フリージア・エーデルワイスがまだ人間だったころ
あけましておめでとうございます。
新たな連載小説を始めました。
これからもよろしくお願いします。
世界に闇が迫りし時、
星降る夜に光の剣が勇者を選ぶ、その名はアリス
その者はある国王子の婚約者であり、
王子とその従者と共に、光の剣を用いて闇を払い、
世界を救うであろう。
私、アリス・コロンバインは星が特に輝く日に生まれ、予言の石版の元、親元から引き離され王子の婚約者として王城で育てられました。
指導してくれた先生たちは、
「これもすべては世界のため、国のため、王子のため」
と言い、私は虐待のような指導をうけて育ちました。
ミスをしたら先生たちに鞭で肌が裂けるほど叩かれたり、血反吐を吐いて倒れてもお構いなしに指導はされました。
指導の最中、ふと窓から外を覗くとそこに人たちがいて遊んでいるようでした。
外にいる人についてその時指導してくれていた先生に聞いてみました。
よそ見をしているんじゃありませんとすぐさま鞭で叩かれました。その後、先生は考えてから外で遊んでいる人のことを教えてくれました。
その人が私の婚約者であるこの国第一王子様でした。
王子様は楽しく笑ってメイドたちと戯れて遊んでいました。
その時、何故?と思いました。何故王子は楽しく笑って遊んでいられるのか。私と違いああも遊んでいられるのか。あの人は勉強や鍛錬をしないのか先生に聞かずにはいられませんでした。
「なぜ王子は遊んでいるの?私と同じで勉強や鍛錬はやらないのですか?」
「王子はあなたとは作りが違うのです。あなたが今、勉強しているところは王子はすでに終了なさっています。王子が鍛錬していないのではありません。
どうやら、勉強が早く終わり空いた時間使いあのように遊んでおられるのでしょう。だからあなたは王子様など気にせず今のやっている問題を終わらせなさい。
それとも私の鞭で叩かれたいのですか」
最後の先生の言葉に恐怖して私は勉強再開しました。
この時から私は王子を見るたびに胸がもやもやするのを感じるようになりました。
先生が言っていた王子の勉強や鍛錬のことは嘘であることを後に知りました。
それから月日が流れ私は9歳になり王子と初の顔合わせが行われようとしていました。
顔合わせの準備が整うまで先生に連れられて顔合わせする部屋の隣の部屋で待機することなりました。
既に部屋には先客がいらっしゃいました。
部屋にいらした方には見覚えがありました。
そのお方は宰相されているコロンバイン侯爵宰相閣下でした。
このお方はかなりやり手でいろんな改革案を発案しそれを成功させ、王と共により国を豊かにしようと頑張られているお方で私の目標であり、超えるべきお方。
今思うと何故、宰相閣下が私が待機する部屋にいらっしゃるのか分からない。わかるのはまるで値踏みするかのような目で私を見ていました。
私に対して何故、値踏みをするかはわかりませんが扉の前でただ立っていてはいけないのでレイズナー宰相閣下方に挨拶をしようと思いました。
「初めまして、コロンバイン侯爵様、私の名前は・・・」
頭を下げて私は名前を名乗ろうとしたとき、初めて私自身の名前を分からないことに気がつきました。
皆さまは私が名を名乗るをお待ちであった。しかし、私には自分自身の名前が分からない。
それに気づいた私はドンドンと焦りが募ってい行く。
頭を下げたままいつまでも名を名乗らないから宰相閣下は私に声をかけてくださいました。本来ならこのようなことをやってはいけないのに
「お前の名前は何だ。名乗れぬのか」
「私の名前は・・・、私の名前・・・・」
「よもや名前を知らないということはあるまいな」
宰相閣下の言葉に私は何も言い返せませんでした。
「まさかこのように育てられていたとは、教育ばかり先行しずぎて自分自身のことを何も知らないとは、このままでは恥をかくことがわからなんのか、もういい、どうやらお前は自分自身の名前が分からないようだ」
宰相閣下の言葉に私はただ恥を忍んでただ頷くばかりでした。
「なら私が知るお前のこと教えよう。まさか自分の娘がこのようことになっているとは誰が信じられてようか」
最後の言葉には私は驚かずにはいられませんでした。
それから私は宰相閣下いや父親から自分の家族のことを教えられました。
私はこの時初めて自分の名前と家族のことを知りました。私はコロンバイン侯爵家の生まれで父以外に母と兄と弟がいることが分かりました。
宰相閣下は私が生まれてからすぐに王城へ連れていかれたことを家族一同で憤慨していたこと語ってくれました。
ですが、宰相閣下の顔は憤慨しているように見えても目はとても憤慨しているようには見えませんでした。
その目は私に対して親子の情はなく政略の駒としてしか見ていませんでした。
それから呼ばれるまで宰相閣下と会話をして勉強させていただきました。
初の王子と顔合わせ、私は時々見かけていたので顔を知っていました。どうやら王子は私に事を知らなかったようでした。
王子はいつも通り整った顔に綺麗な金髪まさしく王族にふさわしい服を身にまとい、私と顔を合わせます。
そして、私が自己紹介しようと口を開こうとしたとき私に言葉はある人物によって遮られてしまいました。
「初めまして殿下私の名前はア「この女が私の婚約者だともっと美しいと思っていたのだがこの程度とは興ざめだ。私はお前に興味を無くした。よってどこにでも行くがいい。私は二度とお前と顔を合わせたくない!」
王子は私の言葉を遮り、誰もがあまりの出来事に放心状態になっていた私たちを置いて部屋から出て行ってしまった。
その後、陛下にひどく謝られて第一王子に説教すると言い部屋から出ていかれました。
結局、この顔合わせは意味があったのでしょかこれなら先生方から勉強を教えてもらった方がましでした。
それから王子と廊下ですれ違うたびに王城か出ていけと言われようになりました。
昔、王子を見るたびに胸がもやもやしたのは恋とかではなくたぶん嫌悪感だったのでしょう。
それから月日がたち15歳になった私は王子とともに政治に関わってくるようになりました。
私は王子の婚約者として王子の執務補佐をするように陛下から命令されました。王子本人は執務をやる気配が見えません。
王子は執務全てを私に押し付けてフラフラとどこかへと行ってしまいしばらくしたら戻ってきます。
王子が城に戻ってくるときは何かしら問題を起こして戻ってきます。そのたびに私が王子の尻拭いをする破目に陥ってます。
王子はよく国のお金で貢物を買っていることは商人からくる請求書で予測できました。
高価な宝石、ドレスを誰に送っているかわかりませんわかりたいとは思いません。ただ、国のお金で買えないようある細工させていただきました。
それから時が過ぎ、私は17歳となり多くのことをやってきました。すべては世界のため、国のために仕事と鍛錬を繰り返してきました。
王子のためには一切何もしませんでした。
ただ、王子に何もしないためか、最近、陛下たちの私を見る目が鋭くなっていきました。
まるで私が勇者ではなく間違って選んでしまった偽物なのではないのかと。
そんな日が続き。とある日の夜遅く、私は虫の知らせを聞いたような気がして予言の石板が安置されている部屋へと行き予言の石板を見ました。
予言の石板が安置されている部屋は王族または王が入ることを許したものしか入ることはできません。
私はまだ王子の婚約者である為、王族とは認識されません。さらに王から許可を経ていません。本来なら入ることできません。しかし、なぜかその日は私は部屋に入ることができました。
予言の石板を読んだ私は予言の内容に驚きを隠せませんでした。
この世に闇が迫りし時、星降る夜に、
○○○○が開き、光の剣を○○○、真なる勇者○○。
その名は○○○○○
その者は○○○○多くの○○○と呼ばれる者たちを従え、
伝説の○○○○○を身にまとい、
○○○闇を討ち、この世を救い平和をもたらすであろう。
今の予言には内容が変わっているだけでなくところどころ虫食いがあり読めなくなっていました。
これは由々しき事態でした。しかし、このことは誰にも言うことができませんでした。
誰かに言ってしまった場合、陛下に罰せられます。そうなれば陛下は必ず私をお払い箱にするでしょう。
世界のため、国のために頑張ってきたことが無意味なことになってしまう。
それが私にとってはひどく恐ろしい。
部屋を出る時、私は警戒すべきでした。
城内を巡回していた衛兵が予言の石板が安置されている部屋から私が出て来るところを見られていたのでした。
予言の石板のことは誰にも相談せず一月が過ぎました。
この日は国主催の夜会が開かれ国王自ら重大発表があると知らせがあり、国中の貴族たちがこの夜会に参加しました。
夜会が始まってからしばらくして陛下が壇上に立ち、重大発表が貴族たちの前で発表しました。
「皆の衆よくぞ。今宵の夜会に参加してくれたことを我はうれしく思う。これから皆の衆に対して重大なことを発表させてもらう。
つい先日、星降る夜があったのは皆の衆は知っていよう。この時、勇者が光の剣によって選定されたのだ!」
周りの人たちが私に対して祝辞を述べるが、私はそれに対して首を振ることしかできませんでした。
それに星降る夜はまだ先で星降る夜がきた話はこの一ヶ月以内に一度も聞いたことがありませんでした。
「そこにいる女は勇者として選ばれなかった。勇者として選ばれたのはこの者だ。前に出て勇者である証、光の剣を掲げよ。勇者アリス・ローレル!」
陛下に呼ばれ私と同い年ぐらい女性が剣をもって壇上に上がり陛下の隣へと立ち、鞘から剣を抜き放ち高く掲げるのでした。
「私はここに宣言させていただきます。私はこの光の剣を用いて王子様達共必ずやに世界に迫る闇をうち払いこの国に平和をもたらして見せましょう!」
ここに居る貴族たちは彼女を快く向か入れ、拍手を送りました。
「皆の衆、よくぞこの者に拍手をし快く迎え入れてくれた。余はうれしく思う。これまで我が国の第一王子、クロード・オリーブとコロンバイン侯爵家、アリス・コロンバインと婚約していた。しかし、アリス・コロンバインは勇者ではなかった。
よって、ここにクロード・オリーブとアリス・コロンバインとの婚約を破棄、その後、クロード・オリーブとアリス・ローレルの婚約をここに宣言する!」
陛下の宣言はこの夜会で一番の盛り上がりを見せました。この時の私はまるで他人事のように見ていました。
喧騒が少しずつ引くにつれて私は冷静になるにつれて一カ月前から感じ始めた恐怖が体を蝕み始めました。
周りは人が多いゆえに暑いはずなのに私の体はドンドンと体温が下がる感覚にとらわれて寒くてたまりませんでした。
私の身に起きたことはこれだけではありませんでした。
「罪人アリス・コロンバインよ。おぬしは一か月前、余の許しを無く予言の石板が安置されている部屋に入ったな」
この時の私は驚きを隠せませんでした。何者かに予言の石板が安置されている部屋から出るところを見られていたのです。
そして、私は腹の中から絞り出すように声を出して入ったことを告げました。
「は、入り、ました」
「そうか、なぜ入ったかは聞かん。もしこのことが無ければおぬしに王家の名の元、新たな婚約者を紹介することができた。しかし、罪を犯した以上、罪人として裁かねばならん!
おぬしはこれからガーベラ領のアネモネ島に行け!
次に勇者間違える可能性があるため二度とおぬしは名前を名乗ってはならぬ。
次におぬしはコロンバイン家より除名となる。
おぬしが島に着き次第、アネモネ島は我が国の領土とは認めない!このことは関係各所と各国にも通達済みである!では連れていけ!」
たった一度のミスが命取りとなりました。そのせいで地位も名もすべてを無くしてしまいました。残ったのは自分の身と知識だけでした。
私は衛兵たちに夜会の会場から連れて出されていようとしているときに王子の側近である兄と弟と教皇の息子と近衛騎士団長の長男と魔術師室長の次男が私たちの前に立って行く手を防ぎ、王子は声を張り上げて陛下に訴えかけていました。
「陛下!あの女の罪を考えればこのような処分はいささか物足りません。あの女は我が恋人にして勇者のアリスにしたことを知っているのですか!」
陛下は溜息を吐き、王子を見据えました。
「そのことか、余らだってバカではない。お前が言おうとしていることはすべてのことの裏はちゃんと取れておる。それにお前が何と言おうとこの決定は覆すことはない。諦めろ。そこにいる者たち、道を開けろ」
それから私は夜会の会場を後にして陛下が用意した馬車に乗せられ、ガーベラ領のアネモネ島へ移送されました。
移送中、私は自分の土台からすべてを無くなってしまったことにより、周りが怖くて、これからことが物凄く不安で泣きたいのにこれまでの教育から泣くことができなくて、そのたびに体の奥底から何かが軋む感覚とらわれて倒れてしまいました。これを何度も繰り返し、アネモネ島へいくための船に乗せられるときには私自身、頭も心も空っぽになってしまいました。
それから私はアネモネ島へ着いたとき浜辺に投げ捨てられました。それから次に気づいたときにはボロボロの教会にいて、神様の像に向かってこれまでことをただ懺悔していました。
それからいつの間にか気を失っていたのか気づいたところは・・・・・・・・・