いざ!バルバトスの鎧を取りにツバキ雪山の中にあるアングレカム湖へ
清姫と頼光はフリージアを朽ちていない家の中へと運び。暖炉をつけて部屋を温かくしてフリージアを寝かせた。
清姫は改めて頼光に対して自己紹介をする。
「頼光様、改めて自己紹介をさせていただきます。私の名は桔梗清姫と申します。こちらがフリージア・エーデルワイス様です。これからは宜しくお願い致します」
頼光もそれに倣い清姫に自己紹介をする。
「なら拙者も自己紹介をしよう。拙者の名は浅木頼光と申す。こちらこそ世話になる」
清姫はこれからのことを頼光に話す。ツバキ雪山の中にあるアングレカム湖付近にバルバトスの鎧がある。ことも伝えた。
頼光は黙って聞いており清姫の話が終わり次第、口を開いた。
「拙者、何回かアングレカム湖へ足を運んだことがあるからわかるが、アングレカム湖付近にバルバトスの鎧が安置されているような場所には心当たりがない」
「ないのですか」
「ああ、見たことがない」
「後で彼女にお話を聞かねばなりませね。この話を持ってきたのは彼女なのですから」
「そうだな。目が覚めるのを待つか」
ここで清姫は頼光がなぜ仲間になったことを聞き出す。清姫自身、疑問に思った。頼光ほどの武士が負けたとはいえあっさりと仲間になった理由を知りたかった。
「頼光様はなぜ仲間になってくださったのですか?最初は私たちを殺そうとしていたのに、今ではこのように介抱までしてくださいます。あなた様の目的は何ですか?」
「拙者が仲間になった理由か、簡単な話、敗者は勝者に従うもの。深く考える必要もない簡単な答えだ。それでも理由が欲しいなら、彼女が持っていた光の剣とあの剣術が理由か」
「光の剣・・・、予言の勇者アリスが持つと言われている。勇者の証ともとれる剣・・・、確かになぜ?彼女は光の剣を持っていたのでしょう?」
「予言の勇者?なんだそれは?」
「頼光様はお知りならないのですか?」
「聞いた事が無い?教えてくれ」
「わかりました。お答えさせていただきます」
清姫は予言の石版の内容を頼光に話す。このことによりヤマブキにも予言の石版が存在しヤマブキの者も予言を信じている可能性が出て来た。
それに頼光がヤマブキにいたときはこの予言は伝わっていないようだ。いつ頼光がヤマブキを出ていったかは本人のみぞ知る。
「勇者か、彼女が予言の勇者なら普通に名乗ればいいのではないか?わざわざ偽名など名乗らずに?」
フリージアは勇者の証たる光の剣を持ちながらアリスとは名乗らず、フリージアと名乗った。二人はそこに疑問を覚える。
「確かに、このこともお目覚めになり次第お聞きしましょう。後は剣術ですか。頼光様は彼女の剣術に覚えがあるのですか?」
頼光はフリージアの剣術に覚えがあるもよう。
「ああ、拙者の見識が正しければ、彼女の剣には異界騎士団の者が使う剣術。異次元一灯流、光刃派の動きが彼女にあった。ということは彼女はもしかしたら拙者と同じ異世界を旅する者に出会って剣を教わったのかもしれぬ。なお拙者の流派は彼女と同じ流派の別の一派、鋼刃派だ」
「異次元一灯流、光刃派と鋼刃派?そのような流派、聞いたことがありません」
「この流派は異世界を旅する者たちがよく所属している異界騎士団で教えられている流派だという。拙者の鋼刃派は主に男が習い。光刃派は女が習う」
「して、違いは何でございましょう?」
「違いはな」
頼光は自分の知る限りのことを清姫に話す。
鋼刃派と光刃派の違い。まず扱う得物違う。鋼刃派は実体剣、光刃派は非実体剣を扱う。
次に手数の違いがある。すべて一撃のもと相手を倒せ。これが鋼刃派、手数で相手を圧倒せよ。これが光刃派である。
なお、異次元一灯流の鋼刃派と光刃派は剣術の一派で他にもいろんな一派が存在する。
頼光は主なのは鋼刃派だが一部光刃派の動きもでき、他の一派の動きもできる。
「ということは薙刀を使う一派もいらっしゃるのですか?」
「槍の一派に薙刀を使う。一派があるらしいとしか聞いたことある程度だが、拙者は扱えない」
「そうですか・・・」
清姫はしょんぼりする。後は本人に聞かないとわからないのでこの話はここで終了となった。
二人は得物の話をしてあること思い出した。二人の得物は先の戦闘で壊れて使い物ならないのだ。
清姫の薙刀は刀身は無事で柄がバラバラだ。
頼光の滅鬼丸はフリージアのビームサーベルで刀身を一刀両断されている。
二人は代替えの武器を探さなければならない。
清姫の方は応急処置として農具の鍬の柄を転用すれば何とかなるが頼光はそうはいかない。
「ここには鍛冶屋の跡地がある。そこを漁って武器を見つけるしかない」
「それしかありませんわね」
フリージアが目覚め次第、話を聞いてから鍛冶屋に漁りにいって武器を調達、それからアングレカム湖へ向かうことにした。
そして、フリージアが唸り声を上げてから目覚めた。
あれ?オレはそうか神気合一の反動で倒れたのか無事を伝える意味を込めて起き上がるか。
「お目覚めになられたようですわね。お体の具合は大丈夫でございましょうか?」
清姫はオレのこと心配してくれて、体を起こすのを手だしてくれた。
「ありがとう」
「どういたしまして、私たちは少しあなたに聞きたいことがありますのよ」
清姫たちが聞きたいこと、とはやはりビームサーベルのことだろうか。
オレはそう思い清姫たちにビームサーベルの入手経緯などを話す。狭間での出来事やビームサーベルを渡してくれた彼女のこと。現在の名前の理由も話した。
「そうか。その者が異世界を旅する者、異界騎士団の人間で間違いないだろう。光刃派に所属する者は認めた者に非実体剣を渡すという風習があったはずだ」
「そんな風習が?では頼光様もお受け取りをされたのでしょうか?」
「いや拙者は鋼刃派故に頂いてはいない。拙者が頂いたのは滅鬼丸を頂いたのだ」
光刃派?鋼刃派?頼光はいったい何を言っているんだ?それに彼女は異世界を旅する者であることは知っているが、異界騎士団ってなんだ?
それに光刃派はビームサーベルを渡すのが風習で、鋼刃派は滅鬼丸みたいなものを渡すのが風習なのか。
それにしても頼光はいろんなことを知っているな。亀の甲より年の劫、オレの知らないことだらけだ。
「それにしてもお二人さん、なんでオレの知らないことを知ってるの?」
「全てはあなたが眠っておる間、頼光様からお聞きしました」
「頼光、彼女のこと何か知っているのか」
「彼女ことは推測しかできない。それでもというのならお答えするが、よろしいか」
「ああ」
頼光は彼女が異界騎士団に所属する。異世界を旅する者であることを推測した。
彼女の剣術はオレの話と戦い方から彼女の流派は異次元一灯流の使い手らしい。オレが体を動かすついでに彼女はオレに異次元一灯流、光刃派の動きを教え込ませたと推測した。
光刃派は最後に認めた相手に非実体剣を渡すのでが風習で風習に従いビームサーベルを渡したと推測された。
「彼女から特訓を受けたけど、まさか、流派の特訓メニューだったとは思いもしなかったな。それに彼女は何も言ってくれなかったから異界騎士団なんて言われてもオレには分からないし」
「本当におぬしは何も聞かされていないようだな。なら、次に今後のことを話そう。バルバトスの鎧があると思われる。アングレカム湖だが、実は拙者は何度も行ったことがあって、安置されているような場所はどこにもなかったぞ。おぬしは何か心当たりがあるのか?」
安置されているような場所がないでもあそこの世界地図では湖周辺を指していたはず湖周辺に遺跡とかが無ければ湖の底はどうだ。スノーポールは一年の半分が雪で閉ざされる冬の国、アングレカム湖は標高が高い位置にあるから夏にでもならない限り湖の氷は解けないだろうがこちらにはビームサーベルという高熱を発生させるものがあるそれで湖の表面の氷を切って湖の底を調べてみよう。
「心当たりならある。ここに来る前、アネモネ島のボロボロの教会の地下に伝説の宇宙の武具の安置場所を示すような世界地図の壁画があった。壁画にはありかを示す赤い点があり、点はアングレカム湖を付近を指していた」
「それが本当なら認めよう。だが、何度も拙者は足を運んでいるのだ。あの周辺には安置されているような場所なかった」
「これはオレの予測なんだがアングレカム湖の底に安置されているような場所に続く何かがあるのではないか。頼光は湖の底に行ったことは?」
「ない。しかし、今の時期だとアングレカム湖の表面は凍って・・・、なるほどビームサーベルか、あれで表面の氷を切り裂いて湖のそこへと向かうのか。なら最初は誰が突入する」
「言いだしっぺのオレが行く。それにまた表面が凍ってもまた切り裂けばいい話だ」
「わかった。では夜が明け次第、アングレカム湖へ向かうとしよう。こちらも武器の調達しなければならない」
頼光の最後の言葉にオレはただ笑うしかなかった。オレも先の戦いで至る所に切り裂かれた跡だらけだ。一応、自己修復システムがあるにしても過信は禁物か、完全に壊れなかっただけましとするか。
それにしても頼光の滅鬼丸の代替品かノーザンライト・リッパーでも貸すか。あいつ多芸そうだし。
オレたちはこの廃村から出ないで各々で夜を過ごした。オレは廃村にある教会に足を運び。神の像があるか確認する。
この廃村にある神の像は回収されていなかった。何故かこの神の像も目が光っている。
オレは像を調べようとしてまた触れる。そして、神の像は光り出して、光が俺を飲み込む。
またもやあの空間、前との違いは今度は自分の意志で動けることと神の像が後ろにあるものを含めて三つあることである。
オレは全ての神の像に見覚えがあった。
すぐそばの神の像はさっきの廃村にあった神の像、別のところにあるもう一つの神の像はアネモネ島にあったもの、最後のがウィンタースウィット村の神の像だった。
オレはすぐそばの神の像に近づき、神の像が光さして元いた場所へ戻ってきた。
バルバトスの鎧を手にれてからはここを通って一度アネモネ島へ戻ろう。そして、これを利用して仲間となる魔族をアネモネ島へと連れてこよう。
オレは教会を後にしてから清姫の薙刀の応急処置を手伝い、頼光の武器の調達の手伝いをしたりした。特に時間がかかったのは頼光の武器である。頼光の技量についていけないものばかりで頼光が武器を振った瞬間武器が壊れるということが続発した。ここでオレは頼光にノーザンライト・リッパーを貸すことも伝えた。
頼光は申し訳なさそうにオレのノーザンライト・リッパーを借りることにした。
それからオレたちはさっきの部屋に戻り隊列について考え合う。
ここに居る全員は前衛だらけバランスを考えると誰か後方で術やまほうで援護に回し方がいい。
「二人は術とか使える?オレは空間系と無属性の魔法しか使えない」
「拙者は触媒となる札が無ければ術は使えん。清姫殿はどうだ」
「私は竜人になったおかげか水と木の術が触媒無しで出来ます。傷を治したり、浄化をすることが主で攻撃には転用できません。あと口から火を噴くぐらいでしょうか」
まとめると頼光は札が無ければ術の行使ができないということ、
清姫は攻撃できるのは口から火を噴くこと、
オレの空間魔法は収納ぐらいしか役に立たないし無属性魔法は魔力を触媒に乗せることによって強化するぐらいしか役に立たない。
一応、遠距離ができるのは清姫ぐらいである。オレも弓矢があれば遠距離戦ができるのだが、あいにくここには弓は作り出せても矢があまり確保できない。
「こうなると傷を手当てできる清姫を前衛に置くのはだめだな」
「そうだな。清姫殿は拙者らの後ろで援護でよろしいか」
「実は接近戦は苦手ですから助かります」
「これで隊列は決まりだ。オレと頼光が前衛、清姫が後衛、これでいいな」
「問題ないな」
「承知いたしました」
「今日の疲れを取るためにもう寝よう。明日は山登りと湖でやることがあるのだから、じゃあ、お先に寝かせてもう。お休み」
オレは二人にそう言い眠り始める。
本当に今日は朝からいろんなことがあったアネモネ島からウィンタースウィット村に飛ばされ、そこで一悶着があり、逃げて清姫を狙うやつらと交戦して、廃村で最強と呼ばれ伝説として謳われている頼光との出会い。本当に今日はいろんなことがあった。明日は早い眠ろう。
二人もオレに倣い眠りにつき。そして、夜が明けて朝が来る。オレたちは廃村を後にしてツバキ雪山の中にあるアングレカム湖へと向かって行った。
フリージア一行はアングレカム湖へと向かい、
湖に穴をあけようとする。
無事に開けることが成功して湖の底一体何があるのか!?
推測通りバルバトスの鎧が安置されているような場所は本当にあるのか
現在の装備
武器:剣:ビームサーベル
頭:自作品の衝撃の兜
体:自作品の天使を狩る者の鎧
腕:自作品の命中のガントレット
足:自作品の命中のグリープ
背中:自作品の一角獣バックパック
その他:マント
現在の清姫の装備
武器:薙刀(応急処置)
頭:欠けた簪
体:傷んだ良家の着物
足:草履
頼光の装備
武器:短剣:ノーザンライト・リッパー
体:ヤマブキ特有の着物にところどころに鎧
足:草履