真なる勇者、ここに帰還する
私がいつの間にか気を失い、目覚めたところはベッドの上でした。
すぐさまここがどこなのかと傍の窓の外を見ました。
窓の外は私が初めて見る世界が広がっていました。
周りにはたくさんのねじれた木々があり、木々すべてが天高くどこまでも続いています。
空はとても白くどこまでも吸い込まれそうで、いつまでも見ていたかった。
「そんな風に空を見上げていたら死ぬぞ」
「え!?」
一人の女性がこの部屋に入って来ました。いったいこの人は誰でしょう?
「驚かしてすまねぇな。だが、今のお前があのままこの空を見続けたら魂が抜けて死んじまうぞ」
「あの誰でしょうか?」
「オレか?オレはお前を助けた奴だよ」
「助け?」
今思えば、私は気を失う前までボロボロの教会にいたはず、なのにいつの間にか私が知らない場所にいた。
つまり私は教会で気を失い、この人がそれを発見してここに連れて来たということですか。でもおかしいアネモネ島にこんな場所があるなんて聞いたことがありません。それにこんな空は初めて見ます。やはりここ一体どこでしょう?
「だから空を見るな死にたいのか!」
「す、すみません・・・」
空を見上げたら死ぬそれはどういうことでしょう。さっき彼女は魂が抜けて死ぬと言っていました。それはいったいどういうことでしょう。
「なぜ空を見上げたら死ぬか疑問に思っているな。その疑問に答えるためにはまずここがどういうところか話さなければならない。お前もそこは聞きたいだろ」
私は首を縦に振り頷きました。
彼女はここがどこなのか教えてくれました。
ここは世界と世界の狭間で死んだ人の魂がここを通り別の世界で生を受けるために通る道とのことです。
ここに来れるものは、狭間まで干渉できる力を持ったものと、前者のものに連れられてここにくるものと、異界の門が開き、ここに飛ばされてくるもののどれかだそうです。なお彼女は連れられて初めて狭間に足を踏み入れたそうです。
自分の意志でここに来れるものは狭間に行くための過程で魂が抜ける耐性ができるためここに来た空を見て大丈夫のようです。
この症状が出るものは連れてこられたものか異界の門によってここに来たものは自分の意志でここに来たものたちと違い。過程をすべて飛ばしてしまうため耐性がありません。ゆえにここの空を見上げたら他の魂に連れられて肉体から魂が抜け出てしまうようです。
それにこれの話を聞く限り、私は後者のようです。
私は気を失っている間に異界の門が開き、それに飲み込まれて狭間へと落ちていった。そこをこの人に助けてもらったということでしょうか?私は気を失う前、近くに誰もいませんでしたから
「それにしてもお前結構、冷静だな。この話を聞いて取り乱す思っていたがどうやらかなりいい教育されていたようだ」
「お褒めに預かり光栄です。しかし、この教育も無意味なものなってしまいました」
「それはどういう事だ」
「私は国に見捨てられました。もう何も残っていません。今思うとこのまま空を見続けて死んでもいいかもしれません。もう私にはもう居場所はないのですから」
私はまた心が暗く落ち込んで行き、また白い空を見上げよとしました。ですが彼女がそれを許しません。私の顔を両手包み自分の方へと向けさせました。
「何があったかはオレには分からん。だが自暴自棄になっておいそれと命を手放すな」
「あなたに何が分かるというのですか!」
「わからんだからなぜそうなったのかを聞きたい」
彼女はただ真っ直ぐな目を向けて私の目を見てきました。なぜ彼女は私に関わろうとするのでしょう?彼女が私を助けたから自分の目の前で死なせ無い為でしょうか?
私は彼女を振り払おうにも彼女の方が力が強く振りほどけません。
私は諦めて彼女に私の身に何が起きたのかを聞かせました。彼女は私に話を終わるまで口をはさまず聞き続けました。
「お前は不祥事起こしてさらに勇者は別人だったから罪人として国から追放されたところか。それにしてもお前がいた国は変わっているな。罪人として処罰しときながらその罪人に土地をくれてやるってどういう王だよ。そこおかしいだろ」
彼女に言われて私はこの処罰はおかしいことに気づきました。処罰してアネモネ島に幽閉するならまだしもそれすらしようとしません。
アネモネ島は小さい入り江以外は断崖絶壁でまともに上陸することができない。
それに小さな入り江に入ろうにも隙間なく渦潮があり、渦潮が収まった時しか入ることができない。
自然と私をアネモネ島に閉じ込めることはできます。しかし、アネモネ島をこれから国の領地として認めないと陛下は言いました。
つまり、国はアネモネ島を捨てたということでいいのでしょうか。
「見方によってはアネモネ島をお前にくれてやったってこところか。だが何故だ?」
「分かりません。陛下には何か考えがあるのかもしれません」
「これは本人に直接聞くしかないか・・・、話は変わるが、お前少しは元気が出て来たようじゃないか」
彼女に言われるまで私は自分の状態がさっきよくなっているの気がつきました。彼女に身の上話をしたのがよかったのでしょうか。幾分気が楽になった気がします。今は自分から死のうとは思えなくなっています。
「あのありがとうございます。あなたに話を聞いてもらったおかげで幾分気分が楽になりました」
「それはよかった。せっかく助けたのに死なれたらオレの気分が悪い。元の世界へ戻るならオレに言えよ。異界の門を開いて送ってやる。今はここに居てもいいがオレは旅をしているからな。いつかはここを離れて旅立つ、それまでここに居るといい」
「重ね重ねありがとうございます」
私は頭を下げて彼女のご厚意に甘えることにしました。
あれから私は死のうと思うことはなくなりました。彼女の好意で魂が抜ける耐性のつけ方まで伝授してもらいました。
いつかはアネモネ島に戻って生活するために彼女が持っていたぱそこん?なるものを使いいろんなことを調べました。ぱそこんには私の知らないことがたくさん載っていました。それはまるで私が想像していた賢者の石のようでした。
時に体を動かすさいは彼女から剣を借りて彼女と組み手をしました。ですが何度やっても一度も勝てませんでした。これでも剣には自信があったのに全然かないませんでした。何度も繰り返し組み手をしている時、彼女の言葉が私の身に何か起こっていたことに知りました。
「流石は人間ならざる者といったところか、このオレに神気合一を使わせるなんてな、こいつも成長しいる証拠か、ならこいつも神気合一が使えるようになるか試したくなるな。あぁ、師匠たちや皆もこんな感じでいろんなやつらを拾っては武術を教えているのか?確かに誰かに期待するのと教えることは楽しい」
「あの、私が人間ならざる者ってどうい事ですか?」
「何?お前気づいていなかったのか、自分のことだぞ」
「気づいていません。私の身に何が起きたのでしょうか?」
「いや、オレに言われてもわからねよ。もし怪しいとしたらお前が城を出てアネモネ島に向かっている道中でおきた体調異常が原因ではないのか?、お前それで何度も倒れたんだったよな。なんか思い当たる病気とかないのか?」
「思い当たる病気など・・・・・・」
この時、すぐには私が罹った病気に思い当たりませんでした。よく思い出すとたった一つだけ心当たりがありました。確かにそれに罹った人は人間ではなくなってしまう病気がありました。
その名の病気は、
「魔族病・・・・・・、私はそれに罹ってしまったのでしょうか」
「魔族病?そんな病気がお前の世界にはあるのか」
「はい、この病気は人間だけではなく、生きとし生けるもの全てに罹る可能性があります。
人間は魔族に、動物は魔物へと変貌します。魔族病に罹った者は理性を無くして人を襲うようになります。中には理性を保ったままでいられる人かたもいらっしゃったようですが私は見たことがありません。
さらに、姿かたちも変わってしまう可能性があります。
この病気の感染方法はいまだに不明、治療法も見つかってはおりません。
もし街中で魔族になってしまった場合、その場で殺されるか、追放されるかの二択になります」
「とんでもない病気だな。ん?確か似たような病気をオレは知っているぞ」
「本当ですか!」
どうやら別の世界にも似たような症状をもつ病気があるみたいです。もしかしたら感染方法や治療法が同じかもしれません。
「ああ、たぶんお前が期待しているようなことはない。その世界での病気の発症する理由は心だ」
「心ですか」
「そうだ。心から穢れが発生して理性で止められなくなった時、お前が言った同じようなことが起きる。
これを見たとき世界にはこんなにも穢れているのだなと思ったぞ。この病気を治すにはある種族の穢れを浄化する力しかない。だがお前たちの世界ではいなさそうだな。それにこれは似たような病気だから感染方法や治療法も同じだとは限らんだが、参考になる程度に考えておけ」
「はい」
この病気は別の世界ならと思いましたが、とある種族の浄化の力が無ければ治せないのですか。ならこのままの状態で生きることを考えた方が建設的でしょう。何分、私は姿が人間のままなのですから。
「さて、休憩はここまでだ。ガンガン戦おうぜ。そして、お前に神気合一の仕方をたたき込んでやるよ。これが使えようになったら一種の切り札だ。ここぞというときに使えよ。そうでないと体力が持たねえと思うからな!」
彼女との組み手を再開させて体を動かしました。この時から彼女は私に神気合一という技を習得させようと特訓メニューを考えるようになりました。
私は面白そうなので彼女が考えた特訓メニューを受けることにしました。
今思うと王子の婚約者時代とは違い、今の方が自由をとても感じられました。
今なら自分のしたいことが自分の意志ですることができる。その代りやったことに対しての責任は全て自分で取らなければなりませんがこれはこれで自分が今を生きている実感させてくれていました。
それからは彼女からの特訓を受けながら自分用の新たな武具を作りました。
特訓の合間に彼女から教えてもらってやったテレビゲームに出てくる妖精の名を持つ機動兵器のモーションがかっこよくマネしたいと思って。まず完成させたのが実体短剣二本でした。
短剣にはノーザンライト・リッパーと名付けました。
本当は刀身をビームにしたかったのですが、彼女からそこまで手を貸してやれないと言われたので断念しました。
その次に鎧など身を守る武具を作りました。
今度は武器を作る際参考にしたゲームとは違い作品としては同じ名前が入っていましたが、今度はカスタマイズアクションゲームです。その作品に登場する機体を元にして鎧など完成させました。
更にゲームで出てくるスキルをも完全再現してみました。これにより物理だろうがビームだろうが耐性はばっちりです。
それでも彼女と組み手しても簡単に破壊され、何と彼女も形は違いますが同じものを持っていたのでした。
彼女曰く、まだまだ作りが甘いらしい様です。それからは武具に慣れるためそれらを装備して特訓をし続けてついに私は神気合一をすることに成功したのでした。
私は神気合一状態になれるためずっとこの状態を維持し続けました。彼女からは止められましたが、無視して続けた結果、私はぶっ倒れて死にかける羽目になりました。
彼女から説教を受け、さらには私の髪と目に変化が起きていました。
髪は色が完全に抜け落ちて白髪になり、目は赤くなってしまったのです。
それからしばらくしてから彼女は旅を再開すること私に言いました。それによりこの生活に終わりを迎えました。
私は彼女と共にいた時間が楽しくてしょうがなかった。本当に楽しかった。この時間が終わるのが今の私には寂しく感じます。これらはすでに決定していたことこの思い出を胸にアネモネ島に戻って新たな生活をスタートさせましょう。
それからは立ち退く際の掃除をしてから、彼女は私を仮住まいから出して仮住まいをたたみ、異界の門が開きました。私はこれまでのお礼を彼女に言いました。
「これまでの生活は私にとって何もかもが初めてで楽しかったです。これからもずっと続いてほしいと思うほどに」
「それはありがたいが、オレは異世界を旅する者のだ。いつまでも同じところにとどまってはいられない。またいつか会えると信じて、お別れだ。一応、選別は用意しておいた。これをお前にやるよ」
私は彼女から筒状の物を受け取りました。
「まさかこれってビームサーベルなのでは・・・」
「お前の言う通り、ビームサーベルだ。さらにビーム発振器のクリスタルに破邪顕正の紋章を刻んである」
「ありがとうございます」
「さらに選別でお前に名前をやろう。これからのお前はフリージア・エーデルワイスだ」
「フリージア・エーデルワイス。この名前が私の新しい名前」
「お前がよくフリージアとエーデルワイスをよく見ていたからそう名付けた。この二種類の花は本来なら同時に咲くことはないが、狭間ではそんなの関係が無いように花が咲く。ってこんな説明はいらなかったか」
「少し狭間のことが分かりましたからそれでいいです」
「これから生きていくとしたらなめられないようにオレみたいな口調にした方がいい。これである程度、なめられなくなるはずだ。それじゃあな」
「ああ、いつかまた会おう」
彼女はオレの言葉にびっくりした表情を見せたが、その後、笑い出してオレが異界の門をくぐるのを見送ってくれた。
「いつかまたな・・・・・!、今思ったがフリージアにオレの名前名乗ってねぇー!」
フリージア・エーデルワイスは元の世界へと帰還したことにより予言の石版に書かれていたもう一つの予言の一部が現実の元なった。
もう一つの予言それは、
この世に闇が迫りし時、星降る夜に
異界の門が開き、光の剣を持ちて、真なる勇者現る。
その名はフリージア
その者は魔であり多くの同じ魔と呼ばれる者たちを従え、
伝説の宇宙の武具を身にまとい、
現れた闇を討ち、この世を救い平和をもたらすであろう。
もう一つの予言に書かれていた真なる勇者、フリージアの帰還である。
これからはフリージアの装備状況を書き込んでいきたいと思います。
現在の装備
武器:剣:ビームサーベル(これが予言に書かれている光の剣の正体)
短剣:ノーザンライト・リッパー
兜:自作品の衝撃の兜
鎧:自作品の天使を狩る者の鎧
腕:自作品の命中のガントレット
足:自作品の命中のグリープ
背中:自作品の一角獣バックパック
その他:マント