氷で閉ざされた遺跡、そこにある物は・・・
オレは凍っている遺跡にたどり着いた。この遺跡はまるで教会のようで奥まではっきりと見える教会の奥までに‘氷の塊が浮遊’している。
もしかしたらあの世界地図の壁画の点はここを指していたのかもしれない。ならここの奥にバルバトスの鎧があるかもしれない。
オレはそう思い、遺跡の中へと入っていった。この遺跡は全体が凍っている故に寒く、足元がつるつると滑る。
ユニコーンバックパックはジャンプを補助することはできてもホバー移動はできないため滑りながら進んで行くしかない。
オレは滑りながら奥へと進む。
進んでいる途中、‘浮遊する氷の塊’がオレのすぐそばまで来た。これがいったい何なのかわからない、オレは好奇心に駆られて調べるために慎重に近づく。
オレがある程度の距離に近づいたとき、浮遊する氷の塊は突如回転してこちらに突撃してくる!
オレはこれを避けてからすぐに斬りつける。浮遊する氷の岩はあっさりと一刀両断された。
結局、浮遊する氷の岩は何もわからずに終わった。わかったとはあっさりと一刀両断し消失する。
オレは消失した氷の塊を見て、
「これはいったい何なんだ?」
そうつぶやいた。
その後、突如、背後から衝撃を受け前へと倒る。
「ぐっ!いったい何が?」
すぐには立ち上がらず、攻撃を受けた方向へと体を向ける。
背後にいたのはさっきと同じ浮遊していた氷の塊であった。それも一体だけではなく。複数存在して、さらにいたるところから一体また一体と浮遊する氷の塊が‘生まれ’出てきている。
その内の一体がオレを攻撃したとみていいだろう。
オレは立ち上がり、氷の塊を迎え撃つ態勢を立て直そうとする。
しかし、氷に塊がそれを許さず、複数体がオレに対してた体当りを仕掛けてくる。オレはこれら全てを切り払う。全てあっさりと一刀両断される。
「この氷の塊は、ここの防衛機構か?」
なら氷の塊たちがオレを排除しようと攻撃してきているのか。なら今の状態は前には氷の塊たち、逃げても扉の先にはさっきのドラゴンだか亀なのかわからない魔物がいる可能性がある。
前進すれば氷の塊たち下がれば魔物、必ずどちらかと戦わなければならない。ならオレは求めるのもがある前を選ぼう。それが、たとえ終わりなき戦いだとしても求めるもの所まで突き進む!
「かかってきやがれ。お前ら全部、オレが一刀両断してやるよ!」
オレはビームサーベルを氷の塊たち対して振るう。一体また一体と切り捨て何度も何度も振るう。氷の塊たちが形成される瞬間だろうが問答無用で切りまくる。
何百、何千とどのくらい切り捨てたか分からないくらい過ぎてから氷の塊の形成される速さが遅くなるを感じ始めた。
魔族になったことで体力がどれくらいあるかわからないがただ突き進むのみ!
氷の塊を切り捨てながら奥まで進む。そこでここまで攻撃を仕掛けて来た氷の塊たちは一斉に砕け散った。
「本当にこいつらは何だったんだ?」
オレはここで戦闘態勢を解こうとしたが、突如、風が吹き始め風の中心部には氷の塊が生まれよとしていた。
その氷の塊はさっきまでオレを襲っていた氷の塊たちより大きくなってゆく。どんどん大きくなって氷の塊は人の形を成してゆく。その姿は氷でできた‘巨人’
氷の巨人が完全に形成された後、巨人の上から声が響いた。
「よくぞ、ここまで来た勇者よ!」
氷の巨人の顔の隣に氷の結晶が出現し砕け、破片が飛び散るが、結晶があった場所に集まり人の姿を形成する。蒼い髪と青の瞳を持ち、氷が人の形を成したかのような姿を持つ、一人の少女が現れた。
「我が眷属、アイス・スピリットたちを倒し、そこまでたどり着いた。だが、さっきので試練は終わりではない。この場所の最後の試練、この‘虚人’を倒し、勇者の力をこの私に証明せよ!」
この少女はいきなり現れたと思ったら巨人と戦えと言い出す。ここを調べるにしてもこいつが邪魔だ。とっとと片づけてバルバトスの鎧を探すとしよう!
「やってやるよ!相手が人型で巨人なら外の奴より戦いようがある!さぁ、こい!」
「よく言った!勇者よ!行け!勇者を叩き潰すのだ!」
氷の虚人は動き出し雄たけびを上げ、オレに攻撃を加えてくる。オレはそれを迎え撃つ。
虚人は拳を大きく振り上げてオレに勢いよく振り下ろす。オレはこれを避ける。しかし、その拳が地面を叩いたとき、衝撃波が発生し、その衝撃波にあおられ態勢を崩すも虚人が次の行動に移行する前に態勢を立て直し、虚人の足を切りつける。
結果はアイス・スピリット時と同じくビームの刃は簡単に入り切り傷を与えられるが、すぐに冷気が集まり元通りなってしまった。
「さっきのようにはいかんか」
「勇者の力はそんなものか?ならここで死ぬがよい!」
「まだ戦いは始まったばかりだ!そう簡単に死ねるか!一度や二度の攻防で決着がついたら面白くないだろうが!」
「吠えたな、勇者。なら汝、その力をもって最強を証明せよ!」
「いわれるまでもない!」
オレはビームサーベルに力を通して出力を上げ何度も切りつけて有効打になりそうな場所を探る。
虚人の攻撃はドンドンと増す、拳の振り下ろしだけではなく、パンチや蹴り、広範囲になる足払い、時には‘ボディプレス’を仕掛けてくる。
虚人がボディプレスした後は虚人の体が砕け破片になるが再び風が吹き出し最初に出現した場所に再び姿を現す。
「ハハハハ。そんなものか勇者!イフリートやシルフから聞いた話ではもっと強いと聞いてはいたが、この程度とは・・・・・・・、虚人よ!このアリスはどうやら期待していたほどの力はない!やってしまえ!」
あいつ、オレをアリスだと思っていたのか、つまりここは勇者アリスが目指す場所であって、バルバトスの鎧は関係ないかもしれない。
なら逃げるの一つの手だが、売り言葉に買い言葉で返した以上、もう引っ込みがつない。‘間違えでした’ではもうすまされない。この巨人を倒してオレの最強を証明するだけだ!
巨人の表面をどこを切っても弱点は分からない。もしかしたらこの虚人は人型状態でのダメージは意味が無いかもしれない。
それに彼女が言っていたっけ、‘目に見えていることが全てではない’と、そう考えるとあれは‘巨人’ではなく‘虚人’ということになる。そうなると、どこかに‘本体’がいるはずだがどこだ?
オレは周りを見回して本体がいそうな場所を探す。氷の少女に氷のつぶてを投げつけるが、
「我に喧嘩を挑むか、それに答えてもよいが、今の汝では我に挑むには無謀の極み、諦めろ!」
こいつはこんな感じだから違うか、ちっ、虚人が足を屈めた。また飛んでボディプレスを仕掛けてくるのか。威力と攻撃範囲はでかいが何度避けていると思っている無意味だと察しやがれ!
そういえばこの後、バラバラになって体を再構築されるときに不純物があったらどうなる?試してみるか!
虚人は飛び上がりボディプレスして反動でバラバラとなる。オレは直撃を避けて、その後に発生した衝撃波をこらえて、虚人の再構築される際、発生する風に乗り、再構築の不純物として体を滑り込ませようとする。
ここで少女が叫ぶ。
「やめろ!勇者!」
少女が初めて取り乱した。オレはこれは何かると思いそのまま風に乗り、虚人が再構築される中心部へと迫る。
中心部へと至ったとき、何かにぶつかった。最初は氷のつぶてと思っていたら、それは氷のつぶてでなく、よく見ないとわからないほど透き通った玉だった。
「なんだこれ?」
「それから離れろ!」
少女が丸い玉から離れるよう叫んでいる。この玉はもしかしたら虚人のコアとなっているものかもしれない。それならやることは決まっている。偶然とはいえ虚人の弱点を見つけたのならそこを徹底的につくそれだけだ。
「これがこいつの弱点と見た!」
「やめろぉ!」
「これでこの戦いは終わりだ!」
オレは玉をビームサーベルで切る。これまでと同じく玉はあっさりと一刀両断される。それと同時に風は収まりそれによって発生する冷気もなくなり再構築されかけていた虚人のパーツは地面に落ちて砕け散った。
「オレの勝ちだな。最後のいけなかったな。あれではあの丸い玉が弱点ですと教えているようなものだ」
「勇者よ、汝の力を認めよう。見事、虚人を倒した。我もあのような手段で倒すとは思いもよらなかった」
「そうか、一応、お前の言う通り力を証明できたと思うのだが」
「その通りだ。汝にこの‘勇気の玉’を授ける」
少女は下へと降りてきて、懐から玉を取り出しオレに渡そうとする。だが、この玉の本当の持ち主はオレではない勇者アリスだ。オレじゃない。だが、一応、ありがたくいただいてゆくとする。
「‘勇気の玉’ありがたく頂戴するとしよう」
「これをもって次の精霊のが住まう場所へと赴くがよい」
「ははー」
少女から勇気の玉を渡されところで突如、奥の壁が動き出し、隠し通路が現れる。隠し通路が現れたとき少女は不思議そうにしてつぶやいた。
「なぜ隠し通路が現れる?」
「もしかして、あの隠し通路の先に部屋があってバルバトスの鎧が安置されているのではないのか!」
オレは隠し通路へと進む。後ろで少女が何か叫んでいたが気にしない気にしない。
オレの予想通り隠し通路を進むと扉があり、扉を開けて中に入る。
部屋の中央に光の玉が存在しその周りを氷で固められていた。オレは氷を切り裂き光の玉に触れる。光の玉の光が増して光がオレを飲み込む。
そして、光が収まったとき目の前にあった光の玉はなくなっており、オレの鎧の形が変わっていた。
「追加装甲?いや、さっきにはなかった‘力’を感じる。まさか、ここにあった光の玉がバルバトスの・・・・・・・」
オレが完全に言い切る前に扉の近くに荒い息遣いをするさっきの少女がいた。少女は何か言いたげだった。
少女は息を整えてから口を開く。
「バルバトスの鎧は汝が装着していい物ではない!すぐに外すのだ!」
どうやら少女はオレにバルバトスの鎧を使わせたくないようだ。少女は返せと言っているが、だからといって素直に返すわけにはいかないな。これはオレが手に入れたものだ。それにもう一つの予言にもオレが使うことになっている。だから返すか!
「断る!」
「何!返せ!今すぐ返せ!それは汝が装着していい物ではない!」
「バルバトスの鎧はこの魔族フリージアが頂いてゆく。お前が無理にでも返せというのなら、オレはお前とただ、戦うだけだ!」
少女は考えるそぶりを見せ、少し考えた後、意を決するようにオレを見て、戦う構えを取る。
「汝がフリージアと名乗るのであれば、我、氷の大精霊セルシウスと戦い、もう一度、その力をもって最強を証明せよ」
「さっきのような戦いはしない。すぐに決着をつける!」
大地の息吹感じろ!星の鼓動に耳を貸せ!世界が定めた枠組みを超えろ!
「神気合一!」
オレは神気合一をした後、セルシウスとの距離を一気に詰める。セルシウスは頼光と違ってオレの速度に反応できず、神気合一をまとった斬撃を全てまともに食らった。
セルシウスはオレの斬撃によってバラバラになって消滅した。と思いきや、すぐさま冷気が集まり人の形を成し、セルシウスは復活した。
オレは戦闘態勢を継続させるが、セルシウスは戦闘態勢を解く
「汝の力は証明された。よってバルバトスの鎧をもっていくがいい」
あっさりとオレの力をセルシウスは認めてくれたようだ。オレはセルシウスの横を通り抜け出口へと向かう。
たぶんここを出たらすぐに湖であった奴がいるだろう。
しかし、あの時とは違いこちらにはバルバトスの鎧を手に入れて防御力が上がっているはずだ。さらにバルバトスの鎧を力を使えば、あいつが何を言っているのが分かるかもしれない。もしかしたら戦闘を回避できるかもしれない。そんな期待を胸にここから出ようとする。
バルバトスの鎧が安置されている場所に一人残っていたセルシウスは自分が切られた場所をなぞり、さっきの戦闘を思い返す。
「ああも、あっさり負けてしまうとは我もまだまだ弱い。それにしてもフリージアのあの‘力’、なぜ虚人戦で使わなかったのだ?あの力を使えばすぐに終わっただろうに・・・・・・・、まあいい、今考えても意味のないことだ。今度は負けないよう力をつけなければ」
そう言いセルシウスはその場を後にした。
フリージアはバルバトスの鎧を手に入れた。これで自作品の天使を狩る者の鎧より防御力がUP、特殊効果として動物などと会話が可能になった。
フリージアは氷の遺跡を飛び出し、湖で会った魔物と再会する。ここでバルバトスの鎧の力が発揮する。
現在の装備
武器:剣:ビームサーベル
頭:自作品の衝撃の兜
体:バルバトスの鎧
腕:自作品の命中のガントレット
足:自作品の命中のグリープ
背中:自作品の一角獣バックパック
その他:マント
現在の清姫の装備
武器:薙刀(応急処置)
頭:欠けた簪
体:傷んだ良家の着物
足:草履
頼光の装備
武器:短剣:ノーザンライト・リッパー
体:ヤマブキ特有の着物にところどころに鎧
足:草履