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第8話 驚きと下級魔法

毎度遅くなってしまってすみません。

出来たので、読んで下さい。

「……………」(父さん)

「うわぁぉ…………」(エリザ様)

「す、すごい………」(アデリナさん)


 俺達の測定結果を見た三人の反応がこれだ。三人とも測定不能というあり得ない結果に驚愕していた。エリザ様とアデリナさんは声を上げながら、父さんは予想はしていたがその予想以上の事が起こったとでも言うような顔をしている。


「おおっ!凄いぞシン。測定不能だってよ!」


 スコール様は、自分の魔力量が父さんよりも多かったのが嬉しかったのか興奮していた。


「はい。そうですね、スコール様」


 俺の場合は、異世界転生という最近のライトノベルによくあるチートものの小説や漫画何度か読んだ事があった為、俺自身がそうなってしまっても別段驚きはしなかった。精々、予想通りだと思う位だ。


 俺達がそんなのん気な会話をしていると、


「いやいや、何故そんな反応が出来るのだ!二人は」


 アデリナさんが俺達に声をかけた。


「はて?何か?」

「別におかしいところはないと思うんだけど?」


 俺はこの異常事態に気付かない振りをしてすっとぼけた声を上げた。

 スコール様は本気で気付いていないのか首をかしげていた。


「だって…。測定不能ですのよ!しかも、魔水晶も真っ二つになってしまってますし…」


 そう言ってエリザ様が指差した所を見た。そうだった。あの結果が表示される前に真っ二つになってたんだった。忘れてた。これ、値段はいくら位したんだろう。弁償とかした方が良いのかな?

 というか、この状態でよく表示出来ていたな。こいつの根性が凄いよ。

 そう思っていると、俺達の結果が消えてしまった。どうやら、魔水晶に込められていた術式が無くなったみたいだな。お前はよく頑張ったよ。


 俺はこの魔水晶に心のなかで称賛を送った。


「あ~あ。消えちゃった……」


 スコール様は落胆の声を上げていたが。


 というより、改めて考えてみると、俺達の魔力量って凄いんだな。父さんの百万っていう魔力量でもこの魔水晶には罅一つ入らなかったのに、いきなり真っ二つになるんだもんな。

 それに、俺だけじゃなくスコール様まで測定不能をたたき出すとはな。

 まさか……。スコール様も転生者とか言うんじゃないだろうな。いや、それならあの性格だったら今までの人生の中で何回か失言をしていても可笑しくない。いや、この人なら必ずやるはずだ。逆にしていなかったらそっちの方がおかしい。というか、かなりの役者だ。

 となると、スコール様が異常なのは天然ということか。それはそれで凄いな。


 俺がそんな風に思考していると、


「そう言えば、俺達の使える属性って、何だったんだ?俺は魔力量しか見てなかったんだが…」


 スコール様が訊いてきた。


「あ、それはですね……」

「スコール様は火・水・土・木・風・氷・雷・闇

 シンは火・水・土・木・風・氷・雷・光

                   ですね」


 エリザ様の言葉に繋げるようにしてアデリナさんが教えてくれた。


「そ、それはまた…」


 その言葉に、今度は父さんが反応した。


「四人とも。よく聞いて下さい。スコール様とシンの結果ははっきり言って異常です」


 そして、父さんの講義(?)が唐突に始まった。


「まず、魔力量は人それぞれに保有する魔力量が異なります。それは、他の種族も同じです。種族間で見るならば、魔力量が一番多い種族はエルフです。それに次ぐのが私達人間と魔人族です。そして、人間の保有する魔力量でもトップクラスなのが、私の百万という訳です」


 え?と全員が同時に声を出した。

 それはつまり、俺達の魔力量はそれのはるか上という訳か。


「さらに付け加えると、エルフの場合でも今のところ公にされているもので最大でも一億と聞いています。その時は、魔水晶は壊れる一歩手前だったと聞きました。そして、その後に魔水晶の強度が高まったと聞いています」


 父さんの捕捉説明が入った。


「次に属性についてですが、正直に言って、シンとスコール様のような例は聞いた事がありません。基本的に人間が使えるのは3、4属性までです。ですが、二人の場合は、八属性とこちらも異常です」


 属性についても聞かされて、只絶句するしかなかった。


 これは、面倒くさい事になるな。…なら、魔力量と属性については余り言わない方が良いかもしれないな。


「ですから、皆さんはこの事を誰にも言わないで下さいね」


 父さんから誰にも言わないように注意された。


「え~。何でだよ。別にいいじゃん」


 スコール様が文句を言ってきた。まあ、スコール様ならそう言うと思ったよ。


「ですが、スコール様。そうなると確実に面倒ごとになりますよ」

「よし分かった。絶対誰にも言わない。シンもエリザもアデリナもそれで良いな」


 恐ろしいまでの変わり身の速さだった。面倒くさい事になると分かった途端にこれだからな。


「ハァ…………。まぁ私はそれでもよろしいですよ」

「もったいない気がするのだが……」

「そうですわね。お父様達にも教えてはいけないのですか?」


 俺はそれでも良いと思っていたから了承した。しかし、エリザ様とアデリナさんはどこか不満な様子だった。


「我慢して下さい。この事が周りに知られれば、こうして毎日会うことも出来なくなりますよ。それにレオンハルト様やクルド様達には私から教えておきますよ」

「それは大変ですわ!絶対に誰にも言いませんわ!」

「うむ、そうですね。お嬢様」


 こちらも何という変わり身の速さ。流石我が父。俺達に対してどうすれば良いのか分かっている。



  ◆◆



「さて、それでは気を取り直して、改めて魔法について勉強していきましょう」


 俺達が並んで座っている目の前で講義が再開された。


「皆さんは初めてですので、下級魔法から練習していきます。まず、私の手を見てください」


 そう言うと、父さんは掌を上に向けた状態の手を俺達の前に出した。すると、その手から赤い魔力光が出た。


「我が手に炎を現せ『ファイア』」

『おおおお』


 そして、短く詠唱をすると、その手から掌サイズの炎が出てきた。

 その炎を俺達が暫く見つめていると、突然炎が消えた。


「はい。これが下級魔法『ファイア』になります。そして、次にやるこれが、

炎よ球となりて我が敵を打ち倒せ『ファイアボール』」


 今度は父さんが横に向き、その手を前に突き出し詠唱すると、その手から先程と同じように赤い魔力光が出て、炎の球が射出された。それは庭の一部分の地面に当たり、小爆発を起こした。


「これが『ファイア』の発展型の『ファイアボール』となります。発展型と言っても『ファイアボール』も下級魔法に分類されるため、習得は簡単です。今日は、皆さんにはこの二つを覚えてもらいたいと思います。いいですね」

「「「はい」」」

「あ、あの~……」


 俺、スコール様、アデリナさんが元気よく返事をする中、一人エリザ様が手を挙げた。


「私、火の属性が使えないのですが…」


 あ、と全員が同じような声を上げた。そう言えばそうだった。エリザ様が使えるのは木と氷と闇だけだった。


「忘れてました。そうですね…。出来れば最初は五大属性から最初に習得したいですね。分かりました。それでは、エリザ様は別に木属性の魔法も同時に教えていきましょう。幸いにも私は木属性の魔法も使えますから。では、見ていて下さい」


 そう言うと、父さんは地面に手を着いた。その手からは、今度は緑色の魔力光が出た。


「お。丁度良いところに…。

新たなる生命よ。生まれ出でよ『フォレスト』」


 父さんの詠唱が終わる。すると、父さんが手を着いた地面のすぐ側から一本の木が生えてきた。その木はみるみる内に大きくなって全長十メートル位になった。


「これが、木属性の魔法です。木属性は他の五大属性とは違い、魔力によって直接創り出す事は出来ません。その代わりに既にある植物やまだ生まれていない植物を操る事が出来るのです」


 おお~!と俺達が小さい歓声を上げた。


「ですが、木属性魔法で操れるのは手で触れた植物か、またはその植物が生えている所まで魔力を繋げなければなりません。今回は、たまたま私の近くにいずれ木になる種がありましたから大丈夫でしたが、普段はこうはいきません」

「え?それでは、どうすればよろしいのでしょうか?」


 父さんの講義にエリザ様が疑問を投げた。

 父さんはニッコリと微笑むと、


「その場合はですね、あらかじめ植物の種等を所持しておく、簡単に出来ますよ」


 と言った。

 エリザ様は成る程と何度も頷いた。


「シンとスコール様にはまた今度教えてあげますから、今日のところは『ファイアボール』までを練習して下さいね」

「「はい」」

「それでは、始めて下さい」


 こうして、俺達の魔法の練習が始まった。



  ◆◆



 魔法の練習が始まった俺達がまず最初にやっているのが、


「フーン………!」

「…………………」

「む~~!」

「………ふう、中々上手に出来ませんわね」


 手を前に出す事だった。

 いや、この表現では誤解を招くな。正確には、先程の父さんのように手から炎を出すために手を前に出しているの方が正しいな。

 エリザ様は一人父さんから貰った植物の種に向かって魔力を流し込んでいる。だけど、上手くいってないようだな。


「皆さん、焦らないで。魔法を使うのに最も必要なもの。それは“イメージ”です。自分がどんな魔法を使いたいのか。それを頭の中でイメージし、出来上がらせて表に出す所までを一つの区切りとして下さい。エリザ様の方は種を一度地面に置き、その上から魔力を流し込んで下さい」

「「はい」」

「分かった」

「分かりましたわ」


 苦戦している俺達を見て、父さんがアドバイスをしてくれた。


(イメージか。良し)


 俺は先程の父さんの『ファイア』を思い出していた。

 父さんは大体掌サイズの炎を出していた。なら、俺は自分の掌サイズ位で。

 俺は頭の中で炎をイメージし、それを手から出す所を思い浮かべて、詠唱してみた。


「我が手に炎を現せ『ファイア』」


 すると、


 ボウッ


 と、俺の手から赤い魔力光が出て、次の瞬間炎が出た。


「うわ!出ました」


 俺は思わず声を出してしまった。だが、そんな中でも口調はしっかり保てている所の方が凄いが。

 だが、俺はそんな事を考えていながらも、目の前の出来事に興奮していた。何故なら、俺は今魔法を使っているのだから。下級魔法とは言え、魔法が使えたと言うのは、元現代人の俺からしてみれば、充分に興奮するべき事だ。


「うお!早えなシン」

「羨ましいですわ」

「次は私も……」

「素晴らしい!シンが一番ですね」


 四人とも驚いたり、羨ましがったりと反応がバラバラだった。

 その後も、


「よっしゃ!次は俺が続くぜ!…………『ファイア』(ボウッ)わ!出た」

 

 スコール様


「では、私も…………『ファイア』(ボッ)よし!」


 アデリナさん


「私も、負けていられませんわ。…………『フォレスト』(ニョキ)…出来ました」


 エリザ様が立て続けに成功した。

 その後も、俺、スコール様、アデリナさんが『ファイアボール』を覚え、

 エリザ様が『フォレスト』で出た木を一メートル位まで伸ばした所で今日の魔法の練習は、終わった。




ありがとうございました。

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