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10万年物語  作者: モイ
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ないよそんなもん

地球と呼ばれた場所から49度東へ6億と1200光年彼方に辺境貴族達の子孫達が細々と生きる世界があった。

栄化を極めたのは650年前の事で、この銀河の半分を治めていた辺境貴族は名前をジョエルと名乗っていた。

ジョエルは大変頭のキレる男ではあったが、欲深い事で隣銀河まで噂話が絶えず、それをみかねた親族達が大きな反乱を起こした。

戦いは31年続き、ジョエルは戦場に倒れて彼の領地を巡って再び戦火は起こり、最終的には124年という長い年月をかけて終息した。

そしてジョエル家は500もの家系に分裂した後、ここ数百年は小競り合い程度の争いはあるものの緩やかに、平穏が続く銀河であった。


元貴族とあって多くは堕落した生活をおくり、肉体を何世代も受け継ぎながら無尽蔵の惰性を貪り続ける動物へと変わり果てた社会に一人の出来損ないの女性が生まれた。


名前はスティラ。

両親共々ジョエル家の末裔で模範的没落貴族である。

スティラはこの銀河内での時間で今しがた二十歳を迎えた。

ジョエル家の仕来りに従い、今日からスティラはただのスティラからスティラ・ジョエルと変わり、ジョエルの名を冠するのだ。

それはこの銀河社会の一員となるということばかりではなく、一つの惑星ないしは衛生を贈られ、自分で惑星を開発し、生計を立ててゆかなければいかない。


しかしスティラは能が無かった。

学んだ事も通った事もないジョエル銀河有数の大学の卒業証明書を親から受け取ったのは数日前。

さらに、それがなにを意味するかも知らない高度な資格を授与されたのは2週間前であった。


スティラ自身が経験した最後の学び舎は父親の治める惑星にある小国での高等学校にあたる場所であった。

実際に足を運んだわけでなくホログラフによる参加という形での受講となり、内容を理解できぬまま3年を無為に過ごした。

友人など一人も出来ず仕舞い、成績も下の下とあっては両親も見かねてしまい卒業したその日にスティラを惑星軌道上に造られた巨大要塞の一区に幽閉してしまった


親族という配慮の形で生活だけは贅沢を与えられたが、一度も外へ出ることを許されず、死ぬ事を考えたがその度に関係者が止めに入り全て未遂となった。


そして二十歳を迎える前日、スティラは久しぶりに両親と再会を果たす。

だが、父と母は見慣れた面影はなかった。

スティラがまだ共に暮らしていた時に覚えていた顔や身体とは随分と違い、母は無駄な贅肉の一切を絞りつくし、屈強な女戦士のような立派な筋肉をあちこちに備え付けていた。

父はというと、趣味なのか全身が爬虫類の鱗を思わせる皮膚となっており、瞳の方も人間のそれとは異なっていた。

スティラは今更驚きもしなかった。


何がどう可笑しく転がっても自分には一切の関係はないのだから、と。

自由に生きる保証がない人生に感情を表出すものではない、と。


そうして父と母はスティラを抱きしめることなく部下たちを使い、ベッドの上に手足を拘束されたまま要塞の管理室へ連れてこられた。


そして、モニターに映る右隅に表示された不格好で気持ちの悪い形を衛生2つをお前にやると言われたのだ。


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