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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
22/32

ハッピーミュージカル2

完成した録音をもとに入江美奈子、佐伯舞華、沢恵梨香、有吉加世は振り付けを考えた。

「待って。ミュージカルということは結局私達歌わないといけないんだわ。」

歌詞は館内の掃除の仕方が書いているような歌詞だった。

「いや私は歌いたくないから。」

「私だってこんな歌詞歌いたくないわ。」

「でもどうするの?断ったらまたゲームマスターから罰を受けるのよ。それに見てるのはどうせゲームマスターだけよ。そんなに気にすることはないわ。」

渋々と歌いながら、振り付けを考えた。

「ここの動きはホウキの先を上から下に振り下げる動きにしよう。」

「痛い!ぶつかってる!」

練習はホウキがぶつかるアクシデントが何回か起きた。

「ここのソロパートは美奈子に歌ってもらう。それでその後、私、加世、恵梨香の準で重ねてハモってもらう。それとここの部分の動きはもっと間隔あけて踊らないとぶつかって危ないわ。」

ゲームマスターからまた指示が来た。

「全プレイヤー、最初の会場に集まるように、」

全員移動した。館内中に彼の声は響く。

「発表は3日後だ。それまでに練習しておくように。」

全員到着した。

「時任さん、これからダンス隊が踊るからテンポ取ってくれる?」

「分かったわ。1、2、3、4!」

千華江はずっとテンポを刻む。長年培ったテンポ力だ。ズレることを知らない。

「箒で綺麗にゴミ払う!」

彼女達は嫌々ながら踊りながら歌った。

「ストップ!踊りはよく分からないけど、うたの出だしがバラバラ。それに4拍伸ばすのに沢さんと佐伯さんがあってない!」

駄目な所がある度にダンスを止められた。

「一人ずつサビに入る前歌って。踊るのはどうでも良いから歌だけに集中して。まずは入江さんから。」

「私の使命は掃除にあーる」

美奈子はサビ前を歌った。

「次、沢さん。」

「私の使命は掃除にあーる」

「全体的に音程が悪い。何回同じミスするの?」

「ミスなんてしてないわ。」

「あんたに分からなくても、私には音程悪いのは分かるの。自分の歌の音程が分からないなんて致命的ね。次、有吉さん。」

全員千華江に酷評された。

「次はステージに上がって練習よ。」

ステージで実際に演奏などをした。

「ちょっと、ダンス隊!そんなにゆとりとったら楽器にぶつかるじゃない!もっと間隔狭くして。」

千華江は奏者側のことしか考えなかった。

「さっきから何?私達も練習しなきゃいけないのに何でこんなに演奏チームの練習に付き合わないといけないわけ?」

美奈子がついに怒りだした。

「時任さん、そんなんだから生徒があんたから離れていくんでしょ。普段からそんなものの言い方で指導してるの?本当にあなたって人は馬鹿ですね。」

恵梨香は相手の感情など無視して正論を吐き出した。

「全て私のせいにするの?どんなにダンスが上手くても演奏や歌が最悪ならどうしようもないの。」

「それって時任さんの意見でしょ。視覚からの情報と聴覚からの情報どっちを優先するかなんて人によって違うんだから。」

「沢さん、あんた音程合わせてからもの言ったらどうなの?あんたが私の指導にどうこう言える立場じゃないわ。」

「皆、時任さんや私や木村さんがいなかったら曲すら出来上がって無かったのよ。私達はただ演奏をしたいだけじゃなくて全体を見たいの。部分練習ばかりじゃ全体がどうなってるか分からずめちゃくちゃになるのよ。」

佐江は千華江をフォローした。

「時任さん、怖!音楽になると本性出るとかマジでサイコパスじゃん。」

加世が千華江を煽る。

「待って。私達、振り付け決まったばかりよ。土台が出来上がってもいない状態で全体の合わせばかりするの。」

千華江と佐江は舞華、恵梨香、美奈子と加世とつかみ合いの喧嘩になった。

「ちょっとあんた達、そんなことしてる暇あるの!痛い!」

知世は喧嘩してるプレイヤーに押し倒された。

「大丈夫?」

マリと穂乃華が知世を手当した。

「何が起きたか説明してくれる?」

知世は事情を完結に説明した。

「それならこの手を使うしかなさそうね。」

「ちょっと、船崎、何をする気?」

喧嘩してるプレイヤーに靴を投げつけた。

「ストーーップ!!」

全員穂乃華に注目した。

「今ので10分も時間を無駄にしてるのよ。何が問題か一人ずつ話したらどうなの?」

千華江と佐江は演奏はたくさん合わせたので全体の練習で合わせることを考えていた。一方、美奈子達はダンスを確実にしてから全体の合わせをしたかった。知世はどっちにもつかなかった。

「問題はお互いの優先順位のズレね。」

穂乃華は解決策を考えていた。

「船崎さんはどう思うわけ?」

千華江と美奈子が聞いた。

「とにかく、どっちも重要なわけでしょ。」

「それならどっちもやっちゃえば?」

マリがさらに提案をした。

「何いってんの?」

「そんな難しいことじゃないじゃん。時間を決めてどっちもやるの。そうでもしないと双方が言うようにバランスが悪くなるわ。それに私達も照明の合わせが無いと困るわ。」

「雪田さん、あなたそんなに頭回る人だったのね。」

知世がマリを評価した。ほとんどのプレイヤーはマリに対してあまり良いイメージを抱いてなかったし、悪い所が注目されすぎて他なんてどうでも良かった。

「それなら時間配分決めるの私に出来ないかしら?」

「木村さんだけで決めるって言うの?」

「今の状況見てそんなこと言う?あんた達口を開けばさっきから喧嘩しかしてないじゃない。それなら今一番冷静な私に任せた方が良いでしょ?」

プレイヤー達は完全に納得しているわけではないが知世に時間配分の役割を果たした。

練習はタイムテーブル通りに進んだ。

「沢さんと佐伯さん、あなた達音程合うようになったね。お腹から声を出すともっと魅力的に聞こえるわ。」

「ありがとう。あんたの言ってること全て間違ってると思ってなかった。何か困ってるなら協力するわ。」

対立していたプレイヤー達だったが貶し合いがありながらも一つのチームとして協力しあった。

「照明、少し明るすぎる。」

照明チームもちゃんと全体の練習に参加出来た。

「時任さん!」

美奈子が呼びかけた。

「休憩中に何?」

「あんた少し変わったね。少し教え方がマシになったと言うか。あんた音楽教師ばかりであまり外の世界知らなかっでしょ?」 

「あんただって、専業主婦で外の世界見えてないじゃない。」

「私はただの専業主婦じゃないの。ジムとかだって通ってるんだからまだ社交性はあるわ。でもここにいて内心思ったの。私は狭い世界で生きてたんだってことをね。息子達や旦那のことばかり考えてて、自分がどんな行いをしていたかなんて気にしてなかったわ。あなたも同じ。あんたは音楽に情熱的になってるのは評価してあげるけど、もっと自分の指導に客観的になってみたら?」

「私の指導は間違ってなかった。」

「間違いと言うか、いかに生徒がついていくか考えたらあんたも音楽を楽しめるようになるんじゃないの?ここに来て自分が一部の生徒達にどれくらい恨みを買って嫌われてるか分かったでしょ?本当は変えなきゃいけないって気づいてるはずよ。」

「あんたに何が分かるの。」

「確かに全てを分かったわけじゃない。だけどあんたは今回のゲームで変わったのよ。これからも変われる可能性があるわ。」

「それはゲームを上手く進行させるためよ。」

「そう。でもあんたなら気がつくはずよ。」

美奈子は千華江のもとを去った。

「時任さんとまた喧嘩?」

「今回はちょっと話しただけよ。喧嘩ばかりしてるように見えるかもしれないけど、私にも歩み寄る気持ちはあるの。」

「歩み寄るか。」

自分のことしか考えていなかった美奈子にも変化が現れた。

いよいよ当日がやって来た。

「今日はお待ちかねの発表だ。準備は出来たか?」

「準備なんてもう出来てるよ。」

「それでは発表開始だ。」

出だしは知世のドラムから始まり、ギターやベースやシンセサイザーなどの音が広がる。そしてダンス隊が入場する。

「あーあー、きたなーい、そうじがひつよう。」 

そして不思議な歌詞を彼女達は口ずさむ。 

「こーこを~」

「こーこを〜」

「こーこを〜、ほこりはらう〜」

歌声が重なってハモる。美奈子がセンターを牛耳っていた。あんなに対立してたプレイヤー達がステージの上では一体化した。

「ゆーめーみーたいにー。」

サビになると曲は盛り上がり、照明は一気に明るくなった。ダンサーの4人も掃除道具をたくみに使った。

「この魔法の箒を〜使ってー」

ブラスセクションの千華江と佐江もかなり盛り上がっていた。間奏に入ると、ダンサーの4人は掃除道具を激しく振り回した。加世はモップを投げて、受け取った。この演出は楽器を扱う千華江達にものすごく反対されたが何度も説得したら大丈夫になった。この動きは加世はものすごい練習を重ねた。

「今日もきれいに。」

また歌がはじまり、照明は少し暗くなった。サビになるとまた照明が明るくなった。

曲は3分続いて終わった。

「これから採点に入る。5分待ちたまえ。」

照明のマリと穂乃華もステージの方に来た。

一方、ケイジは音楽を聞いていたロボットと会議をした。

「彼女達、中々のパフォーマンス力ね。人間も中々良い音楽奏でるんだね。」

審査していたロボット4体の中には1体人間を見下すロボットもいた。ケイジの使ってるロボット達はこの会社が初期に買った中古のロボットだ。新人は新しいロボットを使うことは出来ない。同期の中でもケイジとクリスティーナはまだ良いロボットを使っている。かなり実力主義の会社だ。彼の同期のサミュエルは成績も下から2番めの為かなり毒舌なロボットを引いた。成績の悪い新人は一人でケイジ達のようにゲームを進行できず、上司が2人バックにつく。ケイジのような優秀なプレイヤーは一人でゲーム進行を任されるのが早いためいつ誰に抜かされるか分からない状況ではある。

「私はもう採点したよ。」

「俺もこの点数にする。」

ロボット達の採点が終わり合計点数を算出した。

「結果はこんな感じか。」

ケイジは点数で合否を決めた。

「お待ちかねの結果発表だ。」

全員、緊迫した雰囲気になった。

「今回の結果は。」

9人ともそれぞれ1箇所に集まった。おそらく緊張を紛らわす行動だろうか。

「合格だ!全プレイヤー、次のステージ通過だ!」

「やったーー!」

「通過したよ。」

やっとこのゲームになって全員の力でゲームをこなした。

「以上ハッピーミュージカルを終了とする。2日後にビデオ視聴がある。必ず出席するように。」

ケイジが画面から消える。  

「今回はあんたのおかげね。」

「あんたこそちゃんと歌とか指導してくれたじゃん。」

恵梨香と知世は凄い冷静だった。

「木村さん。」 

恵梨香が声をかけた。

「この団結いつまで続くと思う?」 

「もしかして次のゲームでも続くと思ってるの?」

「ゲームマスターが何かさくをねると思うわ。私達を簡単に団結させないさくを。」

「あんたは気がついてるみたいね。」

「浮かれてるプレイヤーに話しても話にならないでしょ。だからあなたに話したの。」


一方ゲームマスターは報告書をまとめていた。

「これだとまだ厚生には足りないな。あと2つのゲームで自分の罪を実感してもらわないとな。ここでは何とか人に協力することを覚えられたけど、これじゃあ成績出せない。最後のゲームはルールに縛りをつけないと意味がないな。」

報告書を書きながら、ゲームをどのように進行するか考えていた。


「サミュエル、お前まだ一人立ちまだしてないのか?」

「お前が一人立ち早すぎるんだよ。」

ケイジの同期ジェイは同期のサミュエルと話していた。

「今回はどっちが一位になると思う?クリスティーナとケイジ。会社じゃ二人が評判だ。」

「さあな。俺はあいつらのこと興味ないから。」

「ここは俺と賭けろ。俺はケイジだ。どんなことも感情的にならずたんたんと仕事をこなして、一瞬にしてプレイヤーの動きを分析する能力。クリスティーナより上だと思うけどな。」

「俺はパス。それとその分析お前の分析違うだろ?」

「バレたか。ゲームマスターの先輩が言ってたことだ。」

「お前、プレイヤーも上手く分析できないのに他のゲームマスター分析出来ないだろう。俺は賭けたりする真似はしないが2人はいい勝負だが、あいつがきっと這い上がるな。」

「あいつ?」

「何でもない。俺は仕事に戻るからな。」

ケイジも同期達も成績のことを考えながら今日も仕事を終えた。

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