第6話 二組の主従とエリザの神武器
今回も遅くなって申し訳ありませんでした。
是非読んで下さい。
「さあ、二人とも。こっち来いよ」
スコール様と俺は現在、エリザ様とアデリナさんを庭の方に連れて行く途中だった。
あの後、
「よろしくな。二人とも。こっちが普通の状態だからな」
「え?ええっと…その……」
「何なのですか。この変わりようは…」
二人とも、スコール様の態度が一変したことに、見事に驚いて戸惑っていた。
「その……、あの…」
「ん?どうした?」
エリザ様がおそるおそる質問した。
「その……、先程のは、えっと…、演技…だったのでしょうか?」
「うん」
スコール様はその質問に間髪入れず堂々と答えた。
「!!?」
「!え、ええと…、どうして、そのような事を?」
アデリナさんは驚愕の表情を浮かべ、エリザ様はどもりながらも何故なのか尋ねた。
「え?だって、大人の人がいたから」
「「はい?」」
「はあ…、成る程。そういう訳ですか」
スコール様の言葉に二人はまた頭に?マークを出しまくっていた。俺は今まで一緒に過ごしてきた経験から納得することが出来た。
「いや、だってさ。流石に大人の人がいる前だとしっかりしなさいって母さんシンのお母さんに教わっているし、それに目上の人にはきちっとした態度で接しなさいっても教わったし」
とまあ、そういう訳だ。一応そういったマナーや礼儀作法についても母やレナ様に教えられてきていた。だが、スコール様がちゃんと出来ていたことに驚いたが。だって、その時間はスコール様基本的に寝ていたし。
「では、私達にはそれが必要ないと?」
今度はアデリナさんが若干の怒気を含んで質問してきた。
「ああ。だって、二人とも大人でも目上の人でもないしな」
「な!そ、それはどういう意味だ!確かに、私達は大人ではない!が、それでもあなた方より……」
「爵位が上だって言いたいんだろう。俺からしたらそんな事になんの意味もない。伯爵位を持っているのはエリザの父さんであってエリザが持っている訳じゃない。そこんところ、よく覚えておけ」
「「!!」」
まあ、スコール様の言ってる事は正しいし、言われると確かにってなるしな。今のスコール様とエリザ様はただ貴族の家に産まれたってだけのただの子供だ。まだ貴族として何か仕事をしている訳でも、何かを成し遂げた訳でもない。それなのに上も下も無い。
スコール様が言いたい事を分かりやすく言うならば、こういう事だろう。
「……」
「…確かに、言う通り……、ですわね」
スコール様の言葉にアデリナさんは神妙な顔になり、エリザ様は納得した声を漏らした。
「今の俺達は対等な関係だ。無理に気を使う必要は無いんだよ。だから、まずは友達から始めようぜ」
そう言うと、スコール様がエリザ様に握手を求めた。今度はさっきのように社交辞令のような握手ではない。同年代の子供に友達になりたいとする親愛を込めた握手だ。
「は、はい!こ、こちらこそお友達になって下さい!」
その求めにエリザ様は笑顔と大きな声で応えた。二人が本当の友達になった瞬間だった。
「まあ、そういう事ですから、私達も仲良くなりませんか?」
俺は未だに仏頂面でスコール様を睨んでいるアデリナさんに近付き、スコール様と同じように握手を求めた。
だが、アデリナさんは、
「シンは、スコール殿と違い、先程から態度が変わらぬのだな」
俺に疑念のこもった目を向けて来た。どうやら主があんなだったら、俺もそんな感じになると思っているらしい。それは間違いではないが、当たっても無い。
「アハハ。私は基本的にこの態度と口調ですゆえ」
俺は人と接する時の態度で受け答えした。まあ、腹の中はこの通り基本名前の敬称以外はタメ口だけどな。
「……ふん。まあ良い。だが、お嬢様に手を出したら容赦しないからな!」
「はい。分かっております。まあ、私はエリザ様よりアデリナさんの方が好みですがね」
「なっ…!!……ふん。お世辞等で私が簡単に靡くと思ったか…」
「いえいえ、お世辞ではなく、本当にそう思っています」
「………ふん!」
そっぽを向かれてしまった。まあ今の言葉は嘘やお世辞で言った訳ではなく本心からの言葉なのは間違いないがな。実際オドオドした感じの子も好きだけど、それより堅物な感じの子が好みだし。いや、ロリコンじゃないから。ただそんな性格の子が好みってだけだから。流石にこんな子供に手は出さないから。出すとしても十八歳以上になってからにするから。
と、俺が誰に言ってるか分からない言い訳をしていると、
「おーい。二人とも。いつまで話してるんだ。早く行こうぜ」
いつの間にか手を繋いでいたスコール様とエリザ様が遠くから俺達に呼び掛けてきていた。
俺達はそこまで長い時間話していた訳でも無いのに速すぎるだろ。そして、ナチュラルに手を繋ぐとか子供ながらにすごいな。俺も今は子供だけど。
「はあ…。しょうがないですね。アデリナさん、行きましょうか」
「へ!あ…、そうだな。行こう」
俺はスコール様みたいにアデリナさんの手をとり、スコールを追いかけるべく走った。
◆◆
庭に着くと、まずは順当に自己紹介から始まった。その後、他愛ない話をしていた。
「え~。それじゃあ、エリザは神武器を持ってんのかよ」
「はい…。代々レイアス家が所持していた神武器があったのですが、その神武器はここ何代かはいずれの領主も使えなかったのです。私はその話を聞いた後に試しに触れてみたところ、頭に声がしたと思ったら神武器が突然消えてそこから光の玉が現れて私の体の中に入ってきましたの。それをお父様に話したところ…」
その神武器の所有者になったって聞かされた訳か。成る程な、神武器が所有者を決めるのはそんな感じなんだ。勉強になるな。
「じゃあさ、今それ出せるか?」
「えっ!えと…、はい、出せますよ。」
スコール様の要求に、エリザ様はおずおずといった感じに手を前に出し、その手が光ったかと思うと、その手には白い盾と黒い剣が握られていた。
「おお~!!」
「ほぅ。これが、神武器」
俺達二人は初めてみる神武器に感嘆の声を漏らした。
「は、はい…。これが私の神武器『アテナ』です」
戦女神か。まさしく戦う為の武器だな。
そう思いながら、俺がアテナに見とれていると、
「なあ、このアテナの特性ってなんなんだ?」
スコール様がエリザ様に質問した。そうだった、確か神武器には一つずつに特性があるんだった。
「いえ…、それが……」
「ん?どうかしたのか?」
エリザ様は何故か言葉を濁した。どうしたんだろう?
俺達はエリザ様の次の言葉を待った。
「それが、分からないのです」
「はい?」
「分からない……ですか?」
エリザ様の言葉に今度は俺達が頭に?マークを出した。
「はい。特性は本来神武器そのものから教えてもらうものだとお父様に聞かされたのですが、何度聞いても教えてくださらないのです。アテナからはただ一言、“あなた達ではまだ無理よ”と言われるだけで…」
「なんだ……」
「ほう…」
エリザ様の言葉にスコール様は落胆の声を上げ、俺は感嘆の声を上げながら、ある考えを持っていた。
あなた“達”?という事はアテナの特性は最低でも二人以上の人間の力が必要なのだろう。であるならば、アテナの言葉にも納得がいく。
次に“まだ”の部分だ。まだ、という事は今は教えても使えない、ということなのだろう。おそらく、年齢や身長等の身体的特徴とは違う、精神的なものだと思う。そうでなければ子供をわざわざ所有者に選んだりしないだろう。
ここまで考えて、俺は一度整理してみた。上の二つの言葉に関するもので、エリザ様の近くで該当するのは………、
「……………」
「ん?何だ?」
俺はアデリナさんを見た。アデリナさんは俺の視線に気付き、最初に怪訝な顔をし、それでも俺の熱心な視線に顔を反らした。
おそらく、アテナの特性にはアデリナさんが必要不可欠なのだろう。だが、一体何が必要なんだ?それが分からない。
俺が思考に没頭していると、
「どうかしたのか?シン」
スコール様が俺に尋ねて来た。どうやら考え過ぎていたようだ。
「シン。もしかして、何か分かった事でもあるのか?」
「……いえ、特には…」
取り敢えず、俺はスコール様の質問にNOと答えた。ここで俺が話したところで、後で正解が間違っていたら意味がないしな。伝えるのは確信を持ってからでも遅くはない。
俺が思考を中断したところで、
「よーし!それじゃ、遊ぶか!」
「はい!」
スコール様が宣言した。それにエリザ様が同調していた。
俺はやれやれといった感じに首を振り、アデリナさんを見た。
アデリナさんも俺を見ていた。その瞬間、俺とアデリナさんの視線がぶつかった。俺が笑顔を作ると、アデリナさんはそっぽを向いて、二人の後に付いて行った。俺もその後を追った。
◆◆
楽しい時間というのは、思ったより速く流れるもので、俺達は鬼ごっこやかくれんぼ等で遊んでいると、いつの間にか日が傾いていた。エリザ様のお父さんが屋敷から出てきた。そして、エリザ様達を呼んだ。
エリザ様は、
「もっと遊んでいたいですわ!」
「ダメだ」
「そ、そんな~…」
クルド様に懇願するが、クルド様に拒否され、駄々をこね初めていた。
すると、
「エリザ様」
「ふえ?スコール様?」
スコール様がエリザ様に近付き、丁寧な口調モードで声をかけた。
「また、来てくださいませ。若しくは私達がそちらに参りますので、その時にまた遊びましょう」
「……そう、ですわね。分かりましたわ」
そんな会話をした。大人組は俺達が仲良くなっていることに今日の目的の成功を感じていた。
「それでは、また」
「また来ますわ」
そして、エリザ様達は帰って行った。
こうして、もう一組の主従とのファーストコンタクトが終わった。
読んで下さってありがとうございました。
今は受験を控えていますので、これからは不定期になると思います。
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