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恐怖
言葉にならない感情が駆け巡る。
後悔や緊張に似たそれが自分のなかを縦横無尽に満たし、支配しようとする。
次はカーブを外す。
空振ってくれれば儲けもの、空振らなければチェンジアップを挟む。
神崎裕也を睨みつけ、投球に入る。
ここで捻じ伏せてこそのエース。
三球目を投げた。しかし、リリースの直前で力が抜けた。
回転が上手くかからなかった実感があった。
すっぽ抜けたボールはワイルドピッチにはならなかった。
だが、その甘いカーブは打つには絶好のボール。
奴が見逃すは訳がない。
神崎裕也は狙いをつけ、バットを豪快に振った。
自分は思わず目を閉じてしまった。
そして次に聞こえたのは
「ファーール!!」
審判の声であった。
目をつむったせいで何があったかわからなかったが、おそらくバットに掠ったのであろう。
ここにきてチャンスが生まれた。
これなら抑えられる、あとはスライダーを投げ込めばいける、自分ならできる。
そう考えた時、キャッチャーの隼がタイムをとって野手達が集まってきた。




