魔法少女さき☆初恋リミットブレイク☆
全くあの魔法少女のチームはどうなってるんだ。隠れ家に逃げ込んだ四葉はソファに倒れこむ。
「カウンターズ屈指のラッキーボーイがお疲れとは珍しいね」
頭上から声がする。
「姉ちゃんからかわないでよ。僕の能力の事はよく知ってるだろ。」
「この街の魔法少女たちはどうだった。」
「かおりはすでに引退してた。ついでに、裏切り者の裂九羅もすでに引退済み。記憶もきれいさっぱりなくなってたよ。あいつらの魔法生物を食ってやろうと思っていたのに、おそらくミッキュ の腹の中さ」
杖をふるって脱ぐ。一気に疲れが
「ほのかはいきなり魔法ぶっ放してきたサイコ野郎だったよ。流石に焦ったけどね。記憶で探ってきたけど、頭ん中ファイヤーウォールでプロテクトかけてたから、大丈夫さ」
「・・・記憶を使われたのか?」
「あぁ、でも大丈・・・へ?」
四葉の目には、自分の腹に深々と突き刺さった杖が見えた。血が逆流してくる。
「ゴプっ」
口の中が血のにおいでむせかえった。
姉たちの顔を見ようとしたが、身体は一切動かすことはできなかった。
どさっアジトの天井から、魔法少女姿のソフィアが落ちてきた。腹を抑え、口からは血を流していた。
「ねずみはっけーん♪」
「いったい・・・なぜ」
「四葉の能力、ブラックラック」
「自分の不幸を他人に押し付ける能力さ」
口の中の血を吐き捨て、四葉がいった。
「僕にとっては、今のこのサスペンサーの姿のほうが魔法服でゴスロリの方が普段着なのさ」
「ちが、う」
息も絶え絶えにソフィアが声を絞り出す。
「なんで・・・あん・・・たが・・・」
「一、どうするこいつ」
四葉が話しかける。ソフィアを一瞥したが、特に興味も示さず、杖を取り出し、呪文を唱える。
「天秤バランス、治療キュア、複写コピー、変身メタモルフォーゼ、吸収ドレイン、鎖チェイン」
自身に杖を向ける。
「魔法少女喰い(マジックイーター)」
一の身体からオーラが漏れ出し、巨大な口を形作る。凶悪な禍々しい気を放ち、ぽっかりとあけられた空間は、底知れない混沌を思わせた。
「んっ〜〜〜〜!!!!」
鎖で縛られたソフィアは、身動きが取れず、ずるんと、そのまま喰われてしまった。もぐもぐと口を動かす。
「・・・所詮混ざり物か。若くはあったが、まだ青すぎた、酸味があるが、雑味でしかない。やはり、あの娘でないとな」
そう言うと、一は、再びアジトの奥に消えてった。
「・・・追跡トレース」
ほのかはさきの家を訪ねていた。
「ほのか。さきちゃん知らない?」
さきが学校に来ていないのだ。明るく活発なさきは交友関係が広く、 無断で何日もいなくなることはふだんのさきからは考えられない。
家の呼び鈴を鳴らしても誰も何も反応がない。
「・・・ミッキュ 」
「あぁ」
ミッキュ が魔力感知を行う。
「・・・この家の結界が崩されてる。魔力と霊力が混線してて、はっきり分からないが、」
「・・・行こう」
玄関を入って、奥へ進む。部屋の電気はついておらず、人の動く気配はしない。リビングに出ると、テーブルがあり、卓上カレンダーが置いてあった。カレンダーには、花丸が書いてあり、今日の日付に家族旅行。と書いてあった。
「家族・・・旅行・・・?」
「ほのか!!!」
強い衝撃とともに後方に引っ張られる。
天照天馬がほのかを後ろに引っ張ったのだ。
「え?天馬さ・・・」
天馬はほのかを引っ張った手とは逆の手で杖を握り、
「障壁バリア」
と魔法壁をはる。目に見えない衝撃が壁を殴りつける。魔法でできた氷の障壁は長くは持たずくだける。リビングの奥に何かいる。
天馬が杖を振るい、炎の魔弾を放ち応戦する。
「変し・・・」
「だめだ。君は監視されてる。それに僕が出てる間はミッキュ は眠ってる。変身はできない」
杖で術式を練り上げ、氷狼と炎の刀を召喚する。氷狼を前に杖と刀を交差して構える。そして驚きと不安の表情を浮かべるほのかに対して、優しく微笑んで言う。
「・・・ほのか安心して。君の先輩たちから受け継いだこの力で、必ず君を守り抜く」
魔炎をまとった刀と杖による魔法で攻撃をさばいていく。防ぎきれないものは、氷狼がカバーする。一分の隙もない。
そして、足を踏み込めば、そこから植物が伸び敵対者に攻撃を行う。これは森の主のミッキュ が本気の時に使う魔法「木ザ・ライフ」
魔法国の要人としてほのかたち魔法少女隊に守られていた時とは明らかに違う。
天馬の脳裏には、二人の魔法少女の姿がよぎる。
「しっしっし、いいか天照。私たちの記憶が消されるまでの間に私たちとミッキュ の魔法を叩き込む」
「あぁ頼む」
「しっしっしお・ね・が・い・し・ま・すだろ」
「すまない、お願いします」
「しっしっしこりゃあ傑作だ。長年の夢だった魔法国への仕返しがこんな感じで叶うとはな。魔法国の王子が私に頭を下げてら」
「悪趣味やで、かおり。天馬はん、ミッキュ はんが起きている間はわてらの魔力を食ろうてもらって、魔力を貯めておくさかい。あんはんが起きてる間は、かおりとさくらに鍛えてもらい。寝てる間はミッキュ に木の魔法教えてもらい」
「すみません、今回かおりちゃんは魔法を、私は体術と剣術を教えます。」
「はい」
あ、優しそう。
「しっしっし、あ、体術もそうだが、こと剣術に関してはきをつけろよ。さくらは剣にぎると性格かわるから。魔法少女99人斬りの実績がある化けものだから」
「だ、だ、大丈夫ですよ。死ぬ気でやってくれたら、殺しませんから。」
柔和な困り顔でとんでもないことをいう。だけど、ほのかたちを守るためなら、やってやる。地獄の訓練だろうが必ず乗り切ってやる。
「じゃあ時間もないし、まずは魔力を底上げするため、生命の危機に瀕してもらおう。上空10000メートルからのヒモなしバンジーを」
杖を振るうかおり。目が点になる天馬。
「おまえは潜在能力は高いんだ。なんとかしな。魔法はイメージだ」
地面が消え、風の音が耳をこする。わあ、お空まっさお
「あおああああおおああああああああ」
「修行のせいかみせちゃらああああ」
「て、天馬さん?!」
魔法少女になれない以上できることは限られている。いくつかの生活魔法、短距離の時空移動、しかも成功するかは五分五分。あとは魔人少女の名残の魔力感知。考えろ頭を回せ。
天馬さんはああは言ってるけど、まだ魔法を使い始めて日が浅そうだ。魔法にかける魔力量が多すぎる。あれじゃあ、すぐにバテてしまう。
対して相手は、大技こそ使ってこないが、水の魔法をバランスよく魔法、物理攻撃、斬撃などに変化させ、こちらの出方を見ている。天馬さんの多様な技を、一つの魔法で押さえこんでいるのだ。
そして徐々に対抗から、制圧にむけて、攻撃がシフトしていっていた。
おそらく石橋を叩いて渡る分析タイプ。こういう相手には時間をかけるべきではない。魔力感知でだいたいの場所はわかった。
「天馬さん。私が合図をしたらあのテーブルに弱めの氷の封印を」
「・・・わかった」
「3.2.1!!」
「封印術 氷河原」「時空移動ワープ」
「ぬわっ!」
足元を這う氷の封印術は、転送された青いライダースーツの女を捕まえた。だが、すぐに杖を振り水弾で氷を破壊された。対応が早い。
「誰だおまえら」
片耳に勾玉のイヤリングをつけたライダースーツの女がこちらに杖を向けていた
「うちは貧乏神社だ!泥棒よ!うちに取るものなんてないぞ!」
ライダースーツの女はそういった。
「ま、まってください!私たちは泥棒じゃありません!てか、一般人だと思って魔法撃ってたんですか?」
「は?魔法?おまえ達魔法国関係者か?」
「はい。この町の魔法少女やっています。」
「僕は天照天馬、こちらは宮内ほのかです。杖を下ろしてもらえませんか。結界が崩れてて心配で中に入ったんです。」
天馬さんは武器をおろした。
「そうなのか?それはすまなかった。今のは霊力使った霊術だ。問題にはならん。なんで魔法少女がうちに?話を聞かせてくれ。」
「えっとその前にあなたは何者なんですか?なんでここに?」
「質問してるのはこっちなんだがな。私は竜崎 若葉。この家の長女で、元魔法少女兼、元龍の巫女だ。」
「じゃあさきちゃんのお姉ちゃん?!」
「ん?ああそうだ。なんでさきのこと知って」
「さきちゃんも魔法少女してるんです」
「は?」
「ということだッキュ」
「「なんでテメェが説明してんだよ!!」」
若葉さんと私の拳が柔らかなぬいぐるみをえぐる。
「さっきのイケメン出せコラ!」
「天馬さんは?天馬さん成分を補給させて」
床に打ち捨てられた妖精は血の涙を流していた。
「なんで!?ひどいッキュ!魔力を消耗した天馬の存在を消さないために交代したのに!ひどいッキュ」
「イケメンにまさるものなし!」
「若葉さんわかってますね。今度闇オークションやってんで行きましょ」
「正義の味方のセリフじゃないッキュ」
「あたしは正義の味方じゃねぇよ。今は家族の味方だ。てか、さきが誰にも連絡をしてないのは気になるな。魔法玉を見てみるか」
「魔法玉?」
「竜崎の家系は代々神職の家系だからな。事件やら神隠しやらに巻き込まれやすい。だから生きてるかどうかを知るため、魔法玉をつくる。死ねば割れる」
こぶしほどの玉が4つ並べてあった。ひとつを取り、空中になげる。
「ちょ」
玉は空中で止まり、激しく振動しながら回る。見れば、若葉さんが呪符を浮かべ、手で次々に印を結んでいく。最後にテーブルにあったペットボトルの水を玉にかける。水が空中を漂い、一つの形をつくる。
「ちっ」
さきの赤い魔法玉の上に水でできた巨大な蝶が現れ、そのストローのような口を玉に突き刺していた
「蝶野 一ちょうのはじめ。カウンターズの副隊長にして、実行部隊長。隊長である零番が現在所在不明だから、実質的なリーダーだ。カウンターズの選抜条件が、魔法の功績と魔法国への服従義務であり、見返りとして、金や魔道具の斡旋や様々な優遇措置が与えられる。癖の強い奴らをまとめる隊長と副隊長は別格の強さと権力をもつ」
そして、と一瞬迷っているようだが、切り出した。
「私の元カノだ。古代魔法少女の封印の件で弱っていた私を慰め、心の隙に漬け込み、金と魔法を奪っていきやがった。今度は元カノの妹に手を出すなんて、とんだクズやろうだ。」
机にこぶしをたたきつける。
「やっかいなのは、あいつは、幻覚の使い手で使い魔の蝶の鱗粉を媒介に術をつかう。さらに竜崎家が所持封印していた禁術を盗みだしている。特に対魔法少女用に作られた禁術は相手の容姿や技、知識なんかも会得してしまうんだ。龍喰らいと呼んでたが、今は魔法少女喰いと呼んでいるらしい」
「ほのか悪いが私は霊力しかない。霊力は魔力と違って魔法生物まじかるがいなくても使える反面、発動に時間がかかるし、場所を選ぶ。一をここまで誘導してくれないか」
「私も魔法はあまりつかえないんです。事情があって。」
「カウンターズの監視があるっきゅ。やつらの魔道具は魔力感知で見つからないっきゅ」
「あぁそれなら大丈夫だ。その魔道具私が持ってる」
ずるりと何もない空間から黒いローブを取り出した。
「私はカウンターズの元メンバーだ罠華八わかばとして、所属していた。結局古代魔法少女のゴタゴタで魔力の大半を失い、立場は追われたがな。」
あとは、と言い、杖と呪符を使い、霊術を展開する。目の前の景色が変わり、広い空間にでる。
「ようこそ私の道場へ。」
杖を振るうと壁が裏返り、武器や魔道具が壁一面に飾られていた」
「罠を仕掛けて、花のように命を散らす。カウンターズNo.8罠華八、龍咲若葉様の秘密基地にようこそ!さぁ奴らに一泡吹かせようじゃないの!!」
さきは夢見心地だった。
自分が今どこにいるのか。
自分が何をしているのか。
もうどうでもよかった。
蝶野さんがいてくれるだけでいい。
蝶野さんが私を私のまま受け入れてくれる。
魔法少女のことも、世界の平和のことも、家のことも、姉のことも、全部気にしなくていい。
蝶野さんがいてくれればそれで。
「あんたが蝶野一だな」
「おや?ここには結界がはってあったんだがな。」
柔和な表情を浮かべるが、優しさはなく、とても冷たい機械のような印象をうけた。
「さきちゃんを返して」
「さき?あぁこれか」
虚ろな目でその場にへたり座る彼女を踏みつけた。
「若葉の道場に入るための鍵となるかと思ったがな、おれのみはじかれてしまい全く役に立たない。せめて、血筋に期待して、古代魔法少女の力をいただこうと思ったが、」
さきを蹴りつける。
「あのクソババアの気配がしやがった。とんだまがいものだ」
「てめぇ」
「宮内ほのか。お前の記憶メモリーもいい魔法だよな。もっとも、燃費が悪すぎて役に立たないがな。腹が立つなら魔法を使ってみな」
ニヤッと笑う。
「もっとも、使った瞬間、カウンターズの権限で貴様も仲間の魔法少女も処刑対象だ」
「ああ、そうかい!!」
にやつく横顔を拳でぶん殴る。
「なら、霊力なら、問題ないよな」
「あ?」
「今日だけは、霊装少女ほのかだ!!」
フードを投げ捨てると、そこには巫女服姿のほのかがいた。
「この巫女服は霊力でできているつまりお前でも霊術が使えるようになる。使えば使うほどなくなっていくから早めに決着をするように。」
たしかにそんなことを言っていた。
「いやああああ」
丈が袖が消えていった。もはやノースリーブのミニスカート。
「なんだお前、おれに喰われたいのか?」
少しよろつきながらも立ち上がる。でもこれでさきちゃんに触れることができる。
「さきちゃん目を覚ませ!上級憑依アップロード」
若葉さんの魔法だ。あとは時間を稼ぐだけ。
「?はったりか」
蝶野はローブを纏う。
「魔弾バレット、追跡トレース、爆発ボム、強化ストロング、射程レンジ、命中ヒット」
魔法が掛け合わされていく。
「おれを殴ったことを後悔させてやるよ。なぶって、なぶって、なぶってやるぜ、蝶魔弾リミットブレイクブラッド」
魔弾の射出とともに回避を試みるが、間に合わず被弾する。霊装があるとはいえ、相当なダメージがある。護符にはかぎりがある。
「裸にひん剥いてやるぜ」
「やってみろ!」
さき
さき
さき
さき
さき
さき起きんかいっ
後頭部に衝撃が走った。
おっお姉ちゃん!?
お姉ちゃんどこいってたのよ。
私たち死ぬほど心配して
ごめんねさき。
ごめんって、まあ無事ならいいけど
蝶野とはどこで知り合った
あ、そうだ、蝶野さん!蝶野さんいい人なんだ。今度お姉ちゃんにも紹介するね。
てか、お姉ちゃんなんで蝶野さんを知ってるの
・・・さき姉妹揃ってやばいやつに恋するなんて、笑ってしまうわ。いや、私達が狙われただけか
コツンとおでこがあわさる
いいかい、さきにとってショックかもしれないけど、いまから蝶野の本当の姿を見せる。
は?何言っ・・・
頭の中に流れ込んでくるのは、蝶野と姉の出会い、甘い日々、うらぎり、カウンターズとしての悪行、魔法少女喰い、さき自身にしたことなど
いやああああああああ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!
嘘だ!!!!
さき これが真実だ
でも、だって、それじゃあ、若葉お姉ちゃんは
いいかさき。
お前にはお前を思ってくれる家族や仲間がいる。
失恋の一つや二つなんてことはない。
恋に破れて女は磨きがかかるんだ。
初恋が最悪だったなら、あとはアガるだけだ。
前を見ろ。塞ぎ込むな
限界を突破リミットブレイクしろ
お姉ちゃん、、、カッコいいようで、なんかダサい
うるさいわっ
ひとしきり笑ったあと
さき、
何お姉ちゃん
わたしはお前を愛してる。龍咲も魔法少女もわたしも気にするな。お前の人生だお前は自由に生きていいんだ
お姉ちゃんありがとう。
でも・・・わたしはほのかを助けたい。
私みたいな子を増やさないためにも私は私の意思で魔法少女を続けるよ。自分の中で限界がくるまで
そうか・・・
さき、たくましくなったな。
姉が私を抱きしめる
さき!さき!!私は!私は!!
うん、お姉ちゃん
だから一緒に戦おう
「憑依ダウンロード!!」
姉が自分の身体の中に入ってくるのを感じる。豪快で明るい姉、家の期待に押しつぶされてしまった姉、自分の知ってる姉、知らない姉、全てを受け止めた。姉の霊力、姉とともにあった古代魔法少女の魔力が流れ込んでくる。
「変身!」
「この世もあの世も私のもの世!初恋霊装リミットブレイク魔法少女さき!」
「う、さきちゃ・・・」
目覚めた先にはズタボロになったほのかがいた。そして蝶野も。
「はぁはぁ目が覚めてしまったか。手段は選べないな、魔法少女喰い(マジックイーター)!!」
ばくんとほのかが飲み込まれる。
「な!」
「はぁ、はぁ、記憶メモリーを手に入れた。はは、これでカウンターズからは脱退だな。だが、燃費は悪いが少しは魔力を回復できた。これでわざわざ回りくどい真似をして、龍神や霊装を得なくてもいい」
「お姉ちゃんいくよ!」
あぁ!
霊力をうち出す。
「はっ!馬鹿が。お前の得意魔法は憑依。しかも、憑依した古代魔法少女の意思に振り回されるレベル。ましてや呪法や霊法の拙い貴様には、カウンターズ行動隊長である私に傷をつけることは・・・」
蝶野の頬を切り裂き、雷撃が轟く。
「だから、私がいる」
「・・・ッ竜崎・・・罠華八ぁ!!!」
さきお前は蝶野に触れることを考えろ。道は私がつくる。
「霊具や霊装が無い状態で!!」
「霊具は霊との交信に必要なだけ、私達姉妹にそんなものは必要ない!」
触れるもの全てが意思を持って動き出す。
「魔弾バレット、命中ヒット、炸裂バースト、追跡トレース、魔剣ソード、斬撃スラッシュ、強化パワー・・・」
蝶野の魔力が歪む。何人の魔法少女が正義の名のもとに消されてきたのだろうか。
「ふふふふ!魔鱗粉ドラッグ、記憶メモリー!!!」
魔弾や魔剣の攻撃を交わした先には、姉の姿があった。優しくあたたかく微笑む姉。違う!これは若葉ではない。拳をつよく握り直す。
「私は姉ちゃんを超えていくんだあああああああ!!!うあああああああ」
「ダウンロードぉおおおおお!!!」
拳を打ち込むと自分の魂を蝶野の中に深く撃ち込んだ。同時に蝶野の中に眠る魔法少女達の魔力をつなげ自分の中に引っ張り出す
「アップロードぉおおおお!!!」
蝶野からほのかやソフィア、捕まっていた魔法少女達を引っ張りだす。
「ぐはばばはああああああええ」
長い断末魔の先、最後に残ったのは、薄汚れた老人だった。
「はぁ、はぁ、」
術式を組む。姉に教えてもらった最初の術。
コツは相手が死なないように調節を
我が姉ながら、なんちゅう術をはじめに教えてくれたのか。
「雷縛!」
「ぎゃああああああ」
姉の声はいつしか聞こえなくなっていた。
「俺は若葉に憧れていた。」
カウンターズの四葉がぶっきらぼうにさきに告げた。今から拘束された蝶野を魔法国に移送するのだ。
「これはお前のだ」
差し出されたのは、勾玉のイヤリングだった。
片耳につけてみる。
「・・・似合う?」
「・・・さあな」
さきはゆっくりイヤリングを外し、四葉に渡す。
「これはあなたが持っていて。お姉ちゃんは私の中にちゃんといる」
四葉は一瞬口を開きかけたが、黙って頷いた。
若葉お姉ちゃん私はもう大丈夫だよ!
(第2部魔法少女さき☆初恋リミットブレイク完)