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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
14/32

悪行公開4

「もううるさくて寝れないわ!」

プレイヤー達は全員苛立っていた。

「ゲームマスター、この音何とかして!」

いつものモニターが起動して、ケイジが現れる。今は日本の時間、夜中の2時だ。

「は?たった3日の罰だ。むしろ優しいと思わないか?特に雪田マリ、お前に虐げられてる3人はこっちの罰のほうがマシだと思ってるだろ?」

雪田マリとケイジの違い。マリは人を選ぶ。弱みがあって確実に反抗が出来ないものには徹底的に虐げる。ケイジは会社の任務のためなら誰一人大規模な反乱が起こせないレベルで管理して、徹底的に潰していく。

「法律が許すならお前らのような人間は人里離れた無人島で無様に暮らしていた方が救われる人間がいるはずだ。だけどよほどな独裁国家でもない限り人権が謳われてる世の中ではそんな法律の成立は無理だ。そんな環境で暮らすのとたった3日の我慢ならどっちのほうがましか分かるか?それくらい耐えられるよな?」

やり方は違っても、ケイジは少しサイコパスだ。少し変人では無いとこんな仕事務まらない。

騒音は工事現場の音、飛行機の音、モスキート音、ゲームセンターの音などが混ざっていた。ストレスがたまるのも無理がない。劣悪な睡眠環境だ。マリはさらにイラつき、食べ物で脅してる時任千華江、船崎穂乃華、有吉加世を徹底的にイジメた。


「クリスティーナ、何のようだ?」

同僚のクリスティーナから電話だ。

「あんた私と同期で成績もさほど変わらないのに、よくAI動物なんて手に入れられたわね。休み時間にあんたの所のゲーム見たわ。あんな高性能な機械、開発部がよく貸してくれたわね。あんなのよほど実績残してないと貸してくれないのに。」

「上手く交渉したんだ。具体的なゲームプランとどのように更生させるか話したんだよ。」

ゲームで使う道具や機械はゲームマスター自身が作るものと開発部が作るものがある。ケイジやクリスティーナは機械は上手く操縦したり、バグを調整したり、修理するが、作る技術はそんなに。ほとんどのゲームマスターがそんな感じだ。

「中々やるじゃないの。開発部を説得するなんて。私は使える範囲の機械であんたの成績を抜かすわ。」

「やれるもんならやって見ろ。少なくともお前は俺の女たらしの上司よりかは有能だと思うけどな。あいつは息をするように女とベッドで何したかの話ばかりだ。あとはマウントするのだけは一人前だ。」

「あんなのと一緒にされたらたまったもんじゃないわ。私はそんな底辺より上を目指すの。あんなの眼中にもないわ。」

ベンは二人からは慕われてなかった。ベンも優秀な社員だが、ケイジとクリスティーナとは相性が良くない。


3日が経って、プレイヤー達はようやく爆音から開放された。

「待たせたな、クズども!これからビデオ視聴をはじめる。」

画面には山本佐江と表示された。


山本佐江は幼少期から顔が父親よりで、母はよく佐江の顔をけなしていた。例えば顔が良くないから勉強しっかりして立派な大人にならないととか、もっと可愛い子が生まれれば良かったのにとか言っていた。父親も佐江のことには無関心だった。おかげで彼女の性格はゆがんだ。

高校生になり、電車通学もあって友達とふざけたゲームをはじめた。

「ねえ、皆痴漢冤罪ゲームしない?」

「何それ?面白そう!ルールは何?」

「電車に乗ってるそこら辺の男に痴漢したと言って、脅してお金を巻き上げるの。面白いと思わない?」

「面白そう。」

「何それ?本当に面白いと思ってるの?私そういうの無理。そんなにやりたければ二人でやれば。」

それから彼女は原田有紀と言う同級生と痴漢冤罪を起こした。

「ねえ、おじさん!痴漢しましたよね?」

痴漢をしてない男性に疑いをかけた。

「何なんだよ、君達。私は痴漢なんてしてない。私の尻触りましたよね?」

佐江がわざと男性の手にあてた。

「証拠もあるんだよね。これから警察にこの証拠も出そうかしら?」

それを見て本当にしてないのに、男性は何も言い返せなかった。

「バラされたく無ければ、1万円渡してください。これがバラされればおじさんの人生終わりますよ。一万円で証拠は無かったことになるんですよ。どうしますか?」

男性は自分の家庭を思い、渋々と一万円を渡した。

「ちょろすぎ。直接声出して訴えるより、こっちの方がリスクなくて良いね。電車の中で痴漢って言うのはたまにで良いよ。」

本当に困った人の権利を濫用する人間は世界であふれている。

「私に痴漢しましたよね?しらばっくれないでください。」

それからも彼女は色んな男性を痴漢だと言って、お金を要求した。特に弱そうな男性は1万円を要求された。

他にも50万円の示談金を不当に受け取ったりして、男性が置換をした疑いが会社で広まり、解雇になり社会的信用を失った。その男性の娘は貧しい中生まれ、学校でも痴漢を犯した父親の子供と扱われて、イジメられた。それからもその男性はアルバイトですら仕事につくのに不利になった。

「今日はついに電車で声をあげる時ね。」

「佐江楽しみにしてるよ。」

ターゲットの30代くらいの男性に近づいた。

「キャー、この人痴漢です!」

「えっ?痴漢?怖いんだけど。」

「あり得ない。」

周りの乗客は佐江の証言を信じた。

「この人が私のスカートを触ってきたんです。」

佐江は嘘泣きをした。

「私、確かに見ましたよ。この男が佐江のスカートとか髪の毛触るの。」

すぐに駅員がかけつけた。別室に皆案内された。

「何が起きたか詳しくて話してくれますか?」

「はい、この男性にいきなりお尻を触られたんです。私は抵抗したのにそれでも触り続けて。これから私、このこと思い出しながら生きてかなきゃいけないんですね。辛すぎます。どうしたら良いんですか?」

有紀も続けて話した。彼女も大泣きをした。

「私、この男が触ったの見たんです。止めに入ろうとしたら私のことにらんで怖くて、助けられなかったんです。この男を捕まえてください。」

「そこの君、なんでこんなことしたの?どんな理由があっても許される行為じゃないんだよ。」

「そんなことやってません。両手でつり革つかんでました。」 

「証拠はあるんですか?それを証言出来る人はいるんですか?」

駅員は男性を痴漢だとみなした。翌日、色んな人の証言のもと、男性の無実は証明された。しかしその時には遅く、男性は同じ駅のホームで自殺をした。それでも佐江は未成年ということもあり、刑事処分は受けなかった。

それから数年後、彼女は30歳になり、結婚相手を見つけた。相手は高収入な個人事業主だ。見た目もすごい爽やかでカッコいい男性だ。彼女は毎日が幸せだった。理由はただ一つ、理想が詰まったような男性と付き合えてるから。いつも高級レストランとかに連れてかれるし、ブランド物のバッグも買ってくれる。佐江は将来のことも考えてこの人と結婚したいと思うようになった。彼からも結婚を要求された。

「佐江、こんなこと言うのもあれだけど良いかな?こんなの男として恥ずかしすぎるお願いだ。」

「何よ。林太君はいつも完璧な私の彼氏でしょ。何を隠さないで言ってよ。」

「ごめん、今事業が失敗していて借金の返済に追われてるんだ。だから10万円貸してくれないかな?いきなりこんなこと言われて困るのも分かる。」

「林太君。何て返したら良いか分からない。」

「そうだよな。佐江、これは今だけなんだ。この状況が良くなればまた前のように素敵な所に連れてってやれる。頼む。」

もうすでに佐江は林太に依存していた。

「事業が困ってるならしょうがないわ。」

彼女はお金を振り込んでしまった。

「佐江、大変だ。父さんが事故にあったんだ。今すぐ60万を用意して欲しい。本当に死ぬかもしれないんだ。頼む!」

それからも200万くらいをその男に払ってしまった。そしていつの間にか連絡が取れなくなった。その事件以降彼女は男性不信になった。そして婚活すらしなくなった。

彼女は事務の仕事をする独身女性で、男に厳しい女性に変貌した。厳しいと言っても、不当な扱いをしてる厳しさだった。

「ちょっと、ここに荷物置かないでくれる?私達女子の荷物置き場なのよ。」

最初はそんな些細なことだった。

「そんなの知りませんけど。」

「あんた雰囲気で察すること出来ないの?これだからあんたはつまらない男なのよ。」

彼女は男性社員を見つけてわ嫌味を言った。

「高橋君、この資料やって。」

「それって、山本さんが課長から引き受けた仕事ですよね?俺、別のデータ入力してるので。」

「良いよね。男は女より給料もらえるし、出世出来て。それなら私の資料やるのも筋よね?」

彼女は自分のやりたくない仕事を男性社員に押しつけるようになった。

「ちょっと、相原君来て!ここの資料間違ってるじゃない!漢字もろくに出来ないの?男って言語能力が劣ってるのね。」

「漢字は確かに間違えました。だけどそれと性別の問題は違うんじゃないんですか?」

「大きな声で怒鳴られるの怖いわ。男ってすぐ怒鳴るのよね。」

彼女は嫌みたらしく言った。

「ちょっと荷物重いんだから、持ちなさいよ!そんな気遣いも出来ないの?」

「すみません。」

「そこも荷物持ちなさい!吉永さん、荷物は男性社員に運ばせなさい。」

他の女性社員が反抗した。

「山本さん、男性社員をばかりに自分達のやりたくない仕事を押し付けるのは違うと思います。それは教育じゃなくて、仕事の放棄です。」

「言い方が悪いね。世の中の女性がどれだけ不条理に直面してるか体感させてるのよ。」

佐江には話が通じなかった。

それから反抗した女性社員は他の女性社員から無視された。

「青木さん、ご飯食べよう。」

「今日は山本さんとの約束あるから。」

わざと省いたり。

「鈴木さんって、男とばっか話しててモテるのために会社来てるのかしら?30代にもなってそんなことしてるなんて恥ずかしいわ。」

「まさに尻軽女よね。」

「こういうのがいるから女性差別は無くならないのよね。男に媚びうる女なんてろくなのいないし、男って必ずそういう女をかばうよね。」

たてつく女性社員は佐江や複数いる取り巻きに根も葉もない噂を流されて、立場がなくなった。何人か仕事を辞めたり、家にひきこもる社員まで出た。

他にインターネット上やタイムラインとかでも彼女は男性嫌悪をたれ流した。

「男って育児絶対しないから、一人でいたほうが楽。この時代で少子化なのは男の意識が低いからなのよ。」

ネットで何もしてない人を男性差別や男女平等をうたって攻撃をした。タイムラインで流れてくる投稿で、自分と考えの合わない投稿にひたすら攻撃的になって返信をした。こういう人間は相手が相手にしなければ自分が勝ちだと思っている。

「女性は男性より給料が低いわ。だからレディースデイはあって当然なのよ!送信!」

自らの投稿でも過激なことをたくさん書いたりした。例えば露出の多い女性に対して女性差別を助長してると思いかなり攻撃的になったり、男性は生理がないからもっと痛い目にあわせるべきだとか、男女で給料が違うからレディースをいっぱい増やせなど数えればキリがないくらい過激な投稿をした。彼女は誰かに何も被害を加えてない男性に対してまでとにかく苦しい思いをすれば良いと考えていた。誰かが対話をお願いしても、少しでも考えが合わなければ拒否したり、排除したりした。ネットでも現実社会でも。


山本佐江の記録がまとめられたビデオは終わる。

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