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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
16/32

空虚隠れんぼ2

「山本さんが持ってるなんて知らなかった。」

「煙玉は使ったことないけど、何分くらい効果があるの?」

プレイヤー達は作戦会議中だ。

「知らない。」

誰も知らなかった。持ち主の山本佐江ですら。

「あと少しでゲームはじまるよ。他になにか案はないの?」

「さっきのキャットフードのあまりをゲームマスターに投げつけるてやるわ。」

「というか仮面の下の顔気にならない?」

入江美奈子が理由の分からないことを言った。

「これからゲームを再開する!各自隠れるように。」

隠れる時間で皆、武器の準備をした。山本佐江は片手に1弾の煙玉を握った。

「捜索タイムだ!」

言葉とともに煙玉を投げた。会場中が一瞬にして煙でおおわれた。

「見えない!これじゃあ身動きがとれないわ。作戦とはいえ上手くいくのかしら?」

「どこに行けば良いのよ。」

プレイヤー達は目の前が見えずパニックになっていた。

「山本佐江、木村知世発見。」

1分後、二人も捕まった。

「痛い。前見なさいよ!あっ!」

「プレイヤーとゲームマスターの区別もつかないのか?雪田マリ発見。」

マリも見つかってしまった。

「私にはスタンガンがあるわ。ゲームマスター、かかってきなさい!」

舞華はスタンガンを持ちながら、ケイジのAIを挑発した。すぐに人影を見つけた。

「見つけたわ!すきあり!」

スタンガンの音がはっきりと響いた。

「嘘!恵梨香なの?しっかりして。これじゃあゲームに勝てな…」

ケイジのAIにスタンガンをまたも盗まれた。

「沢恵梨香、佐伯舞華発見。」

プレイ時間は3分が経った。10分以内に全員見つかればプレイヤーの負け。

会場の様子をケイジはモニターから除いていた。

「俺は機械じゃなくても、足音や声で居場所がだいたい分かる。逃げ回れば逃げ回るほどこの勝負は不利だな。」

ケイジは音で空間を把握できる。足音で誰かも瞬時に把握出来る。

「時任千華江、有吉加世発見。」

5分が経った。プレイヤー達はもう見つからないように止まるしか無かった。視界が遮れば音でゲームマスターが判断するのは船崎穂乃華は分かっていた。

「うわっ!いた。」

倒れてる沢恵梨香の手が足に引っかかり倒れた。

「何でこんな所で寝てるのよ。しまった。」

すぐにケイジのAIは音の方にかけつける。

「船崎穂乃華発見!残り一人か。隠れても無駄だ必ず探し出す。」

美奈子はとにかく音をたてないように、心がけた。見つかるのも時間の問題だ。

「見つけたよ!入江美奈子発見。このゲームもプレイヤーの負けだ。」

プレイヤー達は皆、あっという間に捕まってしまった。

「あの、ゲームマスタームカつく!AIでも良いから一度ボコボコに殴りたい。」

有吉加世は取り乱していた。

「それより、まだ煙が酷い。」

ゲームが終わっても煙は消えていなかった。

「こんなんじゃ皆どこにいるか分からんし、まともに作戦会議出来ないよ。」

「砂がスニーカーに入って最悪。」

ゲームの時間じゃないのに休まらない感じだった。

「ゲームマスター!」

煙の中、モニターが光りだす。

「今日はゲームおしまいにして、明日の10時から再開で出来る?」

恵梨香がケイジに質問した。

「別にかまわない。それじゃあ、俺は用事があるから、明日の10時ゲーム再開だ。」

モニターは消える。

「ちょっと何勝手に決めてるの!ゲームの終わる時間が長引くじゃないの!」

恵梨香はマリに対してため息をつく。

「分かってないな。この状況で作戦をねっても、同じ結果よ。煙がいつ消えるのかも分からないし。」

30分後だ、煙は消えた。

「やっと視界がスッキリしたよ。」

「それなら作戦会議ね。今回の会場は砂漠ね。それを最大限に活かせそうね。」

知世が話を進めた。

「それなら落とし穴作るのはどう?はいあがれないくらい深い。」

恵梨香は中々頭の回転が早い。

「そんなもの作ったらうちらまで危険だろ!」

加世が反対する。千華江や佐江も乗り気じゃ無かった。

「文句ばかり言ってるけど、あんたゲームに貢献したの?」

美奈子がが加世をにらむ。

「低レベルな言い争いはやめて。今は明日のゲームの話し合いでしょ。とっとと決めて終わらせるよ。」

「木村さん、前から思ってたけど最年長だからって勝手にしきったりして、上から目線なのよ。」

知世は他のプレイヤーの嫌味を無視した。

「それなら有吉さんと言い出した恵梨香にやってもらうのどうかしら?私じゃ落とし穴なんて作れないわ。」 

舞華が言った。

「たったの5分の時間でどうするの?そんな早く落とし穴なんて作れないよ。せいぜい引っかかる程度よ。」

「それなら今作れば良いじゃん。あの5分は隠れる時間だから。」

マリと加世以外は落とし穴を掘ることになった。マリは特権を使って千華江と穂乃華にやらせた。加世はマリから特別扱いを受けた。マリが3人が団結しないようにわざとそうした。別に加世のことなんてどうなろうとどうでも良いと考えてる。

「何これ?仮面?」

穂乃華はキツネの仮面をカバンにしまった。

隠し扉を美奈子が見つけて、たくさんの大きなシャベルを持ってきた。

「これで穴を掘ろう!」

落とし穴を掘る作業が終わると皆すぐに寝てしまった。

翌日またゲームが再開した。

「お前ら、目覚めはどうだったか?これからゲームを再開する。まずは5分間隠れるタイムをもうける。」

皆、所定の位置に移動した。

「ゲームマスターはどこから出てくると思う?」

「流石にうちらがどこに落とし穴を仕掛けてたかは監視カメラで把握出来る。だからそこから遠い所ね。」

「それなら佐伯さん、落とし穴に近い所にいて。すきを狙ってスタンガンを突きつけるのよ。」

「分かったわ。」

舞華は落とし穴付近に移動した。

「山本さんは開始と同時に煙玉を投げて。」

知世がみんなをしきった。

「これから捜索タイムだ。」

運命が左右する10分だ。この勝負に勝てばプレイヤーは空虚隠れんぼから開放される。

佐江は早速煙玉を放った。一瞬にして会場は暗くなった。太陽の光にも勝つくらいすごい煙だ。

最初の1分半は捕まらなかった。

「雪田マリ発見!」

恵梨香は声で舞華のいる所までケイジのAIを誘導した。

「今よ!」

ケイジのAIにスタンガンが命中して、彼は気絶した。倒れてる彼を落とし穴に落とした。さらに知世は砂をかぶせた。皆、落とし穴から離れた。しかしケイジのAIはすぐに意識を取り戻した。

「こんなことしても無駄だよ。もう落とし穴からでたから。」

彼は嘘をついた。プレイヤーの大半はまだ彼が落とし穴にいることは分かっていた。一部のプレイヤーは見つからないか不安になっていた。

「これを使いますか。」

穂乃華はキツネの仮面をつけた。プレイ時間から5分が経った。今のところマリ以外は誰も捕まっていなかった。ケイジのAIは何とか落とし穴から脱出した。

「入江美奈子発見!」

各プレイヤー武器を構えていた。遠距離攻撃も良いが、そうすればすぐに居場所がバレてしまう。

「有吉加世、沢恵梨香発見!」

運動神経の良い二人がすぐに捕まった。周りは内心、かなり動揺していた。

「あれ、動けない!」

佐江は彼がゲーム中にしかけた罠に引っかかった。

「トラップをしかけたんだ。山本佐江発見!」

残りは3分。千華江、舞華、穂乃華、知世が残った。

「時任千華江発見!」

中々良い勝負になった。

「キャーー!」

穂乃華は運悪く落とし穴に落ちてしまった。

「木村知世発見。」

残すは2分になった。舞華は武器を構えていた。

「船崎さんは絶対落とし穴に落ちた。だから安心して煙の中でエアガンを放てる。見てなさい。私の実力を。」

しかし舞華はケイジのAIのいる場所を把握してなかった。勘でエアガンを放ちまくった。

「痛い!何するんだ!」

この煙で前が見えない状況だからいくらでも嘘をつくことが出来る。ケイジはまた嘘をついている。舞華はそれに気がつくか。

「声はあっちのほうね。今頃倒れてるわ…違う!確実に命中させた保証なんてどこにもない。」

千華江がまだ捕まっていなければ確実に音で分析が出来た。

「ゲームマスター、こそこそ隠れても無駄よ!隠れんぼの主導者のあんたが隠れてどうするの?あんたに私は捕まえられない。」

彼は何も反応しなかった。

「勝負が長引けばあんたの負けよ。それでも良いのかしら?」

AIのケイジは舞華の挑発にはのらなかった。

「流石に反応なしか。ん?」

すごいスピードでAIのケイジがやって来る。

「来たか!」

舞華はスタンガンをすぐにかまえた。心の中で彼女は必ず命中させると言った。

「逃さないよ!」

ケイジにスタンガンを当てようとしたが、ある仮面にスタンガンが当った。

「佐伯舞華発見。」

残りは1分になった。彼はすぐさま、穂乃華の落ちた落とし穴に向かった。

「ゲームマスターは私には勝てない。」

穂乃華は確信した。

「そこか!」

彼は自ら落とし穴に落ちる。

「ん?何だこれは!」

「私は何もしてないけど。強いて言うならあんたみたいなことはしてるけど。」

あと30秒だ。

「仮面か。だけど外しちゃえば問題ない。」

仮面を逆さまに着用してるので目を合わせられないようになっていた。穂乃華は落とし穴の中で逃げ回った。残り20秒になった。ケイジのAIは無言で穂乃華の仮面を外そうとした。

「離せ!離せ!」

彼はずっと無言だ。

「分かったわ。大人しく降参する。早く取りなさい。」

「言われなくてもそうしてるよ。」

ゲームは終了まで5秒前になった。仮面は取られた。

「何だと!?」

取られたのはケイジの仮面だった。 

「ゲーム終了!プレイヤーチームの勝利!」

プレイヤー全員が動けるようになり、ケイジのAIロボットは消えた。プレイヤー達は瞬間移動で元の会場に戻された。

「あんたこんな顔してたんだ。そこそこイケメンね。」

穂乃華は言った。

「えっ?あんたゲームマスターの顔見たの?」

加世が聞いた。

「そうよ。」

「どんな顔してたの?教えて!」

「教えるわけないでしょ。言ったらゲームマスターから酷い罰を受けるかもね。それでも良いなら言うけど。」

「分かったよ。あんたもすっかりゲームマスターよりの人間か。」

会場のモニターがつく。

「皆さん、こんにちは。今日はゲームマスターから報告がある。生物神経衰弱の成績上位者2人には特別な特権を与える。ただしこの特権の使用はは1回限りだ。1位は入江美奈子。」

一部のプレイヤーは腑に落ちなかった。

「2位は沢恵梨香。」

マリが立ち上がる。

「そんな話、ルール説明の時聞いてなかったわ。いきなりどういうつもりなの?」 

美奈子、恵梨香と穂乃華が立ち上がった。

「私達が仕組んだんだ。まずは私が使いたい特権はランクごとに食事を決めて欲しいわ。生物神経衰弱の上位ランク2名は高級食材を使った食事、3〜5位の3名はごく普通の家庭の食事、6〜8位はカップ麺、9位は味のないパンにして。」

美奈子が言った。

「入江美奈子の特権、承認した。なおこれで権限は失効だ。」 

周りがざわついた。

「それとこの3人を雪田マリへの服従関係から開放して。」

「それならもうさっきの決定で解けてる。特権が無くなった以上、使用することは出来ない。」

「それなら特権は今は使わないわ。」

恵梨香が言った。


生物神経衰弱のプレイ中、美奈子と恵梨香はマリの特権による間接的被害を無くすため、ゲームマスターをたくみに使う作戦を企てた。

「ゲームマスター。」

美奈子は声をかけた。ゲーム空間の様子を聞いたのもこの作戦を企てるためだった。皆が聞かない所でゲームマスターとやり取りするのには控え室と隔絶されたゲーム会場が最適だ。

「今回のゲームも報酬が欲しい。その代わり次のゲームでは報酬なしというので良いかしら?それくらい出来るでしょ?」

「良いだろう。」

「次のゲームの成績上位者2名に1回限り使える特権を与えて欲しい。」

罰に対する反抗でないない限り、無理難題でもない限り、割とケイジは融通がきくのを理解していた。

その後も積極的にゲームに参加してスコアをかせいだ。ゲームの終わりで一番マリの被害を受けてた穂乃華に全てを話した。彼女はマリの陣営の中ではかなりゲームに参加していた。そして今日、見事に成績を獲得した。


「3位以下を発表する。3位船崎穂乃華、4位佐伯舞華、5位有吉加世、6位木村知世、7位山本佐江、8位時任千華江、最下位は雪田マリだ。発表は以上だ。」

全ての発表は終わった。ゲームに参加しないマリにあまり口出ししなかったのもマリのスコアを下げるためだった。同時に穂乃華イジメを放置して、やりたくないゲームを穂乃華にたくさんやらせるように仕向けた。マリは絶望して、崩れ落ちてしまった。

「私が負けた。」

食事面においての地位は確立した。

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