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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
20/32

悪行公開6

ゲームが終わり一週間が経った。プレイヤー達は毎日カップラーメンを食べることになった。

「味変えれば良いもんじゃないよ。」

プレイヤー数名は気が立っていた。

「パンよりかはましね。」

雪田マリや時任千華江は不満はありつつもそこまで文句は言ってなかった。

「何だあのロボット?」

プレイヤーの目の前にロボットがやって来た。

「美味しいプリン、1500セラフで売ります。いかがですか?」

ロボットが喋った。

「それ一つください!」

お札をロボットに差し出した。

「決済完了です。お買い上げありがとうございます。」

千華江は食欲に負けてセラフでプリンを購入した。

「ちょっと何やってるのよ!」

船崎穂乃華が千華江を責める。

「何ってプリンを勝っただけよ。」

「カップ麺があるのにプリンを買わないで。」

「何で?使えるものは使っておかないと。」

「そういうことじゃなくて!そう言うのはゲームプレイ中やゲームマスターと取引するために使うのよ。どうして頭が回らない人がプレイヤーにいるのか。時任さん、あんたこのゲームで何も学習してないのね。」

確かに千華江は音楽以外のことはあまり頭の回転が早くない。

「そんなに責めないで。食欲に打ち勝てない時任さんの前に現れたロボットが悪いのよ。」

他責思考は変わらないが、少しだけ入江美奈子は他のプレイヤーに対して穏やかになった。マリも皆に極端に省かれて、少しは大人しくなった。

「ただ誰がもつか決めておかないといけないわ。1200セラフといえ、それが続けばとんでもない額になるわ。皆、時任さんのお菓子好き止めれると思う?それなら私が一つ持ったほうが良いわ。」

佐伯舞香は千華江からセラフを取り上げた。

「それなら、私は恵梨香に持ってもらった方が良いわ。」

船崎穂乃華は沢恵梨香にセラフを渡す。

「山本さん、あなたのセラフ貰うわ。あんたろくな使い方しなさそうだから。」

「ちょっと待ちなさいよ。私、信用性は雪田さんよりはあるわ。」

「私はゲームを早く終わらせることしか考えてない人間なの。何を言おうと無駄よ。」

木村知世が山本佐江のセラフを奪った。

「あとは私が持つわ。」

「私もそれ使いたいのに。」

有吉加世は不満そうだった。セラフは4人の手に渡った。

「それでこのセラフを何にどれくらい使ったか正直に申告して。爆発する危険性があるから報告漏れは禁止よ。」

全員、カバンにセラフをしまった。


「これからビデオ視聴をはじめる。」

いきなりスクリーンが作動した。ケイジが画面に登場する。

「ちょっといきなりビックリさせないでよ。」

「ビデオ視聴は今日なの?明日なんじゃないの?」

舞華がケイジに聞く。

「何だ?自分の過去の行いが皆の前で公開されるのが怖いんだろ?」

「言ってることがコロコロ変わるから聞いただけよ。」

「今回はこのプレイヤーだ。」

画面には船崎穂乃華と表示された。


船崎穂乃華は3人の小さな子供がいるフリーランスのITエンジニア。しかしながらそれだけじゃ稼ぎならないため飲食店でパートをしている。

「この前頼んだ仕事終わらせたか?」

「終わらせましたよ。」

ITエンジニアの仕事では生きがいを感じて、ピリピリせず働いている。彼女の中では対等な人間だからだ。しかし本性は掛け持ちしてる飲食店バイトの時に出る。

「新しく入った。十川です。この仕事は初めてですが宜しくお願いします。」

皆の前では笑顔だが、十川さんを目の前にすると穂乃華の態度は変わる。十川さんは50代の主婦だ。

「あの、ここのパフェの工程、仕様書の材料でやったんですが、どうやったら上手く固まるんでしたっけ?ヴィーガンクリーム作るのあまり慣れなくて。」

「それ2回目ですよね?このレモン汁使えば解決って何度言ったら分かるんですか?仕事に対してのやる気が見えませんね。」

最初からこのような態度なので、十川さんはどんどん弱気になっていった。 

「十川さん。」

「何でしょうか?」

「サーモンにもっとブラックペーパーをまぶしてください。この前、私教えましたよね?」

「それってこの会社や店舗で決まったことなんですか?明日出勤なので確認しましょうか?仕様書にはブラックペーパーしょうしょうと書いてるので。」

「そう言うの余計な仕事を増やすだけなのでやめてください。お客様に味の変わったものを提供するんですか?それでクレーム来たら責任取れますか?あなたのブラックペーパー少々の目安にお客様が合わせろと言うんですか?」

「船崎さんの指導ちゃんと聞いてないのかしら?自分のものさしで物事を決めないでください。」

取り巻きも穂乃華と一緒になって十川さんをいびった。

「すみません。」

ある日、あるお客さんに十川さんはある年配女性に褒められた。

「すごい声がよく通って明るく接客してくださってありがとうございます。あなた、十川さんって言うんですね。今日は丁寧な接客で美味しいご飯を食べれたわ。また来るね。」

その様子を穂乃華は厨房から客にバレない程度に見てにらんだ。十川さんが厨房に戻ると取り巻きと穂乃華しかいなかった。

「十川さん、声出しの仕方がキモい。お客様を不快にさせてるの分からないんですか?」

彼女はこの穂乃華は本当に見下してものを言ってると思ったが、精神的に追い詰められた彼女は何も言い返せなかった。

「ここ前に教えましたよね。厨房の床はアルコール製剤をまぶして拭くことって。」

「いや、そんなの知らないです。水で濡らしたモップの何が駄目なのでしょうか?具体的な理由を教えてください。」

「キッチンを衛生的に保つためよ。あとここの厨房私のほうが長いので余計なことしないでください。」

彼女は何故ここまで彼女のことを見下すかには理由がある。まず彼女は気楽そうで仕事になれない不器用な年上はこの年で何やっていたのかすぐ見下す傾向がある。彼女の中では飲み込みが遅いのは許されない行為だから。改善しようとする態度なんて彼女にはどうでも良い。そう言う人間は見下しても良いという思考回路だ。

「何やってるの?」

「すみません。ちょっと十川さんから悩み相談受けたのでそれにのっただけですよ。」

うちの職場は誰かが旅行に行くとお土産を配るのがよくあることだった。

「この前、高知県行ってきたの。これ高知のお土産だから受け取って。」

穂乃華がお土産を配ると十川さんと目が合う。

「は?」

すごい失礼な態度を出して、彼女にだけ配らなかった。

ある日、十川さんがお土産配る機会があった。

「これ良かったら石川県のお土産なので食べてください。」

「いらないです。」

「私もいらない。」

食材が余る時は食品ロス防止の為、持ち帰ることが許可されている。

「船崎さん、こちらのソースすごい余ってパッキングしたので持ち帰ってください。もう店長に確認済みです。」

「いらないです。余計なことしないでください。」

明らかに態度の違いがあった。普段は学生と輪になってベラベラ話してるのに、十川さんを取り巻きの20代数人でいびる。

元々十川さんが入る前は穂乃華が最年長だった。それまで30代なのに綺麗な姿を称賛されていた。バイトの学生全員に慕われていたし、この職場を自分の都合の良いように使っていた。さらに店長の前ではちゃんとやってるアピールをする。しかし十川さんが入ってからは彼女が注目されるのが気に食わないので、色んな手を使っては彼女を孤立させた。世の中にはこんなにも大人げのない人間がいる。

「ちょっと、2名入れる?」

「はい。」

ブルーカラーの仕事をしてる人が来るとあからさまに態度を変えた。水をわざと乱暴に置く。

「ここのオススメは何?」

「そんなの人によって違うので自分で探してください。」

「お前態度悪いな!俺が何をしたっていうんだ!」

そう言われると彼女はその客を無視した。彼女は自分より格下だと思うブルーカラーの仕事の大人をすぐに見下す。

「お待たせしました。オーダーうけたまわりますね。」

十川さんがその現場を見てフォローした。

「お客様、今日はこのチョコレートパフェとかオススメです。いかがなさいますか?」

「じゃあそれにするよ。ありがとう!」

その客がいなくなると、取り巻きと穂乃華の客の悪口大会がはじまった。

「工場の服着たやつがここのレストラン来るとかどういう神経してるんだろうね?」

「見た目をなんとかしない客には接客なんてしなくて良いのよ。あと十川さん、何であんなデザートしか頼まない質の悪い客に丁寧に対応するの?マジで信じられないんだけど。」

十川さんは戸惑ったが、言い返しても無駄だと思い目の前の作業に従事した。

「船崎さん、この洗い物まだ泡が残ってます。」

「は?あんたが仕事が遅いからこんなことになってるんでしょ!私はあんたと違って忙しい中この職場に来てるの。勝手なこと言わないで。」

「気がついたなら十川さん一人で洗い流せば良いですよね?」

ある日は彼女の自慢話や世間話。

「今受けてる仕事の案件が鬼過ぎて、本当に寝れてないんですよ。そんな状態でも来てる私偉くない?仕事遅い人と違ってそれでも確実にこなしてるけど。」

彼女は仕事が早いだけで、結構雑だ。彼女達の見えない所で十川さんが丁寧にカバーしている。もちろん取り巻きたちの仕事も。

十川さんはいる所ではいびられて、いない所では徹底的に悪口を言われた。精神的に限界が来て彼女は仕事を退職した。彼女は学生時代も同じようなことをしていた。動きの遅い年配のアルバイトの女性にガミガミものを言ったりしていた。その女性も彼女の仲間外れの行為によって辞めてしまった。こんな人間が働く権利があるのはおかしなことだ。

さらに彼女は学生時代も教師イジメをして、不当に授業をボイコットを主導した人物だ。もちろん明らかに気弱な先生をターゲットにした。


「これでビデオ視聴を終了する。」

「映像の一部を切り抜いて悪者のように見せてるだけじゃん!私の何が悪いの?私に言われる奴らにも原因があるのよ!それなら被害者ぶってるそいつらの過去も流すのが筋なんじゃないの?」

「お前いくつだ?」

「は?あんたそれくらい把握してるでしょ。」

「お前にいびられるきっかけはあっても、その人達に非はないよな?被害者ぶってるのはお前の方だ。雪田マリに散々イジメられたのに分かってないんだな。そんな状況になっても自己正当化するなんて都合が良すぎるな。」

「そ、それは。」

「人を精神的に追い込む行為が何故いけないのかこれで分かったんじゃないか?もちろん、ここにいるお前らもな!これで分からなければお前らは囚人と変わらない尊敬に値しない人間だ。」

ケイジの言葉で穂乃華は何も言い返せずにひざまずいた。その日はしんみりした雰囲気で一日が終わった。

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