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第9話 武士の夢と初対面

今更ながら明けましておめでとうございます。

今年も更新頑張っていきます。

今年は去年よりは早めに更新出来るように頑張ります。

「おーい。真ノ丞」


 遠くから、誰かの声が聞こえてくる。高い声だ。女の子か?それにどこかで聞いた事がある。


「これは…。どうかされましたか?優姫様」


 名前を呼ばれたであろう男が一礼して返した。その男の風貌は、左手に刀を持ち、服装は時代劇等でよく見る武士みたいな奴だった。顔は………、何故か俺の顔と瓜二つだった。

 そして、こちらに走ってくる女性の姿もはっきりと分かるようになった。その容姿は、


(ば……か…な………!お前は…………、優……奈………!)


 前世の俺の幼馴染みである『坂井優奈』と瓜二つだったのだ。

 背中まで伸ばした長い髪も、綺麗な色白の肌と顔も、出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいる体も、どれも俺の知っている幼馴染みそのままだ。


「もう、そんな堅苦しい呼び方しないで。いい加減『優』って呼んでよね」


 違う所があるとすれば、性格と服装だ。俺が知っている優奈は、クールな性格だったし、服についてはあいつはお洒落に興味が無い感じで、取り敢えず色々買った物の中から適当に選びました~ってな服しか着てなかった。それでも普通に似合っていたんだが……。

 だけど、この人は、それとは正反対だ。性格はどちらかと言うと活発そうで、服はこちらも同じく時代劇のお姫様が着るようなきらびやかな衣装を身に纏っていた。


「それは駄目でございます。私は坂中家にお仕えする身です。その私が坂中家のご息女であらせられる優姫様に対して、そのような口の聞き方は出来ません」


 真ノ丞と呼ばれた男は、優姫と呼んだ優奈に似ている女性の願いをきっぱりと断った。


 それにしても、さっきから気になっていたんだが、ここは一体何処なんだ?昔見た夢とは違ってファンタジーのような場所じゃなく、日本のお城みたいな所だな。それにシチュエーションだって前とは違い、戦っている場面じゃなく和気あいあいとしている。駄目だ。前回と今回で共通点が一つも見当たらない。

 

 俺があれこれと考えている内に、二人の話は進んでいた。


「はあ……。全く、貴方は本当に頑固なんですから。ま、良いわ。でもいずれはちゃんと呼んでもらいますからね」

「ふう……。しょうがないですね」


 優姫がズビシッと真ノ丞に指を指して宣言し、真ノ丞はそれにやれやれという感じに返した。その後直ぐに二人で笑いあっていたが、


「そう言えば、私が来る前に一体何をしていたの?」


 優姫が唐突に訊いてきた。


「ああ、それは“座禅”をしていたのですよ」

「“座禅”?」

「ええ。このように地面に座り、目を閉じ、心を無にし、精神力と集中力を高めていたのです」


 言いながら、真ノ丞座り、目を閉じた。そして、そのまま時間だけが過ぎて行く。


「……ねえ」


 黙っているのが耐えられなくなったのか、優姫が声をかけてきた。しかし、真ノ丞は集中しているのか反応しない。


「……ねえ、ねえったら!」


 今度は声をかけるだけではなく、肩を叩いたり、体を揺すったりしているのだが、それでも反応しない。


「……もう!しょうがないわね…………。……フウ。(ペロッ)」

「うわあ!!びっくりした。優姫様、一体何をしたのですか!」

「さあて。何をしたのでしょう~。フフフ」


 ……今、何をしたのか教えておこう。

 優姫は、真ノ丞の耳に顔を近付けて息を吹き掛けたのだ。その後間髪入れず、耳を嘗めた。

 流石に集中していた真ノ丞でも思わず反応してしまったようだ。座禅に集中し過ぎていたせいで、何をされたのかは分からなかったみたいだ。


「そんなことより!修業は中断して、町に行きましょう」


 優姫は、真ノ丞の慌てように満足したのか、町に行こうと誘い出した。


「優姫様…………。ハア……。分かりました。どうせ断っても無理矢理連れて行かれそうですから。付いて行きますよ」

「うむ。それで良し!」


 優姫は真ノ丞の返事に満面の笑みを浮かべ、歩き出した。

 真ノ丞は呆れながらもその後ろを歩いて付いて行った。


 そして、その様子を見ながら俺の目の前は真っ白になった。



  ◆◆



「……何だったんだ?今の夢は」


 まだ太陽が完全に昇りきっていない時間に起きた俺は、そんな風に呟いた。さっき見た夢がまだ頭から離れない。


「これで二度目か。一体何だったんだ。あの夢は……」


 俺が夢の内容を思い出していると、


「う、う~ん。どうしたんだ、シン」


 隣のベッドで寝ていたスコール様が目を覚ました。


「ああ。すみません、スコール様。少々変な夢を見てしまいまして……」


 俺は取り敢えず誤魔化す事にした。こっちの世界で日本の話をしても意味が分からないだろうしな。


「ふーん。そっか。そんな事よりそろそろ飯の時間だし、早く食堂に行こうぜ」


 スコール様は俺の話をさらっと流すと、ベッドから起き上がり、着替え、ささっと食堂に向かって行った。スコール様は基本的に興味の無い話と面倒くさそうな話には無頓着だからな。今回も俺の話がそこまで面白そうなものではないと判断したらしく、訊いてこない。

 っと、こんな事を考えていないで俺も着替えて朝食を食べに行くか。



  ◆◆



 朝食も食べ終わり、後はエリザ様達を待ってから魔法の勉強をするだけなのだが、今日はいつもと違うようだ。


「ん?フンフン……フンフン……。今日はエリザ達だけじゃないな。来たのは」

「え?それは本当ですか?スコール様」


 もうそろそろ来る時間になるときに、スコール様がそんな事を行ったので、つい聞き返した。


「ああ。今日はエリザ達の匂いとは違う匂いが二つある」

「そうなんですか?というか、分かるのですか?」

「え?うん。一度嗅いだ事のある匂いなら大体誰のか分かるぞ」

「へ、へえ……。そうなのですか」


 凄い特技を持っていたみたいだ。俺の主は。

 それはともかく、後の二人は一体誰なんだろう?


「あ、それとその内の一人は多分エリザのお父さんだぞ」

「そ、そうですか」


 凄い。簡単に分かっちゃった。


「ほら。二人とも、もう来たみたいだよ。お迎えしなくちゃ」


 父さんの言葉で思考が中断された。それにしても気になるな。


 そうしている内に、馬車が来た。


「よっと」

「お嬢様。私よりも早くに降りないで下さい。いつ何者かに狙われるとも限りませんし、まずは私を先に降ろさせるべきです」


 まず最初に降りて来たのは、エリザ様とアデリナさんだ。いつも通りにエリザ様は動きやすい服で、アデリナさんはメイド服。これはいい。いつも通りだからな。問題はその後だ。

 次に降りて来たのは、


「ふう…、やっと着いたか」

「久し振りだな。ここに来るのは…」


 二人の大人の男性だった。一人は、スコール様の言った通り、エリザ様のお父さんのクルド様だ。だが、もう一人の方は、本当に知らない方だ。

 ……いや、よく見ると、アデリナさんと雰囲気が似ている。アデリナさんの関係者かな?

 俺が考えていると、四人は家の玄関の前で待っている俺達に向かって来た。


「あ!スコール様~」

「お嬢様!走ったりしては転んでしまいます」

「ははは。エリザも一ヶ月ですっかり変わったね」

「変わりすぎだと思いますけど…。それにアデリナも振り回されているようですし…」

「はは。主従で仲が良いのは良いことだよ」

「それでも、限度があります」


 エリザ様が俺達に向かって走ってくると、アデリナさんが慌てて付いて行き、後ろの大人二人が微笑ましく見ながら歩いて来た。

 大人二人は俺達の前に来ると、


「やあ、二人とも久し振り。覚えているかな。エリザの父のクルドだよ。そしてこっちが……」

「ジェード・シルスだ」

「おいおい。もうちょっと何か言えよ。ま、そう言う訳で、こいつは名前の通りにアデリナの父親だ。よろしくな」


 クルド様が俺達と初対面のジェード様を紹介してくれた。


「そうですか。初めまして、スコール・グライドと申します」

「私はシン・クレイです」


 俺達も挨拶を返した。俺はいつも通り、スコール様は外用の挨拶で。


「ああ。いいよいいよ。そんな堅苦しい挨拶じゃなくて」

「で、ですが…」

「いいって。それに、俺達が来る度にそんな態度してたら疲れるだろ?だからいいんだよ」

「は、はい。分かりました」


 どうやらスコール様の演技はバレていたみたいだ。流石大人だ。


「あの、じゃ、じゃあ…、改めてよろしく」

「うん。それで良いよ。あ、でも俺達以外にはさっきの方にしといた方が」

「うん」「はい」


 クルド様が俺達にありがたいアドバイスをしてくれた。


「クルド様。そろそろ……」

「そうか。それじゃあね、二人とも」

「うん」「はい」

「お嬢様。私はこれで。アデリナ、お嬢様をしっかり御守りするのだぞ」

「はい」「は、分かりました。お父様」


 そう言うと、クルド様とジェード様は屋敷に入って行った。


「よし。それじゃあ四人とも。今日は私も中で大人だけの話し合いがありますから自習とします。魔法の練習はしてもいいですけど、無理はしないで下さい」

「えー。まじかよー」

「仕方ないですよ。スコール様」

「そうですわよ。我慢して私達だけでやりましょう」

「そうですね。お嬢様」


 そして、父さんが中に入ると、俺達も庭の方に歩いて行った。





ありがとうございました。

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