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新感覚脱出ゲーム  作者: ピタピタ子
12/32

生物神経衰弱

「あんた社宅でも威張り散らしてたのね。」

雪田マリが入江美奈子に言った。

「でも今のあんたには金をくれる旦那なんていない。金やブランド品が無ければあんたはただの無能ね。それにそんな食事でよくセレブ面出来るよね。何度も言うけど、私はあんたようなお飾りとは違うのよ。」

独身女性と既婚女性の嫉妬だ。どんなにステータスがあってもコンプレックスを抱いては嫉妬による攻撃は止められない。

「そんなご飯で威張ってられるのかしら?言っておくけどあんたの食べてるご飯、肌が汚くなるものばかりね。まずは出てるもののほとんどがグルテンの多いものと揚げ物よ。カリウムなどが入ったフルーツや腸内環境を整える発酵食品がないわね。自慢しても良いけど、後々あんたの体型に響くわ。」

マリは立ち上がって、美奈子をビンタした。

「時任さん、船崎さん、有吉さん。入江さんをやっつけて。」

「勝負するなら1対1で勝負したら?出来ないんでしょ?普段は出来る女アピールしてるけど、本当は何も出来ない行き遅れの独身なのね。仕事出来るのも嘘だったりして。私を殴りたければ殴れば。あんたに従っている子分以外はあんたと距離をとるわ。それでも良いなら殴れば?ほら、殴りなよ。」

美奈子はまた3人に殴られた。殴られた後、誰も美奈子に声をかけなかった。あのビデオを見た後は態度が変わる。皆、自分の罪を無かったことにしようと必死なのだ。


あれから5日後、ゲームは再開する。

「待たせたな。クズども。これから新しいゲームをやってもらう。」

ケイジは突然画面から消えた。

「え?」

「何が起きたの?」

プレイヤー達は動揺する。それから1時間後ケイジが画面に出てくる。

「待たせたな。クズども。」

「は?あんたどんだけ待たせるのよ!」

「そう怒るな。どうやらカルシウムが足りてないようだな。」

「当たり前じゃない。まともな食事を取ってないんだから。」

山本佐江と美奈子が言い返す。

「だけど不思議だよな。普段から良い食事をしてるのに救われない性格のやつがいるなんて。食事は人を救うこともあるけど、お前らのようなクズ人間を救うことが出来ないのがよく分かったよ。」

ケイジは全員に冷たい言葉を送る。そう言う所だけはケイジの平等さだ。

「次のゲームは生物神経衰弱だ!」

「またとんでもないゲームなんじゃないかしら?」

木村知世が言った。

「落ち着け。ルールは簡単だから。」

「ゲームマスター、ルールがいつもざっくりなのよ。」

「これから移動する所は200部屋が立ち並ぶ長い廊下だ。各部屋に1匹ずつ動物や植物などがいる。各動物につき2匹ずつ同じ動物がいる。同じ動物を見つけたら、どちらかの部屋に移動させ、2匹集合させろ。2匹集合させたら、扉は2つとも消える。いたって簡単なゲームだ。さっそく部屋に移動してもらう。」

彼女達はケイジの特殊な機械の操作で彼女達は一瞬にして移動した。

「1セットずつ2人のプレイヤーでプレイしてもらう。1セットにあたり制限時間は10分だ。ゲームスタートだ。」

プレイヤー達は作戦会議をした。

「あんたが行きなさいよ。」

佐伯舞華が美奈子に行かせる。美奈子がマリを呼ぶ。

「嫌よ。酷い目に合うなら雪田さんがお似合いね。」

「今の私に何を言おうと無駄よ。3人の下僕がいるんだから。それなら時任さん行きなさい。」

もう一人は話し合いにより美奈子が行くことになった。

「1セット目スタート!」

ケイジの合図で1セット目がはじまる。

「キャー!虎よ!」

すぐさま、扉を閉めた。

「何で虎が?まさか危険生物まで混ざってるの?最悪なんですけど。」

「とりあえず安全な動物を探すしかないわね。」

千華江と美奈子は、色んな部屋の扉を開けた。

「リス見つけた!ヤバイ、リスがどこにいるか忘れた。」

「何やってるの!良いこと考えたわ。ウサギちゃんのいる部屋には青ペンね。時任さん、ウサギのいる部屋覚えてる?」

「確かこの辺だったような。」

しばらく探してるとウサギを見つけた。

「ここだ。」

「あんたでも役に立つのね。」

「少しくらいお礼を言いなさいよ。」

「そう。一応ありがとう。それより、青ペンで線を引いたからその部屋にウサギがいるわ!」

「あれ?本当に線を引いたの?」

美奈子と千華江も空間把握能力があまりなかった。

「線が消えたってこと?」

1セット目の終了のベルが鳴った。

「1セット目終了。今すぐ控室に戻れ。」

ケイジに言われるがまま控室に戻った。

「ゲームマスター!どういうこと?私の引いた線が消えたのよ。」

「この廊下は特殊な廊下で、書いたものは全て消えるように1分以内に出来てる。そんな目印なんて無意味も同然だろ。」

ケイジの考えたゲームは一筋縄ではいかない。美奈子が無気力になった。

「どうやら落ち込んでるようだね。次のセットは20分後だ。」

「そんなに待つの?これじゃあ、ゲーム終わるのにかなりの時間がかかるじゃん。あとゲームはこのゲーム含めて6つあるのに。少しはそこのとこも配慮しなさいよ。」 

知世が抗議する。

「無駄よ。」

恵梨香が止めに入った。

「お前らがどれだけ時間をかけてゲームをしようが、お前らが世間にいない時間が長ければ長いほど救われる人間は多いけどな。お前らはようは必要されるような人間じゃないってこと。必要とされてるなら表面的なことだけだろ。人間って、言うほど聖人がいないから、お前らのことなんて頭の片隅から忘れかけてる人も多いだろうな。ある意味お前らの存在が世間にないことが社会貢献だから、人生で初めて人の為になることが出来たな。ゲームマスターが褒めてやろう。」

プレイヤーは全員汚い水を浴びた。

「何よこれ?どういうつもり?」

「何かって?水だよ。」

ケイジはプレイヤーを煽る。

「そう言うことじゃないわよ!」

「お前らにお似合いなプレゼントだ。2セット目まで待つんだな。」

次は誰がプレイするか話し合った。

「虎に会うなんてもう無理よ。私はパス。」

美奈子は拒否した。

「虎とかいるの?危険生物移動させるなんて無理よ。」

舞華も拒否した。

「それなら有吉さん、あんた適任よね。断ったらどんな罰が待ってるか分かってる?下手したら死んじゃうかもね。娘や自慢の旦那とも一生会えないかも。」

マリは加世をおどす。

「それともう一人は船崎さん…」

「ちょっと待って、2セット目、私に行かせて!」

恵梨香が挙手した。

「このゲーム、記憶力だけじゃなくて色んな能力が求められてるわ。ビビってるおばさんより私の方が適任ね。」

2セット目がはじまる。

「2セット目開始!」

恵梨香は加世と走る。

「まずはがむしゃらに探しても駄目。いきなり危険生物は無理だから、2匹触れそうな生き物にして。」

「ハイビスカスよ!」

「そしたら他の動物も決めて。それと見つからなくても感情的にはならないで。無駄なエネルギーだから。」

恵梨香はどんどんしきる。二人とも運動が得意で足が速かった。しかし中々見つからない。

「もう1匹はウサギよ。」

「分かった。」

さっそく、加世がもう一つのハイビスカスの植木を見つけて、移動させた。ハイビスカスが2つそろうと扉ごと消えた。

「ウザキも見つけたわ。」

加世はかなり空間把握能力があった。飲食バイトの時も瞬時に調味料の位置を把握して、凄い速さで料理を作っていた。

「逃げるな!」

ウサギが凄いスピードで逃げる。

「任せて!」

恵梨香は足が速くて、すぐにウサギを捕まえた。

「おばさん、もう1匹ウサギがいる場所はどこ?」

「左側の5番目のドアよ。」

制限時間は20秒だった。

「その扉を開けて!」

恵梨香の足でも間に合うか怪しい所だ。

「ウソ!」

恵梨香は躓いた。

「え?」

恵梨香は瞬時にバク転して走った。

「間に合った。扉を閉めて!」

扉を閉めると扉が消えた。

「2セット目終了!すぐに控え室に戻るように。」

2セット目が終わった。

「ちょっと、まだ2つしか扉を消せてないの?あり得ないわ。本当に使えないわね。時任さんは何も報酬はないわ。有吉さんは役に立たなかったから少しだけしかご飯わけないわ。次は船崎さんよ。彼女達みたいになりたくなければ成果を出すことね。」

マリはひたすら怒鳴っていた。

「権力握ったから良い気になって。本当は権力でしか相手をコントロール出来ないんでしょ?雪田さんって、頭は良いのに、結構キレやすくて弱いだね。」

恵梨香がマリを馬鹿にした。

「権力だなんて言い方が悪いわ。私はどうせ使い物にならないような3人に役目を与えてるだけよ。あんたも男に色目を使うことしか能がないから無能同然ね。」

「それで次は誰にする?」

「船崎さんよ。」

もう一人は話し合いの結果で舞華が選ばれた。

「3セット目開始!」

残る部屋の数は196部屋だ。舞香と穂乃華は色んな部屋を開ける。

「蟻よ!」

「どこ?え!?今すぐ扉を閉めて!」

「何で?」

「早く!」

舞華に言われ、穂乃華はすぐに扉を閉めた。

「あんたと違って私、アメリカに住んでいたけど、あれはヒアリよ。刺されたら毒によって命を落とすこともあるわ。私が住んでたアメリカでは公園とかでよくいたのよ。」

「さりげ海外自慢してるじゃないの。」

「悔しければ海外行けば?それより他の動物探さなきゃ。」

「リスが見つからないわ。」

結局3セット目は一つも動物が見つからなかった。

「4セット目は私と山本さんで行くわ。」

次のゲームは知世と佐江が行くことになった。

「4セット目開始!」

「熊よ!」

佐江は扉を開けてすぐに閉めた。

「ゴキブリよ!もう無理よ。」

佐江は何も出来なくなった。

「ゴキブリごときで騒ぐんじゃないよ。それよりリスが見つからないわ。」 

佐江と知世はペアワークが悪く、すぐにゲームが終わった。それからゲームは10セットまで続いたが、それまで消せたのはたったの2部屋だけ。残りは194部屋だ。

「いつまでもこうしてられないわね。作戦会議よ。」

美奈子が作戦会議を切り出した。マリ、穂乃華、千華江、加世を除いて作戦会議をした。 

「皆、プレイ中に見かけた動物をここに書き出して!」

皆がいっきに書くのでまとめるのに時間がかかる。その間に舞華と千華江が11セット目をプレイした。11セット目が終わったタイミングで美奈子が上手くまとめた。

「まず哺乳類が30種類わね。昆虫が5匹、鳥が7匹、爬虫類が2匹、植物が2つね。そのうち、熊、ヒアリ、虎、ワシ、ホッキョクグマ、アライグマ、蛇、狼とサイが危険生物ね。」

「そんなに危険生物がいるの?怖い!」

「そんなの捕獲する道具が無ければ無理よ。」

「そうよ。」

「危険生物は後にした方が良いわね。どこに何がいるかまで教えて!」

「そんなの覚えてないよ。」

「ここの会議に空間把握能力がある人がいれば良いのに。」

「そうだ。恵梨香、覚えてるじゃないの?私達が記憶力が悪いおばさんというならそれくらい分かるよね。」

「誰もそんなこと言ってないですよ。被害妄想ですね。それはさておき、2つ覚えてるわ。1つ目は左側の奥から3番目の扉にガジュマルの植木があったわ。もう一つは右側の手前から7番目の所にメガネザルがいたわ。」

美奈子は恵梨香の言うことをまとめた。

「それより、マリ達何で話し合い参加しないの?」

「マリが自分の優位な状況に常に立ちたいからでしょ?このゲームが終わることなんてどうでも良いんだよ。」

12セット目のゲームがはじまる。

「12セット目、はじめ!」

恵梨香と美奈子がプレイヤーだ。2人は走る。

「メガネザル見つけた。凄い速さ!」

「任せて!」

恵梨香は一瞬にして捕まえる。2匹のメガネザルを一つの部屋に入れて、扉は消えた。

「他には何を見たの?」

「犬よ!」

美奈子は犬を移動させて、2匹同じ部屋にいれた。扉は消える。

それからもゲームは25セットまで続き、残りは175部屋になった。

「有吉さん、あんた空間把握能力あるんだからどこに何がいたか覚えてるでしょ?」

美奈子と舞華が加世に声をかける。

「雪田さんがいる前で下手なことしないで。あいつは皆が無様に焦ってる状況を楽しんでるのよ。ゲームマスターと同じ、エイターテインメントとしてね。食べ物で脅さた私に聞けば命が無いと思ったほうが良いわ。」

結局加世に聞き出せなかった。ゲームから2日が経っていた。

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