プロローグ
私は真面目でいるのが一番好きです。
何故かって言われると困るのだけど、強いて言うならわざわざ不真面目になる必要を感じないからでしょうか? 真面目にやっていれば他人は正当な評価をくれます。両親には褒められるし友達や先輩も信用してくれます。それは無駄に着飾ったり遊び歩いたりするより、よっぽど素敵なことだと思うんです。
だから私は毎日早起きして軽く運動、次に自分で弁当のおかずを詰めて、学校で勉強に励みながら友達と談笑をして、最後に帰りは図書館で予習復習、もしくは本を読みます。ちょっと変わってるって言われるけど。
だからその日、私は最後の過程として本を読んでいました。家で読むのも好きですけどやっぱり図書館の静謐な空気は心を落ち着かせてくれます。それに図書館に来る人は皆静かで良い人達ですから。
だけど……。
「ほらなんかほらこいつ、これ先から何か出そうじゃん! マヨネーズっぽいだろ、いやケチャップもありだよな!!」
「阿呆、どっちかと言うとホイップクリームやろ。そのほうが可愛いやん、アンタか弱い女の子相手にケチャップとかケンカ売ってるで?」
突然現れて本を読んでいた私に話しかけてきた二人組は……。
「ああ、あれだろショートケーキとかに乗ってるやつ。でもよー、ちょっと形が違うじゃん? 逆さだし。正確に表した方がむしろ敬意を表してる感マックスじゃねえか」
「あかんわこいつ、盛り付け前のホイップクリーム知らんて何歳児やねん。スーパー行かへんのか?」
私の髪型を見て突然騒ぎ出して……。
「おいおい、なんだその失望な顔は!? 世界を巡りゴッドオブスーパーの称号を得た俺の実力を知らんのか? もっとも俺、パンとか惣菜とかしか買いませんけど」
「いくらそれでもマヨネーズは無いわー、ていうかなんで世界中回ってんねんよそんなどうでも良い事で! なんか無駄に強そうな呼び名やし!!」
まるで私を漫才の一員みたいにして……。
ああ、せっかく途中まで読み進めた物語が、ここまで感情移入してきた人物たちが霧散していきます。頭の中で手足の生えたマヨネーズとホイップクリームさんが踊ってる。
何だか頭痛がします。
「入場者の方は、図書館では静かに! それがマナーです!!」
「うお、司書さんが怒った!?」
「あちゃー、やってもうた……」
何で私……こんな人たちに出会っちゃったんですか!?




