扉 死神に取り憑かれた村
——流行り病、郊外の複数の村で謎の大流行——
——死神に憑りつかれた職人たちの村——
——我が国の伝統技術失われる。国は現存する作品・技術の保護を宣言——
はるか昔、とうに消え失せたはずのその病は強風と共に訪れた。その日の新聞は、突然現れたこの恐ろしい病に関する見出しで埋め尽くされた。
その翌日のことだ。各紙が今度は一斉に村の生存者がいたと報道したのは。村にいた人々は全て病に倒れた。しかし、各村から数名の子どもたちが、未来の職人たちの交流を目的とした夏のキャンプに出掛けていたことが判明したのだ。
村が病に襲われた日、キャンプの代表は風の魔法によって子どもたちの村で何が起きたのか首都の知人からすぐに連絡を受けた。彼はその後、子どもたちを急いで村とは正反対の方向、首都へと連れて行った。首都に着いた子ども達はすぐに役所で保護されることとなった。
一晩で家族・友人が全ていなくなった子どもたちに世間は大いに関心を寄せた。けれども、それも数日だけだった。子どもたちの村を襲った謎の病はその日以後姿を消してしまったのだ。そのため、世間の関心は日々流れる新たな刺激的な話題へと移って行った。
保護された子どもたちはというと、一週間後にはそれぞれの新たな親や引き取り手の許へと去って行った。