部長に惚れた俺は、オトす為に部長特化だけを鍛えました。
ふと目が覚める。真っ暗な世界の中でただ一人、しっぽりと突っ立っていた。ここは何処だろうと、不安を掻き消すように呟く。だが返事はない。此処にいるのがわからないだけならばまだしも、自分が誰なのかさえわからない。その事が更に自身を追い込んだ。恐れ、苦しさを紛らわす様に叫んだ。瞬間――――――
「さぁどうかな、これが私達の魔術って奴さ!気に入ってくれたかい?」
暖かい光が広がり、聞いたことのある声が耳に入ってきた。刹那、自分が誰だったか、何をしていたかを思い出す。呼吸が落ち着き初め、段々と楽になってくるのが自分でもわかった。
「生きた心地がしないですよ、これ。」
やっと発することができたのは、安堵からくる溜め息の様な漏声だった。
「魔術は自身を顕す鏡だからね、君の性格が歪みすぎなのさ。」
貶された。しかしその通りなので何も言い返せないのはなんとも歯痒い。
「そうかもしれないですけど、先輩はどうなんですか。俺まだ見せてもらっていないですよ。」
「ああ、そうだった。まだ魅せていなかったよ。」
何処にしまっていたのか、スカートの鼠径部辺りから謎のペンを取り出した。
「私の術式はとてもファンシーでキュートだからね、自己紹介にはもってこいなのさ。」
そういって宙に可愛らしい動物や文字を描く。すると、ポンッ、ポンッ、と描いていたモノが物になっていく。たちまち、部室いっぱいが華やかなテーマパークへと変貌した。
「...凄い」
最早そんな感想しか沸き上がらない程、その空間に入ってしまっていた。自分の術式が影だとするならば、この力はさながら――――
「虹...」
考えていた事が聞こえていたのか口から漏れてしまっていたのか、力の主はそう答えた。
虹の術式、千年に一度、神に選ばれた人間にのみ与えられる魔術。人の為に生き、人の為に死ぬことのできる人間にだけ与えられる。なるほど、神は自分程度には影がお似合いだと言いたいらしい。
「私が言ってもただの皮肉かもしれないけど、力を恨んではいけないよ。それは君自信だ、影だろうと光だろうとそれ以外だろうと、君の個性だ。それを愛せる様になれば、影も君を愛してくれるさ。」
確かに皮肉だ。だがそれを本当に皮肉で言ってしまう様な人なら、虹には選ばれない。この人は、心の底から自分を励ましてくれているのだ。今はそれだけで嬉しかった。
「俺、入部します。先輩に、色々教えて欲しいです。」
それだけが今の望みだった。ここに入って、この人を越える。
この人をオトす!そう決めた。
「いいとも!影の術者はまだこの部にはいないからね!歓迎するよ!」
影の術者がいないからという理由だけでもいい、今はここに入れただけで十分だ。
「それじゃあこの用紙に、学部と学年と名前、書いておいてね。あ、名前、言ってなかったね!私は狩野 美紀って言うんだ。これから宜しくね、新人くん。」
「明人です。黒嶋 明人」
「黒嶋くんか...。よろしくね、黒嶋君!」
これは、俺が世界最強の魔導師と言われる様になるまでの、狩野先輩との冒険録だ。
初めて書き始めたので少し、もといかなり酷い内容になっていたかもしれません。皆様と成長していきたいと思っておりますのでどうか、暖かい目で見守ってください。