。あんたみたいなプレイヤーと関わって上から目線で物言われる感覚をはじめて実感したわ。私はずっと見下す側だったから。」
「今さらか。」
「あんたも本当は自分のやったこと後ろめたいんじゃないの?」
「あんたに私の何が分かるの。私は娘なんてどうでも良いの。」
「今までのあんたはそうかもしれないけど、今はあんたがそれに気がつく時よ。今からでも遅くない。あんたが傷つけた事実はよく覚えてる。だけどあの娘達ならあんたが変わったのもよく分かるはずよ。関係を取り戻したいのであれば変わるしかないね。」
「うるさい。ほっといて!」
「そう。それならそう言う生き方をすれば良いよ。」
マリは自分の生き方と照らし合わせながら舞華に行った。
「そんなこと雪田さんが言うなんて、少しは他のプレイヤーにしたこと反省してるようね。」
しばらく無言の時間が続いた。
「オアシスついたけど、誰かいるの?」
加世は無事にオアシスについた。オアシスに誰かいないか確認したけど誰もいなかった。喉が乾いて水を飲んだ。
その頃、美奈子はセラフの残高を確認出来るピンクと紫のフクロウのオブジェを見つけた。背中にセラフをかざした。
「どういうこと?15万セラフしかないって、誰か勝手に使ったってわけ?時任さんが使って398500セラフ。その後誰か裏切ったってことね。」
美奈子はかなり動揺していた。とっさにメールをした。しかしメールはすぐに返された。
「金銭のやり取りはメールで出来ないようになってる。」
ケイジの声が砂漠中に響く。
「そんな…」
美奈子はゲーム早く終わらせる為にセラフを使う作戦だった。
「あれ、山本さんじゃない?」
「山本さん。」
佐江は恵梨香と穂乃華に呼ばれてオアシスに向かった。
「早速3人合流したわけね。」
佐江はふらふらしていた。
「山本さん?」
佐江は突然倒れてしまった。




